城塞都市ランドロス 3
城塞都市ランドロス第三話となります。
今回で国王が登場となります。
では本編へGO!
豪華な門構えを越えていきまずは城前にある要塞の中へと入っていくと、大きく奥へと続く赤石と金属で作られた廊下を越え、その奥に見えてきた大きな谷に掛かる掛かっているのは城側へと橋そのものを収納できるタイプの可動式の橋。
その橋を馬車で渡りそのまま真っ直ぐに城の中へと入ると、入り口の大きな広間で馬車を降りて道案内役の金属の胸当てやヘルメットを被っているオーガの一般兵の道案内で上の階へと向かって階段を歩いていく。
途中でアンヌがキレそうな顔を何度かした辺り、どうやらこの階段による上り下りが気に入らないようだ。
そのまま上がる事十階ほどして謁見の間へと辿り着き、ババルウ君の「入ります。父上」という言葉と同時にババルウ君がドアを開ける。
石で出来ているドアだから相当重たいはずだが、そこは流石にオーガだと言わざる負えない。
アンヌならピクリとも動かない事だろう。
部屋の一番奥には大きく豪華な金の装飾と赤石で作られた玉座に座っている人物が真っ先に目についた。
上には大きなシャンデリアと下にはカーペットと左右にはステンドグラスがずらりと並んでいる。
玉座は若干高い場所に作られており、俺達を眼下に置くような形で俺達は膝をつきしゃがみ込む。
「頭を上げてくれ。不肖の息子が迷惑を掛けた。詳しい話は聞いている」
「申し訳ありません。父上」
「謝罪は此処まで連れてきてくださった客人に言うべきだな。で? その客人がお前と共に参加してくれる方々で良いのか?」
「はい。私自身も頑張りたいと思います!」
震えながらもなんとか父親である国王に対して必死な表情で訴えかけるように見ており、国王自身もそんなババルウ君に対して決して蔑ろにするようなことはしない。
「なら良い。客人もこのような身内沙汰に巻き込んですまなかった。だが、これも国王を引き継ぐ為に必要な事なのだ。例と言っては何だが何か頼みがあるのなら最低限聞こう」
「でしたら。私ジャック・ロウから一つお願いが。私はナーガ政府からの頼みがありこうしてまいりました。ババルウ・オーガが国王へと認められた暁にはナーガ政府との交流をお願いいたします」
「フム。今現在中央大陸で起きているという騒ぎと関係しているのか?」
「はい。その主犯と思われる男はもう既にオーク大陸に侵入しています。既にランドロス鉱山の東区でトラブルを起こしました」
「その話は既にディフェンダーから聞いている。随分酷い状況だったと。これも礼をせねばな。なるほど。大陸間が一丸となるべきという事か。これも女神の導きか…もしくは…」
国王は何かを考え込むような顔をしながら俯きブツブツと呟きだす。
「分かった。今日からはこの城塞に住むと良い。どのみち外に出たりするならそれが一番良いだろう。儀式まで一週間しかないが息子をよろしく頼む」
「はい。では私達はこの辺で」
「ああ。食事を用意させている存分に楽しんでくれ」
そう言ってから俺達は部屋を出ていき、そのまま案内されるがままに食堂へと導かれて用意された食事の前へと座り込む。
リアンと俺がジッと食事を見つめて毒が入っていないかと疑ってかかると、アンヌが小さい声で「大丈夫」と声を掛けてきた。
「毒は入っていなかったよ。さっき確認したから大丈夫。早く済ませよう」
肉料理やスープやデザートなど所謂コース料理に舌鼓を打ちつつ、俺達は個室へと案内された。
案内された個室の中へと入ってまずしたことは室内のチェック作業であり、隅から隅までしっかりと確かめる。
流石に城塞内で客人を殺すという事はしないとは思うが、まだあの国王を完全に信じ切ることが出来そうにない。
この城の中なら人を殺してもまだなんとな処理できるはずだし、正直に言えば俺はババルウ君を指示しているかどうかまだ半信半疑状態だ。
