湿地帯を目指せ 2
今回は勇者の刻印に付いて改めて描かれる一話にするつもりですね。
ドライ最高司祭が別れ際に告げた言葉を探る旅でもあり、ジャックが旅する理由はそれですね。
では本編へGO!
管理区長さんが言うには東区の中で首都へと繋がる最後の町であり、同時に手前にある大きな町でもあるらしい。
河を挟んで作られた大きな町で、両サイドに大きな山と一本道が一つの橋を通じて伸びている。
石と木で作られた町ではあるが、どこか粗さが目立つ河港町であり交通や漁などで生計を立てているのかもしれない。
港で降りてから一旦周りを見回して大きな橋を発見した俺は「あそこで合流しよう」と提案してから解散することになったが、リアンは最後までめんどくさそうな顔をしていた。
俺は魔力で脅そうかと本気で考えてじっと見ながら黙り込むと、リアンは不穏な空気を察したのかダッシュで逃げていく。
チャンスを逃したと思いながらも俺達は此処で一旦解散、俺はこの町で一番大きな図書館を目指すことにした。
どの町にも必ず図書館は置かれており、中には国の重要な書物なども置かれているのだが、俺の目的は教会の印が入っている本。
それもここ最近寄贈された本だ。
教会は中央大陸では権威を持っているが、それ以外では権威はまるで持ってはいない。
だが、それは無いというだけで影響力が存在しないという事ではないのだ。
教会は様々な技術力を所有しており、中には珍しいレシピや技術や資料を残しているもので、それを時折だが教会が各大陸の図書館に寄贈するらしい。
「最近寄贈された本であの男が来ていれば良いんだけど。ヒューマン族がこの町に来て寄贈しにくれば間違いなく目立つはずだし。ましてや教会関係者だ。絶対記憶している」
ドライ最高司祭が別れ際に告げた一言、それが俺をこの旅へといざなっている。
あの人は俺の出生を探せと告げたのだ。
「あの人が各大陸を巡って何かを残したのならそれは図書館への寄贈以外にはあまり考えられない」
他に候補が無いわけじゃないが、最高司祭クラスとなればやることがあまり思いつかないんだよなぁ。
それにこの勇者の刻印も俺は詳しく知らないので教会の書物をしっかりと目を通しておきたい。
時間が掛かりそうだけどまあ俺以外で出来る人間はいないだろうしな。
「俺が昔聞いた刻印の話と少し違うんだよなぁ…でも他に刻印を見たという人間を俺は見たことも聞いたことも無いしなぁ…。ああ。こういう時に向かいの勇者の情報を調べていれば良かったな」
勇者に関しては俺は「興味が無い」という言葉を使って逃げ続けて知ろうともしなかった。
刻印は役目を終えたら消えるとも聞いたことがあるし、消えないとも聞いたことがある。
どっちが本当の事なのか、勇者の刻印はどうやって生まれたのか。
「でも。女神の聖典の中に掛かれていたような気がするんだよなぁ…なんだったかな? 学校の授業以外では興味もないから聞いていないんだよなぁ」
今頃になって調べておけばよかったと真面目に後悔しているのだが、どうにもあの手の話を聞いても俺は信じようとすらしないので殆ど分からない。
だって、あの聖典中のサブタイトルも似たような内容が多くて困る。
ホビットだってそうだ。
双星のホビットがあれば厄災のホビットなど色々とあるのだ。
「そういえば聖典ではあまりナーガは聞かなかったな。ナーガとヒューマンは聖典の中にはそもそもあまり出てこないんだよな」
アンヌに聞けば分かるのだろうか? それともアンヌも知らないのだろうか?
そう思っているがよく考えてみればアンヌは元々教会が嫌いだったはずなので、知らない可能性が非常に高いのだ。
後で聞いてみるか。
「さてとそろそろ見えてくるはずだが…おっ見つけた。ていうか…意外と小さいな」
二階建てのちょっと荒い感じ石で作られた感じの建物なのだが、正直あまり立派とは言い難い建物。
今まで見た中では間違いなくワーストランキングに入りそうな気がする。
と言うか、ここには来ていないような気がするなぁ。
中へと入っていき受付のオークの女性に話しかけてから中の教会からの寄贈された本を調べさせてもらうことにした。
無論その時に「最近教会関係者が来たか?」と聞いた所、受付の女性は「いないですね」と言われてしまった。
「あまり期待しないでおこう」
俺は部屋の一室。
小部屋と言ってもいい狭い部屋に百を超える本が寄贈されているが、正直パッと見た感じここ十年ほどまともに管理している感じがしない。
まずはサラッと言った感じに各本棚に入っている本の著作を調べて回る。
教会の本は寄贈した当の本人が著作として書いているのでそこを見れば大体は分かるのだが、無論…存在しなかった。
なら気になる本を探そうと思って今度はタイトルを見て回っていると『勇者の刻印について」という内容を発見した。
中にはどんな内容なのだろうと思って一枚ページを捲ってみても考察本であるようで、内容もイマイチ信頼値が低い内容であるが、その中でも気になる内容が存在した。
聖典に記載されている内容で、双星のホビットが勇者の刻印を女神に頼まれて作ったと書かれていたらしい。
そこまで詳細に見ていたわけじゃないので内容は正直あやふやだったりする。
「でも刻印って作れるのか? まあ、作ったと記載しているのだから作ったんだろうな。知らんが…信憑性など存在しないけど。でも。あの女神の伝説って…」
まあ良いか…と思ってページを捲ってみると、俺は気になっていた内容を発見した。
それは勇者の刻印のその後である。
やはり歴代の勇者の刻印は役目を終えると消えるようで、それは当然という気もする。
だって勇者の役目が終わるわけだから本来消えてもおかしくは無い。
勇者の刻印自体はアビリティとはまるで関係が無いわけだし、勇者の役目が終われば消えておかしくない。
では何故俺の勇者の刻印は消えない?
「でも。この本には勇者の刻印自体には勇者と言うシステムとは別にしてある刻印なので連動して消えるわけがないと書かれているな…じゃあ何故消えて、何故俺のは残っている?」
腕を組んで考えてみても答えが出るわけがないので直ぐに考えるのを止めてページを捲る。
勇者の刻印自体を作った双星のホビットの子孫なら分かっているのだろうか?
生きているのならだけどさ…ていうか双星のホビットは何か証でもあるのだろうか?
分からん事ばかりだ。
「勇者の刻印を選ばれるのは最高司祭が事前に選ぶ? どういうことだ? それこそ自然発生じゃないのか? そう聞いたんだけど…事前に選ぶ? じゃあ今代を選んだのは誰だ? ドライ最高司祭か?」
これがあの人が言いたかった真実なのか?
いや…そうかもしれないがその先がある。
必ずだ。
「ここには無いみたいだし諦めて出ていくか…」
俺は受付嬢に一言お礼を言ってから図書館を出ていくことにした。
図書館前で再び振り返ってからもう一度図書館を後にする。
「爺はちゃんと宿を取っているんだよな? 時間は…うわぁ…もう四時か」
結構図書館内に閉じこもっていた計算になる。
合流場所まで移動していた方が良さそうだな。
どうでしたか?
本来役目を終えれば失われる勇者の刻印、何故失われていないのか、まだ役目を終えていないのか?
その辺もお話が続けば分かっていくところですのでお楽しみに!
では次は赤鬼のオーガ第十八話でお会いしましょう!




