ランドロス湿地帯攻略戦
ランドロス湿地帯攻略戦がいよいよ始まりますが、ここではこの赤鬼のオーガというお話において重要人物が登場します。
あくまでもメインメンバーではありませんが、このお話では重要です。
では本編へGO!
翌日俺達は夜明けの太陽が昇る前に町を出ていき川を上っていきながらディラブが言っていた集落を発見した。
集落と言うよりは湿地帯を前にした関所のような場所で、石を高く積み上げた大きな壁と金属と木で出来た門、その前には湿地帯を超える前の検査を兼ねた小屋が一つと恐らく休憩所を兼ねた建物が二つほど置かれている。
おそらくその二つの内は買い出しが出来る場所でもあるのだろうが、外に商人のような人たちが露店を出しているので要らないような気がするが。
俺達はディラブに受付を任せて外の露店で簡単な買い出しをしておくことにした。
湿地帯はぱっと見が同じような場所が多く、迷いやすいので地図とコンパスを二ほど購入しておく。
「で。誰がもつ? まあ、聞かないでも分かるか…」
「私無理。戦っている最中に落とす。絶対に言い切れる」
「なら儂とジャックかのう? リーダーであるジャックと儂で場所を常に把握しておこう」
「リアンが? 出来るの?」
「出来るわい!」
「お爺ちゃんが出来ることって成功しないナンパじゃない? それ以外で何かできるの? 現状何も出来ないと言っても過言じゃないでしょ?」
リアンがシクシクと泣き始めるのを俺達は鬱陶しいという顔で見下し、俺とアンヌは結晶を売っている露店を発見した。
珍しいという気もするが、結晶は本来オーガで取った魔石と呼ばれるエネルギーで出来た石を採掘し、それに術式を付与することで使うのだ。
ほとんどは術式が付与されていない魔石が売られている。
「もしかしてオーガって魔石採掘だけじゃなくて、結晶状態になっている物も売ってる? 教会だけの技術じゃないんだね」
「みたいだな。魔石だけ購入して術式を付与してみるか? いや…無理か。結構難しいと聞くし」
「やめた方が良いよ。私もやったことあるけど三回挑戦して一回成功すればいい方だし」
「ちゃんと知識が無いまま行えばそりゃあ失敗するわい。ちゃんとした技師以外がやった方が良いじゃろうに。しかし、結晶や魔石を売っているとは珍しいの」
「やっぱりそうなんだ。オーガで魔石が売っているのは分かるとして、どうして結晶の方まで売ってるのかな?」
アンヌがしゃがみ込んで結晶を手に取って見てみる中、俺は一つ気になったので赤い結晶を買ってその場から後にする。
リアンとアンヌも後に続くように歩いていき、俺達は歩いて五分ほどで立ち止まり俺は購入した結晶をジッと見る。
一般的に教会が作る結晶は移動系などが殆どで戦闘用に作ることはあまりない。
と言うのも戦闘中に使う暇があるのなら自分の術式を使った方が早いからだ。
移動系は魔術を使うナーガでも結構の量の魔力を消耗する。
実際アンヌも俺が初めて移動系を使った際にそのように発言しているのが良い証拠である。
だから結晶に封じ込めてから使えば魔力の消費量を気にすることなく使う事が出来るというメリットがある。
だが、この結晶体は炎属性の術式が付与されているのだ。
「要するにこの結晶体を使えば炎属性の術式を使う事が出来るという事だよね? でも…それって役に立つ?」
「役に立たんわけじゃなかろうか。意味があるかと言われたら無いよの」
「無いな。普通に術式を使った方が早いからな。それにこれじゃこの結晶体が燃えるだけな気がする」
魔術と言うのは本来属性と術式の形などを事前に唱えて完成するのであって、ただ炎を作るだけではあまり意味が無い。
ならこの結晶は薪を作るみたいな意味でもなければ使い道が無い気がする。
いや、それも着火剤を使えという話だしこれ…役に立たないよな?
