継承の儀式場攻略戦 2
継承の儀式場攻略戦二話目となります。
いよいよ黒いオーガ登場です!
では本編へGO!
広がる光景に圧倒されながらも俺達は底を見ようとジッと見下ろすが、霞んでいてまるで見えてこない。
結構長いスロープになりそうだと思いながらも俺は出来る限り遠くからでも見える範囲で気になる点を見つけようと思ったのだが、どうやら幾つか同じような柵が用意されておりその柵を解除するのに近くにある奥へと続く入り口の先へと進む必要がありそうだ。
真下までとりあえず移動するしかないと思い歩き出す俺達だが、ここでディラブが「走った方が良いのでは?」と言い出した。
「良い分は分かるが戦う際の体力も残しておいた方が良かろう。それに走ることは必ず良いことではないと思うぞ。先ほどのあ奴らのように悪い道に誘導されては意味が無かろう?」
「そういう事だ。ゆっくり行こう。どのみち途中でキング種やクイーン種と戦う事になる」
「そういえば。それで思ったけど。オーガの人はキング種やクイーン種に対してクラスっていう言い方をするの?」
「凄い話を飛ばしたかの? どこ繋がりで聞いたんじゃよ」
「そうですよ。最も古い言い方ですから今でもする人は城塞に住んでいるような兵士達ぐらいですけどね。他では種という言い方が主流ですよ。ディフェンダーでは種と呼びますし」
「だったな。だからクラスと先ほど言われた時正直に言えば滅茶苦茶違和感があった。聞きなれない感じがする」
歩いて十分が経過した際に、最初の柵へと辿り着き同時に俺達が先ほど居た場所に両チームが現れた。
俺達は彼らに手を振りながら先を進んでいくと、距離があるにも関わらずはっきりと「なんでだよ!?」と言う長男の声が聞こえてきた。
どうやら今の所メンバーが欠けたということは無さそうだとババルウ君が少し安心したような顔をしていたが、少しばかり甘い気がする。
俺達はとりあえずと奥へと進んでいくと、遺跡のように所々ひび割れた壁や天井を警戒したり、時に罠を確認したりしながら先へと進んでいくと、目の前に大きな空間が現れた。
両サイドに続く階段とその下に広がる幾つか存在する柱、そしてそんな柱の中心には両手に盾を持った屈強な体つきをしているアンデット系モンスターが鎮座している。
「あれを倒せという事じゃな。そして、倒したらあの柵が上がると?」
「じゃないか? これ俺達が苦労してあいつ等が楽をするパターンだよな?」
「だろうな。見た感じこの部屋に隠し通路がある感じがしないし」
「でも、昔聞きましたけど、奥へと向かう道中にはこの部屋のようにボスのようなモンスターが居るパターンと居ると見せかけて別ルートへと通じるパターンがあるから探らないと分からないと」
「それを教えてくれた人は優しいな。他の兄弟が聞いていないことを願おう」
「聞いているから知っているはずです。一番上の兄が覚えているかは謎ですけど」
あの馬鹿そうな顔つきを思い出して「無いな」と断定しつつ俺はババルウ君の方を見る。
ババルウ君の改めて大きな盾を二つ持っているモンスターを観察する。
「騎士と同じようにある程度のダメージが必要なパターンですかね? でもあの盾を強引に突破するのは無理そうです」
「出来んわけじゃなかろうが、周辺被害が大きすぎて止めておいた方が良かろう」
「何故皆で俺を見るかね。何もしていないだろう? それはあるよ? 周辺被害を出して良いのなら」
「駄目。したら怒る。殴る。刺す」
「刺すな。事件は起きる。しないと言っただろ? しねぇよ」
「正面で攻撃をしつつ後ろに回り込むか? 挟み撃ちが一番いいパターンだが…あのm数の柱はなんだ?」
「それ私も思った。柱と言うには天井まで伸びてないし、あれじゃ置物だよね? ただの…」
「攻撃を見ればわかるじゃろう。儂とジャックは何となく理解できたよ。じゃろう?」
「まあな。降りて戦えば分かる。ただしやるなら足が速い人間が囮が良い。一撃が大きい人間がトドメだ。他のサポート。ババルウ君が決めると良い」
