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巨木と自然の街ガーナンド・ロウ 6

ガーナンド・ロウ編六話目になります。

翌日を迎えたジャックですが、話進まないなぁ…まあいいか。

では本編へGO!

 このガーナンド・ロウの水は基本温かく場所によっては温泉のような場所も存在するほどで、俺の家の裏庭にある井戸の水は丁度いい暖かさをしている。

 毎朝ジョギングを終えたばかりのタイミングで裏庭に行き井戸の水で体の汗を流すことが日課になっているのだが、今日はそのタイミングで裏庭への出入り口に置いてある携帯が鳴った。

 服を着る時間がもったいないので俺はそのまま携帯を手に通話に出ると、一週間前に大剣を預けた研究所の女性職員の声が聞こえてくる。

 要件だが一週間前に預けた大剣の詳細な調査が終了したので引き取りに来てほしいという内容だった。

 俺は「了解です」と簡素に答えてから通話を切りタオルで体を拭いた後にパンツを履いてから二階にある俺の部屋へと入っていく。

 クローゼットの中には色とりどりの甚平が丁寧に入れられており、今日はどれにしようかと悩む。

 最近ずっと色々と甚平の色を悩んでいるんだよな…昨日の甚平も悩んで着ているのだが、今日は濃い緑色にしようと決めてからまず下を履き、そこから上を羽織る時俺は胸にあるナーガの刻印にそっと触れる。


「ナーガの証か…また刻印が増えたな。まあ嫌いじゃないけどさ。刺青があれば銭湯に入れないし」


 重要なのは銭湯に入れるかどうかなのでそれ以上もそれ以下でもない。

 さっさと用事を終わらせようと思い甚平を着てから一階に降りてリビングで食パンにジャムを縫った簡単な朝食を食べてから家を出る。

 昨日の夜と同じ道を辿ってまずは橋へと向かおうと歩いていると、その橋の上には昨日と同様に橋を見下ろしているアンヌを発見した。

 またしても一人だ。

 昨日と同じ顔をしてるが、マジで何を思って見下ろしているのかまるで理解が出来ない。


「おーい。アンヌ。何をしているんだ?」


 俺が右手を挙げて声をかけるとアンヌは首だけを俺の方に一旦向けてからもう一度川の方へと顔を向けなおす。


「いや…明るくなると光らなくなるんだなって…」

「それはな…夜の間だけ光るから」


 そんな理由でここまでくるアンヌの感性の方がイマイチ理解が及ばないが、だが向こうでお偉いさんを相手にしたり、聖女としてダンジョンを巡っている頃よりマシな顔つきな気がする。

 常時お淑やかさと纏っている獰猛な獣みたいな感じだったし、正直遠目に見ていると何時暴れだすか分かったものじゃない。

 今は落ち着いた性格をしているわけだが、実は昨日寝る前に来た電話があった。

 病院からアンヌに言い忘れていた事、俺はそれ自体はどうでもいい気がするが、今ここで言うべきことか一瞬悩む。

 まずは適当な話題にするべきだと感じた。


「そういえば。このガーナンド・ロウの水って温かいんだぞ。場所によっては温泉みたいな場所もある。実際水着を着て入る人もいるぐらいだし」

「え? ほんと?」

「ほんと。ほんと。触れてみるか? まずは…家の反対側に行こう。そこから川に触れてみ」


 アンヌと俺は一緒に橋を渡り終えてから川まで近づきそっと右手を入れてみると、アンヌはとたん驚いてから手を戻して俺を見る。


「暖かい! 凄い! へぇ~ここは温泉ほどじゃないけど…温泉みたいな感じな場所があるんだね? これって下にマグマ溜まりみたいな場所があるの?」

「うん。正確には巨木の下にマグマ溜まりがあってあの巨木はマグマを栄養にして成長しているんだってさ。珍しいよな。でも温まった熱は川などの水を温めるらしくて…その分栄養分も豊富らしい」

「そうなんだ…でもマグマを栄養にするなんて聞いたこと無い植物だね」

「この町の植物は全部マグマを栄養に出来るらしい。無くならないか不安になるよな」

「え? そこ? でも無くならないの?」

「らしいな。正確にはマグマそのものを栄養にしているんじゃなくその熱を栄養にしているらしい。マグマに直接触れても大丈夫で、マグマも上に登ろうとしてもその巨木の根が全部吸ってしまうから出来ないとか。良く分からんけど…」


 アンヌは「へぇ~」と興味があるのか無いのか分からない顔をしてもう一度川に手を突っ込んで温かさを前に笑顔を作る。

 足湯みたいなことが出来るのだが、流石に先を急いでいる身である。

 こんな場所でゆっくりしている暇はない。


「俺はこの先にある研究所で大剣を受け取りに行くけど…」

「じゃあ一緒に行こうかな」

「そうか。リアンはどうした? 一緒じゃないのか?」

「…朝食を食べ終わってから直ぐに「ナンパしに行く」って言ってそのまま出かけたけど?」

「そうか…いないものとして扱おう」


 歩き出した途端沈黙が続くのだが、アンヌはそんな俺に対して「何かあった?」とストレートに聞いてくる。

 俺としてはどう会話を始めるべきかと悩むところ。


「昨日の夜病院からお前に言い忘れてしまったことを教えられた。その時聞いたよ一週間は絶対に派手な動きは禁止だって」

「うん。一週間の我慢だし。で?」

「ああ。アンヌは各種族の寿命問題は知っているよな?」

「それはね。ヒューマン族は八十から百二十ぐらいで、オークとホビットが三百年、ナーガとドラゴンが大体五百年。それがどうかしたの?」

「ならヒューマン族の中で例外的なジョブがあるのは知っているか?」

「…聖女でしょ? 聖女はオークやホビットと同じ年数を生きるから。で? 私の寿命まで減っている?」

「逆だ。生命力が体に不釣り合いなほど活性状態で、本来以上に生命力に満ち溢れているそうだ。おそらく寿命もそれに合わせて増えていると。ナーガぐらい生きるんじゃないかって」

