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次期国王

継承の儀式場攻略戦も終わりついに次期国王が決まるというお話です!

では本編へGO!

 来た道を戻っていき途中でやってきた兵士達に細かい詳細を話しつつ後始末を任せてから俺達は馬車で城塞へと戻っていくことにした。

 戻っていく過程ではディラブが黙り込んでいたこともあり空気は非常に重たく、会話なんて発生しなかったのだが、それでも強いて言うならここで俺だけはこの後にやるべきことをきちんと理解していた。

 城塞へと戻っていくとまず真っ先に待機していた医者に次男を任せてから俺達は謁見の間へと移動することにしたが、部屋に入る前に中から叫び声がはっきりと聞こえる。

 まあ、察していた事なので俺は敢えて気にしないまま部屋の中へと入っていくと、玉座に座り込んだままの国王は目を瞑り、宝玉を握りしめたまま怒鳴っている長男の図。


「俺がこれを持って帰ったんだから俺が次の国王だろう!? なんで違うんだよ!」

「はぁ…お前。協力者はどうした? 一緒に帰ってこなかったのか?」

「関係ないだろう!? 知らねぇよ!」

「知らないわけが無いだろう。どうして一緒ではない? 見捨てたからだろう?」

「うぐぅ…でも、俺が持って帰ったんだから俺が次の国王だぜ!」


 ババルウ君の方を見ながら何か勝ち誇ったような顔をしているが、国王は「それは偽物だ」とハッキリと告げた。

 長男は「はぁ?」と言葉の意味を理解できないような声を発し、ババルウ君すらも「え?」と驚いている。

 皆驚いた顔をしている中、俺はババルウ君の方を見た。


「ババルウ君。両手を挙げて」


 疑問を抱かないまま両腕を真っ直ぐ上にあげるのだが、これはこれで心配になる信頼感だなと思う。

 まあいいやと思いながら俺は「そのまま服のポケットの中に自分の両手を入れろ」と命令すると、ババルウ君はこれまた疑いなく両手をポケットの中へと入れる。

 すると異物の存在に気が付いたのか疑問顔をしながらその異物を見つけ出し、右側のポケットからそれを取り出した。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()、長男が握りしめている宝玉と全く同じものが現れたのだ。


「はい。次の国王はババルウ君でよろしくですね」

「待ちなさい! 説明しなさい! 貴方! 何時から分かっていたの!?」


 リアンとディラブからも非難に近い視線を向けられるので肩をすくめながら説明することにした。


「消え方が気になったんだ。あれじゃまるで姿を消しただけだなってさ。それに最奥にたどり着いた者とは言わず、宝玉を持って帰った者と国王は言った。ダインジョン内も基本上手い具合に順位入れ替えが起きるように出来ている。そして、最奥には基本ある程度の人数が揃わないと入れない。そこにあからさまな配置をしている宝玉。こう考えれば分かり易い。この試練は後継者達の動向を宝玉が近くで監視し、その行動や戦いを見て次の後継者を宝玉が選ぶ。そういう事でしょう?」

「その通り。最奥にある宝玉は前の段階で兵士たちが配置していたものだ。あのダンジョンは幾つか隠し通路が用意されており、本当は別に最短ルートがある。前日に用意させた」