ババルウ君は少し考えてから俺達の方を向き直りはっきりと告げる。
「アンヌさんと僕で囮をします。僕の呪術で僕達の速度を上げつつディラブさんの呪術で反応速度を微かに低下させる。ジャックさんとリアンさんは援護をお願いします。ディラブはトドメを」
俺達は「それで行こう」と言いながら階段を降りていき奴に近づいていく中、俺とリアンは柱の一つに身を隠し、アンヌとババルウ君が敵へと近づいていく。
ディラブは数歩ほど下がった位置で敵をしっかりと視界に捉えつつも足を前に進ませる。
するとアンヌとババルウ君のどちらかが反応させたのだろう。
この際面倒なので盾持ちと呼ぶが、盾持ちは突然盾をしっかりと正面で構えて突っ込んできた。
俺とリアンは内心「やっぱりか」とも思った。
この赤石の柱は幾つか新しく作り直しているようだし、恐らくこれに当てろという意味なのだろう。
突っ込んでいったのはアンヌ、アンヌは攻撃をギリギリまで引き付けつつ自己加速を掛けて一気に真後ろに回り込む。
ドスンという良い音が聞こえてくる中、ディラブは真横から襲い掛かっていくが盾持ちは体を一回転させてから改めてディラブへと突っ込んでいく。
俺はそれはさせまいと重力属性で近くの柱に盾持ちを誘導する。
ディラブはスライディングの要領で突進攻撃回避しつつ真後ろを取る。
ババルウ君は呪術で反応速度を低下させて敵の動きを一瞬だけ止めた。
ディラブがトドメを指そうとしたその瞬間盾持ちの真上から物凄い衝撃音と衝撃波が周囲を襲う。
潰れた盾持ちの上には先ほど次男のチームとして立っていた男が俺達を見ていた。
「鈍いぞ! 早くしろ!面白くないだろうが!!」
怒号だった。
フードを取り外し俺達をしっかりと見つめる目は大きな釣り目、瞳は黒いのだが綺麗とは程遠い濁り切っている。
顔つきも厳つくごつごつしておりカッコよさよりは禍々しさを感じてしまう。
角も何処か傷だらけで歴戦の勇士を思わせるが、それ以上にヤバさというものを肌で感じさせる。
こいつはヤバい人間だと、ヤバいオーガだと俺に教えてくれているようなそんな気にさせる相手だ。
黒い肌…間違いない。
この馬鹿にならない破壊力を持つ一撃をあっさりと放った辺り、こいつが噂の黒いオーガだろう。
「黒いオーガ…?」
「ほう…俺の噂を知っているか。だけど…俺も知っているぜ。赤鬼のオーガだろう? そして…」
俺の方を見るのだが、俺はこの男が纏っている雰囲気に身に覚えがあった。
あの思い出すだけでゾクゾクさせる化け物、間違いが無い邪神と同じ気配を漂わせている。
あの男にも感じさせた邪悪な気配。
「黒いオーガのヴェルズリと言う者だ。よろしくしないで良いぜ。俺もよろしくしないからよ」
「それは良かったよ。俺達もあまりよろしくしたくないからさ」
「ハハッ! 気が合うな俺達! 儀式でなければ殺しあうんだがな。それは追々…な? アハハ! 楽しそうな儀式になりそうだ! なあメロン」
「あたしの名前を気安く呼ばないでよ。でもそうね…楽しくなりそうだわ」
この部屋の入口には同じように次男のチームであろう人物が立っており、フードを外すと角の生えた整った顔立ちの女性が現れた。
角が生えているという事はドラゴン族なのだろうが、これまた派手なピンク色の髪をしておりアイドル顔という感じがするが、正直纏っている雰囲気が同じぐらい禍々しい。
普通ではない二人組だが、どうやらこの二人元々コンビを組んでいるようだ。
「俺達が戦っていた相手を横取りってどういう神経しているわけ?」
「話をしたかったんだよな。元勇者様にさ。邪神を倒した元勇者。そして、赤鬼のオーガの末裔にさ」
「それはどうも。拍子抜けしたろ? 俺もディラブにも期待されても困るしな」
「良いや。むしろやる気が出た。いずれ殺し合おう!」
厄介なのに目を付けられたな。
どうでしたか?
黒いオーガのヴェルズリとドラゴン族のメロンが登場しましたね。この王位継承の儀式という話ではこの二人がボスとなります。
では次は赤鬼のオーガ第三十八話でお会いしましょう!




