継承の儀式場攻略戦 5
継承の儀式場攻略戦五話目となります。
新しいボスの登場ですね。
では本編へGO!
長男のチームに追いつかれたから困るという理由で俺達はダッシュでダンジョンを突破していくと、後ろの方からモンスターが再出現していくのが見て取れた。
どうやらこの通路そのものがモンスターを一定数まで増やす仕組みになっているようで、それを利用した通路なのだろう。
だが、同時に苦戦してもヤバくはならない様に配慮されているようにも思える。
俺の中で抱いていたおおよその予測が革新へと変わりつつある中、同時にあの黒いオーガ達はどう考えているのかが少しだけ気になった。
ヴェルズリの方は怪しい限りだが、あのメロンというドラゴン族は賢そうな気がする。
俺達が通路を出て再び外に出ると先に出てきた次男のチームが次の出入り口へと入っていく後ろ姿を見た。
どうやらあくまでも先に進むつもりのようで、譲るつもりは今の所ない。
今までのパターンから見てもそろそろ隠し通路がありそうな気がするけれど。
俺達は走って追いかけながら更に奥にある柵を幾つか確認する。
「どうやら奥へと繋がる通路があるという感じはしないけど、念の為に入って確認した方が良いな」
「はい。下手をすれば楽な道があるかもしれませんし。このままだと一番上の兄さんのチームと一緒に行動という事に…」
「絶対嫌よ。あの五月蠅そうな鬱陶しい人間代表みたいな人と一緒に行動なんて。まとまりも無いし」
「それはそうじゃろうよ。そもそも金で雇われた人間なんてそんなものじゃよ。金は人を短絡的にさせるからの」
「だから信用できん。金なんて最低限さえあればいい」
「それは困る。止めて! 大事でしょ!? 生活するうえで!」
言い争いをするアンヌとディラブをよそに俺達は次の出入り口へと辿り着く、中へと入る前に先ほどまでいた上の出入り口を確認。
どうやら長男のチームはまだ中で悪戦苦闘中のようだ。
先に入ってしまおうと入ろうとしたその瞬間柵が開き奥への道が始まった。
走り去ってしまった方が良いと考えてから俺達はそのまま動き出す。
「さてさて。これが吉と出るか凶と出るか。それはこの後次第じゃな」
「出てくる気配がなさそうだし、先に進んで追いかけたほうが良いな」
「別の通路があるのかもしれないしね。先を急いだほうが良いと思う。探って時間のロスが一番嫌だし」
「下が見えてきたな。あれは噴水か? それと赤石で出来た公園のような場所があるな。庭園と言った方が良いのかもしれんが」
「見える限りでの一番底にはキング種やクイーン種は居ないようだな。だが気を付けて行こうか。ディラブはジャンプしてさっさと下に降りないようにな」
「せんわ。やろうとも思わんわ」
「やりかねないと思われているんでしょ? お爺ちゃんを労わりなさいよ」
「労わっておるのか? 普段から? 儂は貶されている気がするんじゃが?」
「自業自得とアンヌの顔に書いているぞ。ついでにディラブもディラブで「自己責任」だと言っている」
ババルウ君はクスクスと笑いながら俺達の前を走っている。
少なくとも俺達の会話ですっかり緊張は解れてきたみたいだし、この調子で下に降りて行けばいいと思っていると上の方から長男の元気の良い声が聞こえてきた。
瞬間アンヌとディラブが鬱陶しいみたいな顔をしている。
しかめっ面と言う奴だ。
追いつかれる前に進む方が良いのかもしれないが、正直一緒に行動したくないので、俺達は無視することにした。
次の出入り口が見えてきた瞬間俺達は入るか否かで少し悩む。
「入りましょう! 悩む時間が勿体ないですし、もし罠なら突破しましょう。どのみちここで待てば兄と合流することになりますし」
「それが一番嫌よね。じゃあ先に進みましょう」
アンヌがババルウ君と共に先行していき、俺達は後に続くように進んでいくと底の見えない広い空間に無数の石橋が左右上下あらゆる方向へと繋がっている不思議な場所へと辿り着いた。
すると後ろの入り口が閉まっていき、俺達は先に進むしかなくなった。
しかし、この先は完全に壁なのだがどうするつもりなのだろうか?
