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無制限吸収圧縮魔術式

いよいよ戦闘回後半戦となります。

前半部分が戦闘回で後半はネタバレになりますね…今回のナーガでの裏話になると思っていてください。

では本編へGO!

 闇属性の魔術と聞いてパッと思いついた危険な魔術、これを思いついて教官に相談したとき本気でドン引きされたものだが、試すいい機会がやってきたのだと思えた。

 観客は皆避難しているが、問題は倒れている人達で、気絶しているだけでまだ生きているのだ。

 という事は使う際に範囲をかなり限定しないといけないのだが、まあ究極まで圧縮すれば大丈夫かとさほど気にしない。

 とはいっても初めて使う術なので緊張してしまう中、ふと気が付くこの感覚。

 楽しいと思っている自分が居る…この魔術という力を発揮できる実戦を。

 空中に居る男と闇属性の魔術との距離を直線状を維持しつつ俺は地面を蹴っ飛ばして男に切りかかる。

 避けるか、それとも攻撃を受け止めようと試みるか賭けてみたが、男は俺の攻撃を受け止めつつ俺の頭部へと斬撃攻撃を指先から飛ばす。

 顔を右側に逸らしつつ俺の左肩が『スパン』という音と共に切れ、大量の血を噴出させるが瞬時に回復していく。


「回復速度が速い…貴様本当に何者だ?」

「これから死ぬ人間に知る権利あんのか?」


 あらかじめ作っておいた無属性魔術であるメビウスインパクトを圧縮しエネルギーの塊として放出すると同時に、闇属性の魔術はメビウスインパクトを吸収しようと引っ張る。

 引っ張られることで男の体は同時に闇属性の魔術式へと衝突するが、自分で発動した術式は魔術に関しては効果対象にはならない。

 それは流石に魔術歴が浅い俺でも知っている常識だが、ここから無茶をする。

 右手を握りしめてから甲に左手を乗せて発動しているメビウスインパクトの属性を無理矢理『重力属性』へと変換、その後手の印を変更。

 親指、人差し指、小指の指先をくっ付け中指と薬指を折りたたむ印を組んでから魔力を引き出す。

 誰もやったことが無い魔術の行使…『強制魔術(きょうせいまじゅつ)融合(ゆうごう)』を実行した。


「相手の魔術を強引に融合している!? ふざけるな!」

「無駄だ! あんたも知っているはずだ。術式を使った勝負は例外なく総合的な魔力量勝負だ。今まで監獄に閉じ込められていて闇属性の魔術で魔力を回収しないと十将軍に迫ることもままならないあんたじゃ勝負にならない! 無制限吸収圧縮魔術式『ブラックホール』」


 男の体を中心にブラックホールが男の体ごと会場の一部を破壊しながら吸収と圧縮を続けていき、俺は近くにいる倒れている人達を抱えて遠ざかっていくと、ブラックホールはそのまま男の体を無へと変えていく中、男は最後に気が付いた。


「貴様……元勇者!?」


 それが男の最後の言葉になったわけだが、さて周りを見てみると下の方はブラックホールによる被害を受けていないが、上の方はしっかりと被害を受けていた。

 この状況で捕まりたくないという想いは俺をこの場からの逃走へと走らせた。

 走って逃げてしまえばいいと会場から走って逃げていると、まあ普通にアンヌとリアンに捕まりそのまま三人仲良くナーガ庁へと連れて行かれたわけだ。

 まあ、俺も国家元首に話が無かったわけじゃないので都合がいいと見た。


「あんた…俺を嵌めたな?」

「ジャック! 言い方があるでしょ!?」

「言いたいことは分かるぞ。国家元首よ。あんたジャックをあえて脱獄囚に当てたんじゃな? 十将軍を大陸中に蒔けば脱獄囚が逃げる先なんて限られてくるしの」

「ああ。そして、近々行われる時期十将軍の空席を埋める大会が行われるのなら襲われる危険性は十分高い。そして、本来の大会の参加者の参加順は若い者と魔力量が低い人間から先に行われ、十将軍候補は後回しにされる」

「国家元首様。この大会は十将軍の空席を決めるだけじゃありませんよね? 娯楽的な名目もあるんじゃありませんか?」


 国家元首の女性は俯きながら最後には覚悟を決めたような顔をしてから対面のソファに座る俺達を見つめてはっきりと認めた。


「脱獄を許したというタイミングで中央大陸にいる教会からナーガ人とドラゴン人を引き入れてほしいと要請がありました。しかし、私達はナーガ人が中央大陸に行ったという報告を受けていませんでした。そんな時です、ディフェンダー本部から事の顛末を聞いたのは」