「じゃ…じゃあ。本当にこれは?」

「お前は目先の利益を得る為に協力してくれた者達を見殺しにし、挙句の果てに弟達が苦しんでいる中で平然と帰ってきた。そんな貴様が次の国王になどなれるものか!」


 国王の表情はまるで鬼そのものであり、そんな国王の叫び声ですっかり萎縮してしまった長男はそのままトボトボと部屋から出て行った。

 あの後、荒れないかどうかが気になるところだが。


「あれではあの後荒れるのでは?」

「安心召されよ。この後しっかりと説教せねばならん。あの二人にはな。改めて感謝している。息子達を守ってくれたことをな」


 国王は立ち上がり深々と頭を下げるのだが、流石に俺達は驚いてしまった。

 まさか、この人に感謝される日が来るとは思わなかったからだ。


「次男の奴が最近怪しい者達と出会っているとは知っていたが、まさか裏社会の連中とつるんでいたとは。その中で良く息子を導きここまで連れて帰ってくれた」

「いいえ。彼を救う事が出来たのは此処にいるババルウ君が勇気を出したからです。それが無ければ助けることは出来なかったでしょう。彼を誉めてあげてください」

「そうか。よくやったババルウ。だが、これで慢心せず次期国王として鍛錬を積むのだぞ」

「はい! 頑張ります!」


 二人の親子らしいやり取りを見て綻んでしまう俺達。


「さて。最初の約束通りナーガ政府との会談を設けよう。先方にこちらはいつでも構わないと伝えて欲しい。それと…君が赤鬼のオーガの末裔かな?」

「はい。ディラブと()申します」

「何故今『お』を付けた? 本当にお前は丁寧に喋ることが出来ん奴じゃな…」

「今回の戦いで武器を失ったと聞く。良ければ我が王家に伝わる赤鬼のオーガが実際に使っていた宝斧を受け取ると良い。あれは赤鬼のオーガの膨大な呪術を受け止めるだけの頑丈さも、それを生かす能力もある。君が持って初めて成果を発するだろう」

「ですが…王家の宝では?」

「使う事が出来ん宝など持ち腐れだ。それに武器は使用者が居てこそだ。君にふさわしい。それと元勇者ジャック」


 俺? 何かしたっけ?

 ビクビクしながら頭の中で色々とやらかしたことを考えてみる。


「此処から北に川を下っていき、そこから街道沿いに馬車で二時間の場所に鉱山都市がある。その鉱山都市で『オリハルコン』が取れるはずだ」

「オリハルコン!? あの伝説の金属ですか!?」

「ああ。それをもってホビット大陸にある炎の里を目指すことだ。そこで勇者の剣を作ってくれるだろう。今日私が許可書を書いておこう。許可書は次期国王であるババルウに持たせる。専用の包みも渡そう」

「それは有難いですが…何故急に?」

「…ドライ最高司祭が今から二十年ぐらい前か? この地に訪れた際、次の勇者には自分で剣を作らせる。信用できると思えば作り方を教えてやって欲しいと頼まれていた」

「ドライ最高司祭が? どうしてここに?」

「珍しいことではない。本来勇者の剣の製造には最高司祭自らが関わるからだ。と言うよりは天からの啓示に従い行うと聞いたことがある。だが、どういうわけかドライ最高司祭はお前にやらせると言っていた。それもまた…「天の啓示だと」しか言わないので信用することにしたのだ」

「お父さん。僕知りませんでした」

「他言無用と言われていた案件故にな。君は知っておいた方が良いだろうと思って。その鉱山都市まで行けばドライがこの地に残した書物もあろう。そこでオリハルコンを手に入れてそのまま更に大陸を北上すれば大陸横断大橋都市である『メイランド』がある。それを渡ればホビット大陸だ」

「分かりました。色々助かります」

「今日は一泊していくと良いだろう。部屋も改めて用意させよう。さて…後で意識を取り戻したバカ息子と共に二人とも連れてきてくれババルウ」

「は、はい…お父さん怒ってるなぁ」


 あれは更に荒れるな。

 俺達は撤退することにしようか、後ろではアンヌが「また隠し事をしたわね」という目で睨みつけてくるし、こうなるから黙っていたんだけどな。

 確信がもてないことを話せばこれまた不機嫌になるし、どうしろと?

 何を言っても不機嫌になる人間の対処をするだけで残り時間を費やしそうだった。

どうでしたか?

まあ、これしかないよねという人に決まりましたね。

では次は赤鬼のオーガ第四十四話でお会いしましょう!

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