「でも、触った感じこれ素人が作るようなレベルの結晶じゃないぞ」
俺は購入した炎属性の結晶をアンヌに向かって放り投げ、アンヌは危なっかしそうにそれを受け止めた。
先ほどと同じように掌で転がして今度はリアンの方へと手渡す。
リアンはのぞき込んでみたりしていたようだが、直ぐに興味を失ったようで俺に投げて返した。
「終わったぞ。何をしている?」
俺は戻ってきたディラブにも結晶を投げて見せてやるとディラブは不思議像な顔をして結晶をのぞき込む。
最後に「これは?」と聞いてくるので、坑道の時に教えた結晶だというと「ほほう」と関心が高そうな顔をして触っている。
「これどこで購入したんだ?」
「そこの露店だ。なあ。オーガでは結晶を作っているのか?」
「魔石なら幾らでも取れるから産出量はあるだろうが、結晶を作っているという話は聞いたことが無いな。最近作っているのだろうか?」
後継者争いに結晶づくりか…嫌な予感がするよなぁ。
「嫌な予感がするの。急な後継者争い。それにこの結晶。雑なつくりは思えんし、もしかしたら国王か後継者が関わっておるのかもしれんな」
「ディラブどうなの? 今の国王様はそういうことをしそうな人?」
「どうだろうな。会ったことがあるわけじゃないしな。だが、噂程度で聞いた話では厳格で厳しく、利益より義理や人情で動く人間だと聞いたことがある」
「まあ、金に五月蠅くがめつい人間よりはましかな」
「ジャックはどういう基準で人を見ているわけ?」
「いや。国王とか国家元首とかは基本金と国民かという選択を前にしてきちんと人を見るべきだとは思うからさ。そりゃあ全部が全部それが正しいとは思わないけど。でも、最低のラインとしてはそうあるべきではある」
「状況によるがな。だが、結局は厳しい采配を下せるかどうか、それを厳しいと思えるかどうかは大事な部分じゃな。そういう意味では儂は三男にそれが出来るかどうかで変わると思うぞ」
というか、別に後継者争いに首を突っ込むと決めたわけじゃないのでここで決断はしない。
だが、突っ込むのなら三男が良いなと思いながら想像していると、ディラブが「そろそろ湿地帯を越えないか?」と言われた。
そうするかと思い門を潜ってから湿地帯へと足を踏み出してみる。
歩き出してに十分ほどすると足元が少しふわふわしてきたような気がして不安な気持ちを煽られる。
山と山に挟まれた大きな谷間なのに泥の沼やら草やらが生えていて独特の雰囲気を醸し出していた。
「足場を見つけながら先に進もう。とりあえず首都を目指して最短ルートを歩くぞ」
ディラブと俺が先頭を歩きながら足場を発見して歩いていく事三十分程で俺達の足はすっかりと止まってしまった。
そんなに前に進んでいる印象は無いが、それでもふと足元を止めたのは目の前に異様な光景が見えてしまったからだ。
というか、これは生きているのだろうか?
上半身が沼に嵌まって、下半身が外に出ているわけだが…オーガだろう。
藻掻いているように見えるので、まだ辛うじて生きていると判断して俺とディラブでオーガを引き抜く。
男性のオーガで背丈はディラブより十センチほど低い感じで、体格も細い感じがするが、鍛えていないのかもしれない。
着ている服はそこそこ良い物のように思えるのだが、金持ちと言った感じではあるだろう。
まあ、モンスターが徘徊しているこの湿地帯を武器も持たないで歩き回っている時点で正直危機意識としては低い。
その上どうやれば上半身が沼に埋まるという状況が完成するのだろうか?
「ああ、ありがとうございます。僕はオーガ国王の三男『ババルウ・オーガ』と言います」
今何と言った?
どうでしたか?
このババルウ君がこの先この赤鬼のオーガというお話では重要なキャラクターです。
彼の成長もまた見守っていただけたら幸いです。
では次は赤鬼のオーガ第二十四話でお会いしましょう!