「ディフェンダーってここにも支部があるんだ」

「あるぞ。全ての大陸と全ての人種にディフェンダーメンバーは居る。中央大陸はヒューマン族しか入れないから知らないけど、本来こういう中央大陸に他の種族が居るという事案はディフェンダーが代わりに送り届けるんだそうだ」

「その通りです。その時、私達は今回の脱獄騒ぎが誰かの手引きであると確信しました。だから敢えて十将軍にナーガ大陸中に散布しておけば相手は手っ取り早く魔力確保に動くはず。その場は空席を決める大会以外にない」

「じゃろうの。しかも初日は素人やレベルの低い連中ばかりが集められる。まさか会場の上空に魔力を回収する為の魔術が行使されておるとは思わないし、初日のメンバーの為にスカウト陣はやってこないはず。襲い概があるがあろう」


 だからこその初日に俺なんだ

 元勇者という肩書をあえて伏せている俺を脱獄囚に当てつつ、こっそりと会場入りしているスカウト陣への説得としての戦いの場のセット。

 そして脱獄囚の処理を同時に行う。


「まんまと俺は嵌められたわけだ」

「ジャック…その言い方」

「がっかりさせましたか?」

「いいや。国家元首としては正解なんじゃないかな? なあ? エロ爺」

「儂のあだ名はそれで良いのか? しかし、そうじゃな。正しい判断じゃよ。何より時期十将軍にそれぐらい処理出来んとな。ましてや、元勇者は歴戦の勇士じゃろう? 妥当な判断じゃ。実際、人の避難のさせ方と言い手慣れたものじゃよ」

「私達を現場に呼んだのもいざとなった時に避難誘導を速やかに行う為ですよね? ジャックに脱獄囚への戦いに集中させるために」


 だから大会開催前の一週間の期間中に俺に魔術の授業を受けるように勧めたんだ。


「ディフェンダーから俺が魔術の核心へと近づいているという話は聞いていたんだな? メビウスインパクトを使ったと」

「ええ。だからある程度の講義さえあれば核心に至り魔術を極めることは難しくないと思いました。十将軍に選ばれる人間は例外なく才能がある人間です。貴方にはその資格がある。スカウト陣からも「資格在り」との認定を受けています。ジャック・ロウ様。貴方は本日付けで『十将軍長』である『ナンバー3』を与えます」

「ジャック・ロウ。将軍長を引き受けました」

「差し当たってですが。ディフェンダー本部から中央大陸での一件で報告を受けています。捕まった司祭曰く、ジャック様とリアン様が言っておられた人物を見ていないと」


 俺とエロ爺は揃って「は?」と声を発すると「そういう言葉は揃うんだ」と奇妙な関心を見せた後で思考停止に至った。


「でも、その話メメ女王陛下も見られているはずですよね? 流石に誤解や嘘ってパターンは?」

「そう考えて自白剤から記憶を読む術式を使ったそうです。無論、無かったと。となると敵は敢えてバレない様に混じっていたと想定できます。そんなことで出来るレベルのヒューマン族なら脱獄を手伝うことは可能だろうと」

「時期的にも重なりますね。なら教会と結びつけたのも頷けます。ならリアン様の息子に要らない知恵を与えたのも…やっぱり集団での行動ですね」

「ええ。一度に複数の場所で事件が起きている。それも十将軍にバレない様に、騎士団にバレない様にと動いている。相当の手誰だろうとディフェンダーは判断したようです。ジャック様には当面今事件の解決をゆだねようと思います」

「では。出発は俺の判断で?」

「ええ。構いません」

「アンヌ。エロ爺。手伝ってくれるか?」

「儂は構わんがせめて呼び捨てで頼むわい。これから一生『エロ爺』は勘弁してくれ」

「勿論。駄目だって言っても付いていくから」

「じゃあ。アンヌの戦闘解禁と同時に旅立つ。それでいいよな? じゃあ次の目的地は?」


 国家元首は静かな声で告げる。


「オーク大陸中央部にあるランドロス鉱山一体で不審な行動をとる一団の目撃があったそうです」

どうでしたか?

魔術勝負は魔力の総量勝負となり、そういう意味では主人公を超えるナーガ人は今後出てこないつもりです。

ですが、その辺りはテクニックで上手く盛り上げて良ければと思っていますのでお楽しみに。

後序章は残り二話でこのエピローグ回でいったん終了、第一章に続くという形になります!

では次は二十五話でお会いしましょう!

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