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君想う 3

休息は嵐と共に十三話目となります。

今回はジャックとファンのデート回前編となります。

では本編へGO!

 翌朝を迎えジャック達は手早く朝食を終えてから即行動開始し始め、アンヌはジャックの態度から何となくを理解し「私は理解している女」風を醸し出しながら駆け足で海へと走って行くが、ジャックとしてはむしろ何度も何度も入ろうと思うのかが理解できなかった。

 ファリーダはネリビットとメイビットと共にフリーマーケットへと姿を消していき、ディラブは「修行だ!」と言って町の外へと駆け出して行く。

 ジャックはその後姿を見ながら「観光で修業とは?」と疑問を口に出してみるが、そんな言葉を聞いているわけが無くジャック自身も部屋に一旦戻り、カジュアルなファッションに着替えてから部屋を出る。

 待ち合わせ場所はこの街のランドマークであるらしい、丁度中心地にあるバスターミナルにある小さな蛇の石像らしいのだが、何故蛇なのかという疑問については彼女曰く「分からない」とのことだった。

 なんでも、この街が出来た際に当時有名な芸術家が作った一作で、作品の良さは誰も理解していなかったわけで、ジャック自身も昨日の夜の時点で見せてもらったが、イマイチ分からない。

 しかし、バスターミナルの周りが街灯で明るく灯っていることもあり、夜でもそこそこの広さと確かに目立つシンボルという事もありジャック自身も特に迷うことなく辿り着けた。

 バスターミナルに辿り着いてまず見えた蛇の石像だったが、その目の前に清楚な衣装に身を包むファンが腕時計で時間を何度も確認しつつ待っている。

 ジャックは少しだけ駆け足で近づいていく。


「待たせたか?」

「いいえ。私も今来た所で。何処に行きます?」

「この辺は詳しくないからある程度の目ぼしいところをグルグル回ってみようか?」

「そうですね。じゃあ。この近くにある商店街から見ていきませんか? 色々なお店が建ち並んでいて結構面白いですよ。そのまま歩いて真直ぐ行けば昔大富豪が作ったとされる豪邸が庭園という形で残っているんです。そこまでまずは歩きで」

「良いな。じゃあ。一緒に行こうか?」


 歩き出した二人、商店街はアーケード街となっており左右に様々なお店が建ち並び、レストランやスイーツ店や洋服店など様々であり、多くのお店が活気に満ち溢れている。


「ここは夢を抱く若者が多く集まる商店街で、お店も結構細かく変わることが多いんです」

「此処でお店を出してそのままお金が溜まれば別の場所でお店を開くのか?」

「ええ。此処は家賃が比較的に安い場所で、簡単に借りることが出来るんだそうです」

「じゃあ、この辺りは同じ地主が管理しているのか? それとも完全に街の管理物という事か?」

「街ですね。この街は若者の育成を強く推奨しているんですよ。この商店街はその一環ですね」

「そういえば大学なんかも多いもんな? 美術館や博物館もあるのはその一環か?」

「ええ。学業など様々な分野へのサポートと共に観光業に力を入れているんです」

「普通観光業がメインならそっちにばかり力を入れるけどな」

「別に学業都市というわけじゃ無いですよ? そういう都市なら別にありますし。ここはどちらかと言えば若者推奨というだけで、それ以外だと普通の観光地ですから」


 二人で他愛のない話をしながら商店街を半分ほど歩いていた所で話題はファンの話へと移って行った。


「じゃあ。あれから困ったことは今の所は無いのか?」

「はい。病院の先生からも特に体に異常はないとはっきりと言ってくださいましたし、相手の遺族からも特に何か言われたわけじゃ無いです」

「まあ、あの子供惨状ではな。何か言われたら俺に言えば十将軍としてしかるべき処置を取るさ」

「ありがとうございます」

「それより。君自信はこの街に一人で住んでいるのか? それとも家族と?」

「一人暮らしです。実家は西の外れの小さい町です。近くに漁業で有名な街がありますけど。家のある町はそこから少しだけ外れた場所にある小規模の町です」

「少しだけ親近感を覚えるな。俺の生まれ故郷は中央大陸の中でも街から大きく離れた村だった。元勇者と言うだけあって俺は他の子供とは少し違っていて、いつも母親が傍にいないと生きていけなかった」

「ナーガの子供は皆生まれてから暫くは母親から漏れ出る魔力を吸収しないと生きていけないんです」

「でも、俺は知らなかった。今思えば俺の母親はナーガの血を多く含んでいるからこそなんだろう」

「ジャック様のお父上は?」

「詳しく知っているわけじゃないが、俺の知っている父親は育ての父親らしい。生みの親は詳しくは知らん。いや…知りたいとは思っているんだ。でも、その反面それを知るのが怖いとも思う」

「愛が無いかもしれないから?」

「かもしれないな」

「大丈夫ですよ。軽はずみかもしれませんけど。愛が無い親が手がかりを子供に残すなんてことしないと思います。私の勘は当たりますから」


 優しく微笑む彼女の頭につい手を乗せてポンポンしてしまうが、そんなジャックの姿に頬を赤く染めて返すフォン。


「君は親には会っているのか?」

「あの後電話で少しだけ。心配させてしまったみたいですけど。大丈夫だとはしっかりと伝えました。ジャックさんは会いたいとは思いませんか?」

「そうだな。心配させているとは思う。何も言わず追い出されたからな。あと少しで会いに行ける。でも。その前に…」

「父親と話がしたい?」

「ああ。じゃ無いと多分会えない。そう思うんだ。君の方はこの後会うつもりなのか?」

「え? いいえ。今しばらくはやることもありますし。心配させておいてなんですけど。その辺は我儘を言いました。少しだけ呆れられましたけど」

「それはそうだろう。心配させたわけだからな。まあ、落ち着いたら会いに行けばいい。まあ、あまり心配させたら会いに来るかもしれないけどな」

「ふふ。それでも私は良いですけどね」

「君は将来何になりたくてこの街に居るんだ?」

「私はこの街で絵画の勉強をしているんです。どちらかと言えば趣味ですけどね。将来の役に立つかは分かりませんけど…でも、勉強すれば何かが変わるって思ってこの街に来たんです。この街はアパートの家賃も安いですし、若者には住みやすい街ですから」

「そうか…結構立派だな。俺はそういうのは無い。与えられた役目ややりたいから人を救っているだけだ」

「それも十分立派だと思いますよ。誰かを救うって誰にでも出来ることじゃ無いですから。私からすればジャックさんは十分立派です」


 ジャックは「だと良いがな」と笑いながら一緒に歩き続ける。

どうでしたか?

次回はデート回決着と次章への意気込みです。

では次は間幕休息は嵐と共に十四話目でお会いしましょう。

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