俺と私の始まり 4
間幕休息は嵐と共に六話目となります。
ジャックとアンヌが一緒に行動する前の朝食回になります。
では本編へGO!
ジャック達は一階にあるレストランで軽く朝食を取りつつ、今日の予定について話し合う事にした。
ジャックはスクランブルエッグにケチャップを付けたモノを口に運びながら話し出す。
「さてと…結局で今日はどうするんだ?」
「え~っと…美術館でしょ? ショッピングでしょ? 映画館もいいなぁ」
「要するに決めていないんだな? アンヌの中では…後、全部は無理だと思うぞ。幾ら密集しているとは言っても美術館そのものは結構広いし、ショッピングまでしていると時間が幾らあっても足りないだろう? 夜中まで動き回るというなら別だけどさ」
「俺は適当なダンジョンで暇潰しているから」
「ディラブ兄ちゃんはすっかり予定を決めているみたいだね。俺達はどうしようかなぁ」
「錬金術の修行する? 場所を気にする必要性は無いし。今後の為にも少しは備えをしておきたいしね」
「アンヌ様が不満げな顔を…」
「好きにしたらどうじゃ? 別段団体行動をとる必要性は無かろう? 今日一日は皆好きに動いたらどうじゃ?」
「…俺はアンヌと一緒に行動しようか。一人でその辺歩かれたらブツクサと不満をぶちまけそうだしな」
「そんなことしません!!」
「絶対にしないとは言えないだろう? ディラブは勝手なんだからとか、休暇なんだから休めばいいのにとか言いながら美術館を回らないか?」
黙るアンヌに「うんうん」と頷く他のメンバー、今まで散々アンヌの不満げな声を聴いてきたメンバーはその内容が直ぐに想像できた。
良い反論を思いつけなかったアンヌは「グヌヌ」と唸りながら黙り込み、ディラブは持っていたグリーンスムージーをゴクゴクと飲み干す。
「念の為に夕食だけは纏まって動いたほうが良いだろうか?」
「そうじゃな。六時の時点でこのホテル前に集合としよう。その後、また解散するかどうかはその時決めようか。この嵐も夜には開けるという話じゃからな」
「なら私は故郷に連絡を入れたりしますね」
「ならその後儂と映画館で梯子せんか?」
「下心が丸見えよ? お爺ちゃん ファリーダをナンパしないで。ていうか仲間をナンパしようとしないで」
「何を言うか!? 儂は親睦をじゃな?」
「ですが…私映画と言うのは初めてで」
「なんと!? 儂が教えてやろう! 面白いホラ…ビックリする映画があるんじゃよ」
ファリーダとリアン以外の全員が心の中で「ホラー映画を見る気なんだ」と一致した。
ファリーダが断らない限りにおいて誰も止められないので無視することにし、ジャックは最後にとレタスと蒸し鶏のサラダをフォークで口に運びながらアンヌに語り掛ける。
「今日一日は付き合ってやるからせめて二つに分けてくれ。午前と午後にな」
「仕方ないわね…ショッピングは絶対よ! 服とアクセサリー! 出来れば靴も欲しいわね…」
「そんなに買ってどうするんだか。邪魔になるだけだろうに」
「五月蠅い。もう一つは悩むわね…美術館だけじゃ弱いし…映画館だとお爺ちゃんとバッティングするしなぁ」
「おや? 儂との一緒の映画ライフは嫌じゃと?」
「うん。嫌」
端的に嫌がるその素振りはリアンに落ち込ませるには十分で、リアンは落ち込みながら深くため息を吐き出した。
ファリーダが「そんなに落ち込まなくても…」と励ますが、ネリビットが「無視すれば?」と言い出す。
「美術館以外に何があるの? その辺りには」
「えっと…行く当てがあるとすれば海沿いに作られている水族館だな。水の中を通るトンネルとかイルカショーみたいなのもあるぞ」
「じゃあそれで」
「軽いのう…もう少し悩んだらどうじゃ? この儂と映画ライフを…」
「嫌だから。絶対に行かないからね」
「落ち込むなら誘わなければいいのにな…なんで誘うのか分からん」
「それよりディラブお兄ちゃんはもう少し野菜を…朝食が全部肉料理って」
「? スムージーを飲んでいるぞ」
「スムージーにそこまでの利便性は無いぞ」
「普通に優し食べなさいよ。味が気になるならドレッシングでもかければ良いでしょ?」
「ドレッシングは嫌いだ。味が濃すぎる。野菜は青臭い」
「また勝手なことを言いよるわい。たまには食べることじゃな。野菜は栄養価も高いし、何より食生活を偏らせるとじゃな」
「爺臭いことを言うな…そこまで言うなら」
そんなことを言いながら席を立ちサラダを取りに行くディラブ、するとものの五分程で戻ってくるディラブの皿には野菜ではなく生ハムがたっぷり盛られていた。
ディラブ以外が口を揃えて「サラダ?」と突っ込んだ。
「下に野菜があるぞ!」
「野菜六割生ハム四割だな。ぱっと見だが。また肉を…」
「他にもあったよね? チョレギサラダとかさ…」
「肉が乗っていないと…少し…」
「ただの我儘じゃな。まあ、運動しておるんじゃし勝手にすればいい。念の為に野菜を盛ってきておるんならな」
「全体で言えば九割以上が肉料理だけどな」
ジャックは水でサラダを纏めて飲み込みそのままグラスをそっと置くジャック、他のメンバーも食事を終えたようで全員が一息ついていた。
「で? アンヌはどっちを先にするか決めたのか?」
「ショッピングね。同じ場所で昼食を取り、そのまま美術館と水族館よ! 決定!」
「はいはい。じゃあそれぞれ動くとするか?」
「そうじゃな。夕方六時にこの場所にじゃな」
どうでしたか?
次回はジャックとアンヌが学生時代の昔話を始めます。
では次は間幕休息は嵐と共に第七話でお会いしましょう!