俺達が居る石橋は結構大きくできており、五人で横並びに歩いてもまるで問題は無いほどだ。
少しだけ歩いていると後ろに『ドスン』という重たい何かが落ちてくる音、何事かと振り返ると悪魔を模った大きな壁がそこにはあった。
「悪魔系のキング種!? 迫りくる恐怖!? 嘘だろ!?」
「え? ジャックは知っているの? これ何? お爺ちゃん知ってる?」
「まあの。迫りくる恐怖と言う名のモンスターで、狭い通路などで出現してそこにいる人間を圧し潰そうとするんじゃよ。使う能力も『遠距離斬撃能力』『五属性魔術』などがある。あらゆる状態異常に対して耐性を持ち、壁であるがゆえに頑丈でナーガの魔術でも破壊しきれんほどの個体でもあるんじゃよ」
「制限時間内に頑丈なこのモンスターを壊さないといけないってことだ。しかもこいつはあの邪神のお気に入りだった。違う個体だけど左右から挟まれて襲われたことがある」
「俺も一度戦ったことがあるが、頑丈なうえ攻撃手段も多彩で厄介だったと記憶しているな」
「そうなんだ…やることは違わないね。とにかく破壊するだけ」
此処にきて突然殺意マックスな奴がやってきたので少し驚いてしまった。
等しく会っていない相手でもあるし、何より結構ヤバい状況に追い詰められた記憶があるので苦手意識が増長している。
「こいつ相手に下手に魔術で勝負をしない方が良い。そもそもこいつの素材自体に魔術などの魔力全般に対する耐性がある」
「それって呪術が効かないってことですか?」
「ああ。効かない。無論聖術にも耐性がある。とにかく物理で破壊するしかない。こいつは耐久型のモンスターなんだよ」
「豊富な攻撃手段を持つな。攻撃をガッツリ仕掛けてくるわ、その癖耐久値は異常なほど高いわで最悪じゃよ」
赤色の大きな壁として迫ってくる悪魔系である迫りくる恐怖に俺達は武器を構える。
「儂はサポートに回るかのう。防壁や行動の高速化は任せてもらおうか。ある程度の怪我なら瞬時に治せるぞ」
「俺は良い。直ぐに回復する」
「俺も構わない。そもそもそこまでのダメージを受けない。ババルウとアンヌにだけ気を付けてやってくれ」
「ぼ、僕も!」
「受けておきなさい。この二人が異常と言うだけなんだから」
俺達をまるで化け物のように語るアンヌ、俺達の合図を待つことなく一気にアンヌが正面から破壊しようと試みる。
しかし、頑丈な壁そのもの。
多少はダメージにはなっているかもしれないけれど、あまりダメージとしてはあまり確認が取れない。
すると迫りくる恐怖は俺達に向かって斬撃攻撃を無数に亘って攻撃を仕掛けてきた。
俺とディラブは攻撃をギリギリで回避しつつ一気に接近していき、俺は横なぎの一撃、ディラブは振り下ろす形での強力な一撃を繰り出す。
アンヌがダッシュで後ろに下がりつつ再び駆け出していく。
斬撃攻撃をジャンプしたりスライディングしたり紙一重で回避しつつ勢いを殺さない様に突っ込んでいく。
大きな一撃に一瞬だけだが迫りくる恐怖が下がっていくのが見えた。
「おいおい…迫りくる恐怖を押し返そうとしたか?」
「何この人…怖い」
俺とディラブが本気で引くのだが何せ頑丈過ぎでまるで話にならない。
ここまでの個体は下手をすると初めてかもしれない。
こいつは今までの奴で一番硬い個体だ。
苦戦しそうだなと心に思い描く俺達だった。
どうでしたか?
今回登場したボスはモデルがいますが、まあ知っている人は知っていますよね(笑)
では次は赤鬼のオーガ第四十一話でお会いしましょう!