「ナーガ十将軍だともうバレてはいるはずだが、今の所動こうとする気配は無いな…」
とりあえず着替えてから室内をウロウロしてみることにした。
大きな部屋に人が三人横になってもまだ余裕があるだけの大きさのベット、衣装が沢山入る衣装タンスが二つ、机や椅子もしっかりと完備している。
個室の中にシャワー室まであるのだから十分ここで住めるレベルだ。
キッチンまであるのはどうかと思うけど…ていうか要らないだろう。
「ジャック・ロウ君だったね。少し話をしないか?」
ドアの奥から国王の声が聞こえてきた俺は疑いの心を隠しながらもドアをそっと開ける。
先ほどと変わらない恰好をしている国王に付いていき、先ほどの謁見の間の一個下にある庭園へと移動する。
中心にある大き目の噴水前まで移動してから改めて俺達は向かい合う形になる。
「元勇者のジャックだな? 噂は既にディフェンダーから聞いている。中央大陸を追放処分されていると。しかし、解せない部分がある。教会がそんなことをする理由だよ」
「………」
「私は教会という組織を信用できない。君は元とは言え教会側にいた人間だ。君を信用する理由が欲しい」
そうきたか…いや、まるで考えていなかったわけじゃない。
それを疑われる理由が俺には確かにあるが、アンヌだって同じ理由で疑われるはずだが、アンヌは外の大陸での知名度は非常に低く無いに等しい。
その分俺の知名度は抜群だ。
「…そんなものはない。俺が俺の意思で行動しているという理由に俺自身以外に証明する方法が無い。ナーガの十将軍になったのも、俺がこの事件を解決する上で必要なものだからだ」
「………」
「この事件は解決する。それが俺が行動する理由だ」
「………追放されてなおどうしてまだヒューマン族を信じようと思う?」
「…俺が追放されたから信用しないというのは理由にはならないからだ。教会を疑いはするが、それでもヒューマン族全部が悪いわけじゃない。そんなことを言い出したら各種族全てに問題がある」
「なるほど。それはそうだな」
「真直ぐ前を向いて生きる。昔も今もこれからも俺の生きる理由は「誰かを助ける事」だ」
「…何処まで真っ直ぐか。なるほど。君と言う人間は分かった。信用するかどうか、私達がお互いを信用できるかどうかは当初の良い分として最終的な判断を下そう。何か私に話があるのではないのかな?」
今度は俺が本題を話す番なのかもしれない。
湿地帯で感じた王族全体の考えと意向をこの際はっきりと伝えておくべきだろう。
「おそらく王族の残りのどちらかが裏側と繋がっています」
「…それは間違いが無いのか? 何か確信や証拠が?」
「証拠と言われると困りますが、核心に至った根拠ならババルウ君との会話の中や途中で一刀両断されていたキング種、場に残っていた呪術の痕跡、何よりババルウ君へとしつこく仕掛けられたモンスター達がそうですね。本当にしつこかった」
「そのようだな。なるほど。モンスター飼いなどを扱う事が出来るのは裏側の人間だけと言うわけか…しかし、モンスター飼いは本人自身の資質はあまり強くないと聞く」
「ええ。ですから恐らく複数名が繋がっているのでしょう。それも恐らくは…」
「次男の方か。あれは無駄に賢いがその分世間知らずなところが多いからな。自分の才能を過信している」
「長男はそういう小細工をする正確ではないと聞きました。どのみち今回の継承の儀式。簡単に終わるとは思えません」
「だが、今更中止は出来ん。それは絶対だ。そのうえでババルウがどうやって乗り越えるのかが重要なのだ」
あくまでも国王はババルウを国王にしたいと一点張りを繰り返していた。
どうでしたか?
次はいよいよ二人の兄も登場します。
性格も何となく見ていただければ分かると思います。
では次は赤鬼のオーガ第三十二話でお会いしましょう!