「そっか…長いなぁ」

「ナーガは普通だよ。その辺も覚悟していた方が良いってさ」


 またしても沈黙が流れる中、アンヌは俺の前へと回り込んでから笑顔を向けてきた。


「よかった。誰かさんが私より長生きすると泣いてしまうんじゃないかって心配だったから」

「それは無用な心配だな。そんな強がりが言えるなら大丈夫そうだな」


 研究所までその会話だけで辿り着くことになったが、まあいい感じで時間をつぶせることが出来た。

 二人で中へと入っていき受付に案内される場所には俺の大剣がそっと置かれていた。

 一週間ぶりの再会になった。


「これは今から千年前に中央大陸に存在していたとされるアルプス魔術国が私達ナーガとホビットに注文して作ってもらった一品ですね。滅ぼされた時に今の邪神城と共に押収されたのでしょう。最も、人ではこの大剣を使いこなすことは難しかったはずですが」

「じゃあ、ホビットかナーガ政府に返した方が…なんで嫌そうな顔をするの?」

「だって…せっかく見つけた俺の武器を押収するとか…」

「大丈夫ですよ。そんな大きな剣をホビットは使いませんし、そもそもホビットは作る上では興味がありますが、その後は無いのです。ナーガも基本武器を使う習慣が中々無いので、十将軍でも武器を扱うのは第一席と第二席のお二人だけと聞いています」

「そっか。良かったね。本当に心から安心したみたいな顔が出来るわね」

「ですから。その武器はジャック様が扱ってください。そもそも。その武器はジャック様を主と認めているようですし」

「なら良い。大切にするさ」


 俺は鞘に大剣を仕舞ってから革のベルトを俺の肩から斜めに装着する。

 俺達は一瞥してから研究所を出た途端、アンヌの方へと顔を向けて「どこに行く?」と聞く。

 今日一日はどのみち暇だったのでアンヌに観光案内でもしようと思っていた。


「ならさっき言ってた温泉がある川に行きたい」

「? 入るの?」

「入らないわよ。気になるだけ」

「まあいいか。じゃあこっちだ」


 来た方向とは違う方へと向かって歩き出し、俺達はその間に些細な会話をしたり、お店などを外から眺めてみたり、アイスクリームを買って一緒に食べてみたりと色々と寄り道をしながら一時間ほどかけて辿り着いた。

 大きな賑わいを見せる大きな河を挟むように巨木方面へと延びる大通り、ナーガ大陸でも車などは使われている為、最低限でも車が走る場所は整備されており、ここは外へと繋がる国道なので自然と車の通りも増える。


「外に向かってるんだ。この通りを外に向かうとどうなるの?」

「真っ直ぐに進めばナナ族の首都だ。道を少し外れれば『ロウハチミツ』の生産地がある『ナルド村』があるぞ」

「え? あの高級品の? あれってナーガ大陸産だったんだ」

「らしいな。行ったこと無いけどさ」

「無いんだ…という事は沢山花が?」

「? じゃないのか? 知らんが。観光地では有名らしいぞ。列車も走っているし」

「? このガーナンド・ロウにも走っているの?」

「いや…ここは外に外れた場所に駅があるんだよ。中央部に居る人は基本飛空艇を使うし、端っこに居る人は駅を使うんだけどな。ナーガはナーガ人なら列車も飛空艇も乗り放題だから」


 アンヌは口を尖らせて「良いなぁ」と呟く。

 中央大陸では乗り物は全部有料で時には金持ちが貸切る時だってあるので、下手をすれば乗りたい飛空艇や列車が丁度乗れないなんてことはよくあるトラブル。

 俺も勇者だった頃、色々と不便な目に遭ったことがある。


「中央大陸は資産家みたいな金持ちが常に影響を与えているからな…下手をすれば未だに馬車を使う人もいるぐらいだし」

「車は燃料切れがあるしな。馬車だとその辺気にする必要はないから、町から町への移動なら馬車を使うんだよな」

「最近は列車も飛空艇があるけど、金持ちがね…」

「ナーガならその辺の心配は無いわけだ。さて…この川がそうなんだけど。川というか河かな。広さ的に」


 向こう岸が遠くて車でも米粒みたいに見えるほどであり、橋も流石に人工物を使った物である。

 そして、俺達は川岸へと移動していくと川ではナーガの男女が水着姿でゆっくりと浸かって居り、俺は「な?」とアンヌの方を見る。


「本当に温泉みたい…これ魚は?」

「いるよ。こういう場所でしか生息できない独自な奴だけど。調理には向かないタイプらしいけどな。此処は成人の儀でも使われる国道だからお店や宿場も多い」

「ほんとだ。小物店や食料品店も…成人の儀?」


 聞きなれない言葉に首を傾げるアンヌだった。

どうでしたか?

このガーナンド・ロウは川などが非常に暖かく温泉みたいな場所が多くある場所なんです。

少しずつでいいからナーガの事が分かっていくと良いなと思います。

では次は二十二話でお会いしましょう!

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