継承の儀式場攻略戦 6
継承の儀式場攻略戦六話目となります。
いよいよ赤鬼のオーガのお話もクライマックスへと近づいてまいりましたね。
では本編へGO!
迫りくる恐怖が大体橋の三分の一まで移動したところで橋自体が下に向かって降り始め、俺達は揺れる足場に瞬時に成れながら迫りくる恐怖が繰り出す斬撃攻撃に適応し始めていた。
アンヌは斬撃攻撃に自分の刺殺攻撃を合わせて相殺していき、距離を素早く詰めていき大きくジャンプして上空から迫りくる恐怖事態にご連続の刺殺攻撃である『レッシング・スピア五連撃』を繰り出した。
迫りくる恐怖から『ドカカン』という衝撃音が連続で響き渡り、俺とディラブも負けじと一気に距離を詰めてそれぞれ技を繰り出す。
俺は大剣を強く横殴りに切りつける一撃『一閃』を、ディラブは全身の力と流れと呪術を同時に一撃に込める『ザ・クエイク』を繰り出した。
体中がボロボロになるならババルウ君は「凄い」とため息を漏らしながらも剣をしっかりと握りしめる。
前の彼なら迷わず突っ込んでいっただろうが、俺達がまず教えた事を彼は決して忘れてはいないようだ。
「まず力の差をはっきりと見極めろ。勝てない勝負は敢えて後ろに下がることも重要だ。勝てないのに突っ込んでいき困るのは周りだからな。それに見ていることで分かることもある」
しっかりと俺達の戦いを見極めようとジックリと見ていると、迫りくる恐怖の動きが変わり始める。
斬撃攻撃に今度は属性攻撃を混ぜて繰り出し始めた。
炎や氷属性など様々な属性を混ぜ込みながら迫りくるわけだが、色で識別できるのでまだ楽ではある。
すると一つの一撃が俺達の攻撃やリアンの防壁を突破してリアンへと届こうとしていた。
するとババルウ君は強く地面を蹴りリアンへと届こうとしていた一撃を弾いた。
着弾する寸前で斬撃が急に遅くなったような気がしたけれど、まさかとは思うが。
「迫りくる恐怖が放った斬撃はもう呪術の効果対象にはならない?」
「みたいだな。ババルウ。俺と同時に敵が繰り出す攻撃のみを対象として呪術を展開するぞ」
「はい。二重に効果を乗せるんですよね? 任せてください!」
「ならリアンは防壁でなるべく攻撃を防いで! 私達は今繰り出せる一番強い一撃で叩こう!」
俺の「行くぞ」という言葉を皮切りに四人が一斉に走り出していき、リアンは急いで迫りくる恐怖が繰り出す攻撃の着弾場所だけに的確に防壁を張る。
防御の事を考えないで済む分だけまだ楽だ。
まずはアンヌが大きくジャンプして突っ込んでいき、上空で一回転して回転を含めた強大な一撃『レッシング・スピア・スクリューム』を打ち出した。
次に俺が横と縦と十字に切りつける一撃『十字衝』で敵を十字に切りつけ、ディラブは横に殴りに攻撃を一撃加えてそのままの勢いで今度は縦に更に強めに踏み込んで繰り出した一撃『ザ・クエイク・デュアル』を繰り出した。
そして迫りくる恐怖が大きくよろけた所でババルウ君が駆け出していきトドメとばかりに強めに踏み込んでいき縦に斬撃を繰り出しそのまま真っ二つにしてしまう。
俺は大きく息を吐き出してから真下を見る。
「どうやらまだ付きそうにないな。最下層まで真っ直ぐ案内してくれると良いんだけどさ」
「上の橋も動き始めましたね。あれ…兄が乗っているんでしょうか?」
「状況から察してその可能性はあろう。という事は先の連中は既にこれで下まで降りたという事じゃな。まあ、あの黒いオーガ一人だけで十分じゃと思うが。今の所次男のチームが一歩リードじゃな」
「まあ、先に辿り着けばいいという話じゃないし。今は先手を譲るさ。問題なのはそっちではなくあの黒いオーガ達が動くのはという事だ。あれがただの報酬欲しさに参加しているとも思えない」
「そうだよね。ならむしろ国王の前に出ていくだろうし、会いたくない理由と参加している理由か…」
少しだけ考えてみる。
国王の前に出て行かなかったのは参加できない事を恐れての事だろうか、あの国王なら悪意を感じ取ることは可能だっただろう。
という事は絶対に参加したい理由があり、国王にバレたら成功しない案件。
まああの国王自身も只者じゃないし、戦いによる混戦を避けたかったのだろうが、という事はこの儀式場に行かないと出来ない何かをしにいった?
