ランドロス鉱山坑道東区攻略戦 5
ワームって想像すると結構気持ち悪いなと思いながら書きました(笑)
鉱山なのであくまでも仕組み自体は単純な形にしています。
では本編へGO!
三階はワームの住処と化しており、至る所にワームが食ったことで開けた穴だらけとなっている。
ワームとは縦長の芋虫の形に非常に酷似しているが、正面に物体を丸呑みできるようにと大きな口と無数の牙を生やし、体の大きさは小さいもので百センチ程度はある。
大きくなれば一軒家ぐらいなら余裕で飲み込むことが出来るぐらいで、ワームはその特徴から基本は洞窟などでしか生息せず、肉食なので人通りが頻繁な場所を住処とする。
ワームはキング種ではなくクイーン種しか存在せず一度に百近くも卵を産むこともあるほど繁殖能力が高いのだが、同時にモンスターとしての強さは然程ではない。
いると分かればそこまで脅威度は強くは無いが、クイーン種と最上位種は突進力に磨きがかかるのでそこそこ強くはなるが、たぶん最終的な強さならゴブリンにすら負ける。
まあ、一対一という条件ならである。
ワームもゴブリンも基本は群れで動き、一つの獲物を取り合うのだ。
そして、それを今俺達は二十を超えるワームの死骸を蹴っ飛ばしたりよけたりsながら前へと歩いている。
「ねえ。ワームって何年に一回卵を産むんだっけ?」
「早ければ一か月に一回。遅くて一年に一回。クイーン種の体の大きさで産む量と速度が前後するから何とも言えない」
「この感じまだまだ奥に居そうじゃな…」
「地面が揺れる感じがするからまだまだ奥にいるな。それも結構な数が」
ディラブが発言している姿を背にして俺は一歩前に進んでいくと前の方からワームの大きな口が今度は三十近く現れる。
あの気持ち悪い姿を見るのが嫌になってくる。
俺は右手に魔力を集めてからそれを一旦メビウスインパクトに変換、それを術式変換で火球へと変えてから前方方向へと向かって放つ。
飛び込んできているワームには避ける術が無いのでこの攻撃を真正面から受けれるしかない。
さっきは正面から突っ込んできた二十を超えるワームを俺達四人で馬鹿正直に倒すだけだったが、流石に来ると分かっていたらもう倒すのに油断はしない。
「ジャックが正面を歩いていると楽。でも、さっきブラックホールで魔力の半分を使い果たしたんじゃなかった?」
「流石に結構回復したよ。戦ううえで然程困らないけどさ。あまり頼りにされたらいざとなった時に魔力不足になるからな」
「それは困るの。しかし、範囲攻撃となると儂は役に立たんブレスしか…」
「もうアンヌが正面に向かってレイピアで突っ込んでいけばいいんじゃないのか? 俺も斧での攻撃だと攻撃範囲がな」
「それがね…武器の調子が…」
まあ、アンヌが昔っから使っている特注品ならともかく敵に入れたばかりのレイピアでは武器が壊れそうになるだろうけど。
大陸横断地下通路でも使っていたし、そろそろ鍛冶屋で調整してもらうしかない。
俺もアンヌも今現在あまり良い武器とは言えない。
「俺も武器を新調したいな」
「それでは駄目なのか? 良い武器じゃないか。アンヌも」
「いや…ジャックとアンヌの実力をまじかで見れば分かるが、武器自身が一回振るうたびに悲鳴を上げているのが俺には分かる」
「そういうものか?」
「古流剣術と言ったか? どうやらそれ相応の武器が必要な剣術なようだな」
「そうなのよね。ジャックの場合は武器の種類が合っていないんじゃない?」
「いや…それは別に。まあ出来れば長さはともかくもう少し軽めがいいな。だけど、そうなると強度が…う~ん。俺の体に合わないのか? 自分の体の事がまだ感覚で把握できない」
前の剣も別にあっていたわけじゃないが、あれは頑丈ではあったしな。
俺用の勇者の剣を作れたらな…勇者の剣の作り方も調べておいた方が良さそうだ。
「なあ。勇者の剣の作り方って知っているか?」
俺の問いにディラブもアンヌも「知らない」と答えるのに対し、リアンだけが口に右手を添えて考え込む素振りを見せた。
「オーク大陸で鉱石を手に入れ、それをホビット大陸で加工し、ドラゴン大陸で完成すると聞いた。細かい話は教会の最高司祭しか知らない。おそらく知っておるのはドライじゃな」
