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城塞都市ランドロス

いよいよオーク大陸首都城塞都市ランドロスのお話となります。

では本編へGO!

 ランドロス鉱山やランドロス湿地帯の名の由来は首都『城塞都市ランドロス』から来ているらしく、その歴史は非常に長い。

 千五百年前からオーク大陸に住む(当時はまだそんな大陸名ではなかったらしい)オーガ達は大陸の覇権争いをしていた。

 そんな中今の王族となる一族であるオーガ一族がこの場所に城と集落を建て、天然の要塞であるランドロス鉱山とそのランドロス鉱山に囲まれているダンジョンである湿地帯に守られたこの町をランドロスと呼んだ。

 この辺は『赤石』と呼ばれている真っ赤な石材が取れることでも有名で、その石材は風化し難く加工しやすさからオーク大陸では重宝された。

 この首都である城塞都市でも同じようにこの赤石で作られており、都市全体に統一感を出している。

 大きな四つの河は東西南北に伸びており、その中心には城塞が存在しているが、この水事態は地下水が沸き上がって出来ているようで、これは真下にある水結晶が水を上へと組み上げているのだとか。

 天然の水結晶なんて珍しいのだが、この水結晶の仕組みを見た五百年前のホビットがナーガ大陸とオーク大陸を結ぶ地下ダンジョンを作ったのだそうだ。

 城塞都市の四つの入り口は大きな河を挟んで大きな道が二つ真っ直ぐと城塞方面に向かって伸びており、その門の周りにも要塞としての機能がある。

 俺達はその要塞の一つでババルウ君の案内で城塞都市へと足を踏み込んだ。


「待っていてください。城の者に頼んで迎えを寄越してもらいます」


 そう言って歩き出すババルウ君は要塞の中へと入っていくが、果たして大丈夫だろうかと不安になる。

 そのまま城塞まで拉致られたら俺達はこの先困難になる気がする。

 流石にこれ以上の状況悪化は止めてほしいが、ものの数分で中から出てきたババルウ君は俺達に「馬車を用意してくれるそうです」と笑顔で告げた。


「馬車なんだ…やっぱり他の乗り物って無いんだね。地面に赤土のままだし、まさかとは思ったけど」

「何が不満なんだ? 俺からすれば他の大陸が異常なだけだ。乗り物は必要か?」

「一般人の感性とオーガの感性を一緒にするなって文句が出るな。今時歩いて旅をする方が珍しいだろうに。もう十年ぐらい経てば飛空艇だって簡単に乗れるようになるさ」

「オーク大陸は山と谷が多く基本入り組んでいることが多いのであまり乗り物には向いていないんですよね。昔車を通すための道を作る計画がありましたけど、結局難しいととん挫したと聞きました」

「では鉄道も同じなのかな?」

「はい。一度は通そうと思ったようですが、結局でそれも叶わず。どうして大陸の半分が鉱山だと難しくなるんですよね。奥にある城塞まで案内します。父に一度会ってほしく。今日は城塞に泊ってください。流石に入って話し込んでいると多分出る時間は過ぎますから」

「時間があるのか? まあそうじゃろうな。しかし…城の食事は堅苦しくあまり好きじゃ…」

「元王族が言うべき言葉じゃないよな? まあ、あまりリアンって王族っぽくないけどさ」


 リアンは「じゃろう?」とか得意気にしているが、何が良いのかまるで不明だったりするが、まあこの人に常識という部分を解いても無駄なのであえて突っ込まないままでいる。

 ディラブはぼそりと「この女に王族が務まるのか?」と本気で失礼なことをささやきかける。


「失敬じゃぞ! これでも巷では有名なプレイボーイだったんじゃ」

「王族としても責務とプレイボーイって同レベルに語っても良いこと? それと、それは誇ることじゃないと思う」

「言っても聞かないぞ。このプレイボーイ元王族は。それよりお前は馬車に対する不満はもういいのか?」

「失礼な事言わないで! 馬車が不満だと言ったんじゃないの! 基本的な移動手段が歩きしか無いのが不満なの! 普通列車をと通すなりするでしょ?」

「? 船なら通っているだろう? それ以上必要か?」

「オーガの野蛮人代表邪黙っていて! 私はナーガの野蛮人代表と話をしているの!」

「突っ込みどころしかなかろう。なんじゃよ…オーガの野蛮人って。ナーガの野蛮人も大概じゃが。別段ジャックは野蛮人ではなかろう?」

「良いの! 図体が大きくて魔力であらゆる全てが解決するような人は野蛮人です!」

「だったらレイピアであらゆる問題を解決できるアンヌも野蛮人という事にならないか…? いや…何でもないです」


 睨まれた。凄い…睨まれました…俺何かしたかな?