「下が少しづつ見えてきたな。まさかとは思うが、あの黒いオーガは宝玉を横取りするつもりじゃなかろうな?」
「え? その為に参加したという事ですか?」
「ああ。あの宝玉自身膨大な魔力を秘めていたし、あれが欲しいという理由としては分からないでもない」
「フム…じゃがそんな宝玉どうするつもりじゃ? 奪えばオーガの王国そのものが黙っておらんじゃろうに」
「そんな危険を冒してでも欲しい理由があるんだろう? 悪いことに利用しようとしているとか、想像なら簡単にできる」
「するだけ無駄だけどね。だって悪い人の考えなんて私達には想像すら難しいから」
それはそうか…全くできないわけじゃないけれど、難しい上にあまり想像したいものでもない。
そろそろ下に着く頃かと思い下を見ると、後十五分という感じの時上から無数の悲鳴が上り、同時に下を見ていた俺の視界に何か赤い人らしきものが通り過ぎた。
正確には落下していったのが見え、何事かと俺は今度は上を見上げると降りていたはずの橋が止まっていた。
「まさか…じゃあ今のは?」
長男のチームが迫りくる恐怖に襲われて殺されたのではと想像し俺は下を見ると、地面に衝突してもぴんぴんしている長男が走って奥へと向かう瞬間だった。
頑丈さに俺は引くが、ディラブは「オーガはこの程度の高さでは死なん」と豪語するし、ババルウ君も何度も頷いている。
しかし、見捨てられたあのチームの仲間は可哀そうだな。
「見捨てられたか…あの程度の高さなら大丈夫だと踏んで飛んで逃げたんだろうな」
「しかし、あの高さで無事か…とことんオーガは頑丈じゃな。流石にナーガでもあの高さだと無事では無かろう?」
「そうだな。打ちどころによっては死ぬな。再生するのにも多少は時間が掛かりそうだ」
「なんか、あんたなら無事だって気がするのよね」
「失敬な! 流石に無理だ。これが俺達のチームが最下位なわけだけど…少しは焦るべきかね?」
「でも、最奥には全員が揃わないといけないんですよね? 到着次第走って行けばまだ間に合うのでは?」
「それもそうか…」
俺は納得してそのまま下まで到着するのを待ち、到着次第俺達は走って追いかけていくと、走り出して十分ほどして奥から悲鳴のような声が聞こえてきた。
「い、今のは一番上の兄さんの悲鳴!?」
悪い予感が脳裏を過り俺達は走る速度を一切緩めないまま走っていくと、最奥の入り口とその奥の祭壇みたいな作りの建築物の先に真っ赤な宝玉が光り輝いているのが見えた。
問題なのはその宝玉を手に入れようとしている黒いオーガとその部屋の手前でメロンというドラゴン族に追い詰められている長男、次男は黒いオーガに斧を向けられた状態で右肩を負傷していた。
幸いなのか気を完全に失っており、黒いオーガであるヴェルズリとドラゴン族のメロンは俺達の存在に気が付いたのかしっかりと俺達を見た後に微笑んだ。
俺はまず駆け出していきメロンと長男の間に割って入り、長男はその間に物陰に隠れていく。
「そこで黙ってみていることだ! この馬鹿な世間知らずのオーガが殺される瞬間をな!」
「止めろぉ!!!」
ディラブが走るより更に早くババルウ君は駆け出していきヴェルズリが振り下ろす一撃へと向かって切りかかった。
どうでしたか?
継承の儀式場攻略戦が終わってももう少し赤鬼のオーガのお話は続きますのでよろしくお願いいたします!
では次は赤鬼のオーガ第四十二話でお会いしましょう!