「ドライ最高司祭…あの人が」
「? 何か因縁持ちか?」
「俺とリアンを追い出した張本人だよ。なら教会の本に掛かれていそうだな。それかオーガ政府が知っている感じかな? 流石に採掘場所は政府が管理しているだろうし」
まあ、元々各大陸の教会が管理している書物は調べるつもりだったしな。
ついでに内容を調べておくか。
「ていうか首都に行ったらその件で政府から呼ばれて丁度良く知れて、それで万事解決しないかな?」
「希望的観測じゃな。物事はそう上手くいかんと思うぞ」
「むしろ逆じゃない? 元勇者がトラブルを持ってきたって疑われる」
「やめろ。笑い話にならない。旅が終了する。ナーガに籠るしかなくなる」
「どのみちここから出ないと旅は此処で終わるな。そろそろクイーン種のいる場所だ」
一番奥に採掘場が見つかった。
ピッケルで掘った後があちらこちらに見つかるし、取れた採掘を運ぶ荷台なども見つかったから間違いが無い。
そして、その奥に食って開いたのだろう穴を見つけた。
「あれかな? あからさまな穴」
「どうする? まだ攻撃範囲に入っていないようだし」
「あと何歩かの? そこまで狭くは無かろうからあと十歩以内と言ったところか? じゃが此処で決めてしまいたいの。あの穴の近くに電力のレバーもあるし。下手に先頭に入ったらクイーン種が壊すぞ」
「なら俺がクイーン種を殺そう。一体だけなら余裕だ。それより装置を守ってくれ」
「う~ん。アンヌ行ってくれるか? 攻撃より早く動く必要があるし」
アンヌが「ハイハイ」と適当に返事を返し俺は魔術で斧の切断力を上げ、リアンはディラブの身体能力を向上させる。
アンヌが走る準備を終えた所でディラブが走り出していく。
すると奥から一件家なら丸呑みしそうなほどの大きさのある巨体が迫ってくる中、ディラブが場に呪術を発動させた。
ワームにターゲットを絞り「動きを鈍足させる」と言う縛りを作り、アンヌが動きが遅くなったワームの右隣を走り去っていき、ディラブはワームがあけた大きな口を縦に斧を振り下ろした。
自らの動きと切断力を強化したうえでの強力無慈悲な一撃は大きな巨体を縦に切り裂いた。
「魔術と聖術と言うのは良いな。俺一人ではこの力は出せなかった」
「勘違いしておるな。確かに切断力はジャックが上げたが、斬撃と飛ばした技術と才能はお前さんじゃよ? 儂は強引に引き出しただけじゃ」
「ディラブ。お前は自身の才能を過小評価している。戦闘技術という点ではまだまだ伸びる。まあ戦いに対する自信は戦闘経験値の差だからな。過酷なところに入っていき生きて戻ってくればその分自信になる」
アンヌがレバーを降ろそうとしている場面が目についたわけだが、俺は「アンヌなら出来るでしょ」と思いあえて気にはしなかった。
ディラブは「そうか…」と少し考え始めた所で俺はもう一度アンヌの方を見ると、アンヌはレバーにぶら下がって自らの体重で降ろそうと試みていた。
無論…できていなかった。
アンヌの力の問題じゃない。
あれはレバーが錆びていることが問題なのだろう。
「アンヌ?」
「わ、私は真面目にしているもん! レバーが錆びついて動かないんだもん!」
「何も言っていない。降ろせないなら言えという話だ」
「だって…言ったら絶対に文句言うでしょ!? 馬鹿にするじゃない!」
「しないから…言え。時間が無駄に掛かるだけだから」
俺が両手で力一杯降ろすのだが、まあ足が地に付かないアンヌでは難しいだろう。
ぶら下がる事しかできないなら体重で降ろすしかない。
軽いアンヌの体では降ろせないだろうし。
「しかし、何故このレバーの装置だけ大きいんだ?」
「全く! 私がぶら下がっても降ろせないなんて!」
アンヌが憤慨していたのだが、まあこれはな。
「これで三つ目じゃな。後最後の一つじゃ。この上。四階」
「ゴブリン。ワームときて最後は…」
最後は最初に調べた時にはっきりと分かったゴーレムタイプが徘徊しているはずだ。
ゴーレムタイプは厄介なんだよなぁ。
どうでしたか?
まだ少し続きますのでお付き合いくださいね。
では次は赤鬼のオーガ第十三話でお会いしましょう!