 普通に指摘しただけなんだけどさ。


「普通移動するときには乗り物を乗るでしょ!? それが普通じゃ無い? 今時歩いて大陸横断する人いる?」

「居たじゃないか…ここに。代表者一名が」


 全員の目がディラブの方へと向き、ディラブ本人は「俺か?」と疑問顔を作るがどうやら自覚は無いようだ。

 分かっていたけどさ。


「オーガ全員が別に移動手段に歩きを選んでいるわけじゃないので。基本は船か馬車ですね。谷間が広く作られている場所では飛空艇が飛ぶこともあります」

「じゃが危険じゃろうに。発着場もあまり無いじゃろうし…まあオーガ大陸ならではの問題じゃよな。それこそ他の政府にでも相談すれば色々と解決策がありそうじゃが…」

「父さんは今の状況に今のところ不満さを感じてはいないよですが、物流関係の人達は他の大陸との行き来などを含めてもう少し利便性を求めているみたいです」

「当然よ! 普通考えるでしょ?」

「閉鎖的な大陸なんだから仕方ないだろうに。基本呪術で街を隠す習慣があるから他種族は他以上に珍しいしな」


 赤く作られた街並みを歩いている人は全てオーガで、他種族は俺達ぐらいだろうが、やはり珍しいのか遠いはずなのに町の方から結構ジロジロ見られている。

 まあ、ナーガとヒューマンとドラゴンがオーガ王族と一緒に居たら目立つという話じゃないか。

 すると要塞の奥の方から一人の初老のオーガが飲み物を人数分持ってきてくれた。

 初老ではあるが体つきはしっかりしており、金属の鎧のような装備を身に纏っているところを見るとここの兵士なのだろう。


「皆さん。こちらをお飲みください。温かいハニーミルクでございます」

「オーガでは一般的に体を温める際にハチミツとショウガを入れた温かいミルクを飲むんです。どうぞ」

「「「「いただきます」」」」


 ショウガとミルクの温かさで体の内側からポカポカしてくるし、ミルク自体もハチミツで甘く作られていて非常に美味しい。

 どうやらアンヌは気に言った様で嬉しそうに飲んでいる。

 ディラブは甘みが邪魔なのか渋い顔をしており、リアンは笑顔を作りつつも内心はあまりいい評価を持ってはいない。

 このメンツ四人全員の好みがバラけていて正直面倒だな。

 ディラブは辛党だし、リアンは渋みのある食べ物を好むし、アンヌは甘党。


「ディラブさんとリアンの好みには合わなかったようですけど、ジャックさんはどうですか?」

「? ディラブとリアンは分かるのか?」

「はい。表情や目の動きで何となくですが、ジャックさん達ナーガどうにも分かり辛く」

「分かるよ。私も同じ意見だもん。だってナーガの男性は皆兜みたいな頭部しているから表情に出ないんだよね」

「まあ、それがナーガだしな。俺はとくには…美味しいとは思うけど。まあアンヌ好みの飲み物だとは思ったな」

「そうなんですか。ジャックさんって味付けに好みってあるんですか?」

「………カラメ。濃い目が良いな。甘いのも嫌いじゃない。でもコッテリした料理が好きだ」


 母が味付けが濃いい料理を好んで作っていたので自然と俺も味付けが濃いい料理を好んで食べていた。

 その影響かもしれない。


「味付けが濃いい料理ですか…あまり想像が出来ないですね」

「オーガはどんな料理が盛んなの?」

「そうですね。素材そのものを使う事が多いですよ。意外とあっさり系も多いですけど。でも、東から南側は寒さが厳しい地区が多いので自然と辛い料理が多いと聞きます」

「フム。俺の生まれた故郷も東の方で基本は辛い料理が多い。カラメとは塩辛いという意味ではないのか?」

「そうそう! あまり料理をしないから意味を理解するのに時間が…」

「良く知っておるな。儂は正直分からんかったよ」


 アンヌが小声で「ナンパしている暇があるんならそういう言葉でも覚えたら?」と結構きつめの言葉を送っていた。

 無論無視しているリアン。

 街中から城行の馬車がやってきた。

どうでしたか?

アンヌからすれば自分以外はきっと野蛮人なんですね(笑)

では次は赤鬼のオーガ第三十話でお会いしましょう!

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