エピローグ:休息の終わり
間幕休息は嵐と共に最終話となります。
いよいよ間幕も終わりです。
では本編へGO!
休息は唐突に終わったという言葉に一人リアンだけが不満げにしていたが、他のメンバーはジャックの意見に納得し、ジャック達は中央大陸に向かう為の船を急遽用意することとした。
別に何かあるわけじゃ無く、誰もジャックのお腹に宿ったかもしれない命には気が付かないままであったが、そんな中、船を翌日には用意され次の日には出発が決まると出発の日の朝フェンが大きなお弁当箱を用意してきてくれた。
フェンは「皆さんの分です」と言ってお弁当箱を渡し、ファリーダが代表してお弁当箱を受け取りながら「ありがとうございます」と返す。
アンヌはフェンを連れて少し離れてから「上手くいった?」と聞いてきた。
少し照れ隠しをしながら「はい」と嬉しそうに笑いながら、それでも微かに感じる不安な感情を隠し切れない。
「大丈夫。絶対に死なせないし。私が連れてくるからね?」
「アンヌさんも気を付けてくださいね。これからきっと色んなこと知ると思います。でも、アンヌさんも一緒に帰ってくることを祈っています」
アンヌは微笑みながら「ありがとう」と言いそのまま歩いて仲間の元へと帰ってくる。
ディラブが代表して「この女性は?」と聞いてくるので、ジャックが小さな声で「俺の妻」と答えた。
驚きを隠しきれないアンヌ以外のメンバーであるが、リアンはたった一人何かを察したようで黙り込む。
その表情は嬉しいとかではなく羨ましいやら忌々しいに近い感情が表現されていた。
「でも、良いの? ジャックの兄ちゃんを連れて行って」
「はい。きっと大事な事ですし、帰ってくると約束してくれましたから。皆さんの事件が終わったら是非私も中央大陸へと連れて行ってください」
「勿論です。ジャック様の奥方ならぜひ」
「ていうか、俺達も中央大陸って初めてだから楽しみなんだよな」
「言っておくけど、私達は観光に行くんじゃないんだよ? ジャックお兄ちゃんの手伝いで行くんだからね?」
「結婚? それって大事な事なのか?」
ディラブの良く分からないという疑問を表現したような顔を前に全員が苦笑いを浮かべる。
「そうだ。帰るんだから。やっぱりご両親に会うぐらいは考えても良いんじゃない?」
「話し合い次第だって前に言ったろ? 教会が駄目だって言えば駄目だろ?」
「それぐらいいいと思うがのう? 何だったらコッソリ行くか? 早めに行動する分には大丈夫じゃと思うが」
「駄目だな。あれは中央大陸の中でも内陸の方だ。流石に内陸の国境を超えようと思うと目立つ。俺達は一行はな」
「ですね。教会についたらそっちも交渉しましょう。どのみちジャック様とアンヌ様の件も少し話し合わないといけませんし」
「じゃあ。当初の予定通り私達はこのままジャックお兄ちゃんの目的通り教会本部を目指すで良いんだっけ?」
「ああ。リアンと俺で船に乗っている間に幾つかルートを考える」
そこまで話したところでアンヌが食いついた。
「ちょっと待って! 始めっからルート選びに私をのけ者にするってどういう事!? 私だって中央大陸出身なんですけど!?」
「歩くルートは嫌いで文明の利器を活用したがる人間が歩きでの侵入ルートを提案できるとは思わないけど?」
「私だって仕事の都合上そういうルート位把握しているわよ!!」
「めんどくさいから儂とジャックとアンヌで考えるという方針で行くぞ。此処で揉める方が面倒じゃよ」
リアンが疲れ切ったような表情を浮かべながら「やれやれ」と言う顔をしながら話を切り替えた。
するとフェンが少し気になったことをジャックに聞いた。
「あの…私決めていたことがあるんです」
「? どうした?」
「今住んでいる家を売り払ってジャック様の家に住んでもいいでしょうか? 確かジャック様の家はロウ族のあの場所ですよね?」
「ああ…でも学校が…」
「大丈夫です。むしろそっちの方が助かるかもって…あそこは私が元々行きたかった学校なので」
「そういう事なら良いさ。フェンがやりたいことを止めないというのなら俺は止めることはしないよ。じゃあ。これ…鍵」
「はい。交渉が終わったら是非連絡くださいね?」
「ああ。絶対に連絡するさ」
二人が良い雰囲気になっているとナーガの男性の船乗りが駆け足で近づいてくる。
「船の準備が終わりました。何時でも出られます」
「それじゃ行くとしようかのう? フェンちゃんとやら。では儂等はこの辺で」
「人の奥さんにちゃんとつけて気安く呼ばない! エロお爺ちゃんはいい加減に死なさい。娘さんに言いつけるからね! この一連の事件の裏でお爺ちゃんが好き勝手していた事!!」
アンヌの怒りの声を前に流石にしょんぼりするリアン、そんなリアンに追撃を仕掛けるアンヌ。
「後…私の友達でもあるからね? 何かしたら…!」
「その時は女性全員で攻撃ですね」
「ファリーダお姉ちゃんに賛成!!」
「女子は怖いって本当なんだね。ジャック兄ちゃん」
「だろ? 気を付けろよ?」
「結婚しているが。何が良いのか分からん?」
ディラブの言葉にフェンを含めた全員の空気が完全に止まった。
静寂の一分間の後全員が絶叫を上げた。
「「「お前!! 結婚していたの!?」」」
「? ああ…まあ」
「前に帰って時はそんな素振り…」
「? 寄る理由も無いしな?」
「その内奥さんから別れ話になるわよ。アンタ…」
「定期的に連絡は入れている」
「黙って出ていかれるぞ?」
「そんな素振りは無いがな?」
全員が心の中で「重症だな」と呟いた。
そのまま船に乗り甲板からフェンに手を振りながら別れを告げる。
船がゆっくりと遠ざかって行く姿を見守るフェン、鍵を握りしめてその場から体去って行く。
「引っ越しの準備をしないと」
その姿は少しだけ前を向いていた。
どうでしたか?
次回からはいよいよ第四章となります。
では次は第四章相克の教会第一話でお会いましょう!




