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継承の儀式場攻略戦 4

継承の儀式場攻略戦四話目となります。

邪神ベルターという存在が描かれる一話となります。

では本編へGO!

 邪神ベルターという存在は俺はきっと一生生きても忘れることは無い存在として、己の心の奥底に刻み続け思い出すたびに背筋をゾッとさせながらも誰かに語り聞かせたい相手でもある。

 人を、そこに生きている命を目の辺りにしてもなお彼はその全てを「くだらない」と切り捨て、同時に生きている命に容赦なく「邪魔だ」と言い放ち、そこにある全ての大陸に「滅びろ」と命令できる。

 部下と呼ぶべき存在すら一人もいないのに、と言うか誰も仲間が居ないのにあいつは本気で何百年かけても世界を滅ぼそうと考えていた。

 今までああいうヤバいレベルの敵は何度もこの世界に現れたわけだが、それでもきっとあんなレベルヤバい奴はそうはいない。

 多分邪神ベルターは本当の意味で命をまるで見ていないのだと言えた。

 人だけじゃない、生きるという事に対して「価値」を見出していないのだろう。


『生きることに価値なんて無い。下らない事だ。平和であることを願うなら死ね。皆等しく死ぬことで世界は平和であれる。生きるから争いが生まれるのだ。そもそも生きることが争いであろう。下らない。平和を求めるなら死ね』


 そんなことを平然と吐き出して懇願する人間に容赦なく力をぶつけるような人間だ。

 だが一方で極論ではあるがそれが一番の平和であるという残酷な真実もそこには存在しているんだ。

 俺は認めないけど。

 絶対にあの邪神ベルターを認めないし、絶対に何があってもあいつが生きていることに納得なんて出来ないけど、残酷な真実だけは本当なのだろう。


『我を殺した所で次の邪神が現れるだけだ。勇者よ。お前はこの下らない世界を前にしてそれでも絶望しないで生きることが出来るのか?』


 まるで己の心に今現在語り掛けているかのような言葉に俺ははっきりと答えることが出来た。

 出来るのだと。


『命は醜く愚かだ。貴様はいずれそれを目の当たりにする。その時、改めて答えを聞こう』


 出来れば一生掛けても出てきてほしくないと心に願いながら俺は歩ていたわけだが、夢ではなく現実であいつは死んでも無い俺に語り掛けてくるのか?


『死んで暇なのさ。安心しろ。何も出来ん。しょうもないこの無残な現実がそこにあるだけだ。強いて言うならあの二人の所為かな? あの二人が近くにいることで我々の間に一時的な繋がりが出来た』


 勝手なものだ。

 俺はこの声を無視することにするとアンヌが「どうかした?」と覗き込んで訪ねてくるので俺は「何でもない」と言って前を歩く。

 すると歩いて直ぐに皮膚がただれて苦しそうに歩いているゾンビの群れが普通に現れた。


「案の定か…やはりモンスター関係に関係する奴が接触を止めて先に進んでいるようじゃな」

「無視しましょう。ゾンビ程度なら走って去ることが出来ると思います」

「足りないな。アンヌが正面突破で吹っ飛ばして行き後を俺達が付いていくパターンでどうだ?」

「ジャックがその前に火の玉で正面に向かって放てば百点だと思うな」


 まあ良いけどさと思いながら俺は右手の平を正面へと向けて廊下の壁から壁までを埋め尽くすような大きさの火球を作り出して放つ。

 吹っ飛ばされていく火球は遥か前方へと向かった所で壁に衝突して消えた。

 どうやら先行組はだいぶ先に進んでいるようで、まだしぶとく生きている分はアンヌが正面突破で排除していく。

 安心して先に進むことが出来ていく中、俺達は火球がぶつかった場所まで辿り着いた。


「罠は無しじゃな。強いて言うなら先ほどのゾンビが厄介と言う感じじゃが、この先は別の個体じゃな。このまだ見えなくても感じる視線」

「悪魔系が徘徊しているな。まだ下までそこそこあるはずだが、それでも悪魔系が徘徊し始めたか…」


 空を漂う一つ目の蝙蝠によく似たモンスター、その名を『バルキー』と呼ばれており、一体一体は弱いのだが群れで行動しつつ音と目から飛び出るレーザーで攻撃する。

 音を使って足止めしつつレーザーで敵を討つという典型的な戦法を取る事でも有名で、洞窟や遺跡などで生息する豊富な種をそろえる悪魔系の中でも最弱の種である。


「俺が何とかしよう。細々としているのは苦手だろう? 特にディラブは」

「そうだな。あまり好きではない。時間が掛かる上に囲まれるのが落ちだ。素早く手早く出来るならそれでいい」

「ジャックに任せていいの? お爺ちゃんも偶には役に立てば?」

「儂は本来戦闘がきちんとできるタイプじゃ無いんじゃよ? 強いて言うならジャックの術を強化して魔力の回復力の促進しか出来ん」

「それで十分なのでは? と言うよりサポートやヒーラーに戦闘を任せるのは間違っているのでは?」

「そういう事だな。諦めろ。しかし、あいつら一体も倒せないで先に進んでいるようだな」


 それも全部避けて先に進んでいるようだ。

 そろそろ長男のチームもやってくるだろうし、下手をすれば俺達が駆逐した後にやってくる。

 かといってここでやってくるのを待って必ず来る補償も無い。

 俺達が突破するしかない。

 光属性と防壁属性を組み合わせて右手の人差し指と中指を正面に向けつつ作った術式を真っ直ぐに廊下の先へと向ける。


「術式融合。鏡面狂光」

「何その物騒な名前」

「今何故名前が分かった? 物騒だと」


 ディラブがすかさず突っ込んでくるが、俺は術式を崩さない様にするのに必死でそれ以外は考えていられない。

 光を飛ばし、光が接触する生物は貫通し石などの無機物だけは反射するように作り上げるわけだ。

 ゴーレムのようなタイプは使えないが、悪魔系なら割と行ける術だろう。

 なので正面に向けるのではなく壁に反射させつつこっちに戻ってこない様にする。

 角度を調整しつつ俺は術式を放つ。

 音も鳴らず素早くかつあっという間に反射しながら正面へと突っ込んでいく光は結果明るく見せてくれる。

 その結果廊下全体が明るく見えて、先にいる次男のチームがはっきりと見えた。

 そして、新しい術式を瞬時に組み上げていく、少しぐらいやり返しても文句言われないだろう?


「光術式と雷術式と重力術式複合術式融合! プラズマ!!」


 右手の平から放たれた無数の光の束は奥にいる無数の魔物とその更に奥に居る特に目立つ二人めがけて飛んでいた。

 バルキー達は瞬時に蒸発して消えるわけだが、奥にいる二人に向かって放った術式は軽く消されてしまう。

 まあ何か痛手を与えられると思っていたわけじゃないので良しとした。

 しかし、これで出口に向かって安全に進むことが出来ると思った時入口の方から長男の元気の良い声が聞こえてきた。

どうでしたか?

邪神ベルターとは戦う事はありませんが、この後も幾つにも渡ってトラブルの原因になっている存在でもあります。

では次は赤鬼のオーガ第四十話でお会いしましょう!

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