海辺からの始まり
間幕の始まりとなります。
今回はちょっとした休息のお話で少しだけトラブルが起きる章となっています。
では間幕開始です。
横に大きく広がる真っ白な砂浜と遠くまで見ることが出来る内海は透き通るほどの青さを誇り、流石に若干季節ではないからこそ砂浜には人は多少は少ないが、それでも多くの人達が海水浴やサーフィンを楽しんでいた。
ジャック達が駅から降りると目の前に広がる沢山の人と真っ青な海が視界を埋め尽くし、駅の前の道をまずは最高級ホテルのある方へと向かって歩いていく。
二十階層もある横長のホテル、ホテル自体の横幅は若干ビーチの形に合わせて曲がっており、同時に最上階には大きなプールが備え付けられている。
ホテルにチェックインした時間はもう既に昼の三時過ぎ流石に今日はゆっくりしようとジャックが提案すると、アンヌとリアンは砂浜に行きたいと言い始めた為に荷物だけを預けて海水浴場へと急いだ。
水着はホテルで貸し出していたためそれぞれのサイズを借りそのまま更衣室へと急いだ。
入る前にリアンをどっちに区分するかで大きく揉めたが体的には女性なので女性の更衣室で着替えさせることになったが、アンヌは譲歩する条件として一人で着替える事と言い出した時リアンは涙を若干流していた。
ジャックとディラブとネリビットの三人は服をテキパキと脱ぎながら会話を続けていた。
「リアンの爺ちゃんも懲りないよねぇ。普通諦めるけどなぁ」
「あれで諦めるならあの爺があんなにエロくなることは無いさ。しかし、ディラブが真面目に水着に着替えるとは思わなかったな。てっきり何処か適当なダンジョンでも探しに行くと思っていたが」
「う~ん。休暇を取れるときにとっておいた方が良いかもしれんと思ってな」
二人が素っ裸でペラペラと話す姿を見たネリビットはトランクスタイプの水着を着た状態で貧相に見える子供体形な自分の体とつい比較してしまう。
二人とも裸がまるで恥ずかしくないのか隠すべき部分を全く隠さず話し込んでいた。
ジッと見つめる視線に気が付いたジャックとディラブは「どうした?」と聞く。
「いや…兄ちゃん達は恥ずかしくないの? その…丸出しで話し込んでいるけどさ」
「? 男なら誰でも付いているだろう?」
「別に…」
時を同じくし実は女子人もまたそんな感じの女子トークに明け暮れていた。
「う~ん…やっぱりファリーダは胸が大きいわね…」
「あ、あの~どうしてそんなに私の胸を見つめるんでしょうか?」
「どうしたの? 二人共?」
「いやねぇ。ファリーダは胸が大きいわねって…メイビットも大きいわね!」
「え? そうだね。ホビットの女性は胸が大きい人が多いから…どうしてアンヌお姉ちゃんは自分の胸を触っているの?」
「………昔はもっと大きかったのに…身長と同時にこの胸の大きさも奪われたから」
恨めしい目を二人に向けながら手をワナワナと動かしているアンヌの姿に危機感を抱くファリーダとメイビット。
すると、窓の鉄柵が付いている窓の向こう側から真っ赤な血と汚い声が聞こえてきた驚きながら三人は窓の方を見る。
もうそこを覗き込まなくても誰が隠れて居るのか分かり切っていた。
「やっぱり兄ちゃん達ってどっちも大きいよねぇ…ジャック兄ちゃんはヒューマン族時代でも大きかったの?」
「まあ、標準かな…なんでリアンは水着に着替えていないんだ?」
ジャック達が更衣室から出てくるとリアンだけが水着に着替えておらず来ていた和風の服の上から亀甲縛りで身動きを封じられていた。
するとワンピースタイプのピンク色の水着を着ているアンヌが憤慨しながらジャック達に近づいてくる。
「ちょっと! 女子が遅れるなら聞いたことあるけど! 男子が遅れるってどうなの?」
「いや…男子トークが盛り上がってな。それよりなんでリアンは着替えていないんだ?」
「えっと…水着に着替えている時に覗いていたんです。だからアンヌお姉ちゃんがそのまま縛っちゃって」
「それより男子トークって何ですか?」
「聞いちゃだめよ! どうせ男のアソコの話でしょうし! 馬鹿男子!」
ファリーダは水色のビキニタイプの水着を着ており下はパレオを羽織っているが、メイビットの方は赤色のビキニタイプの水着を着ておりパレオは羽織っていない。
此処まで来てジャック達男性陣はふと気が付いた。
メイビットの胸が予想より大きいことに。
「メイビットって意外と大きいんだな」
「姉ちゃんは着痩せするタイプなんだよ。意外と大きいぜ」
「ほほう…それに比べてアンヌは…」
「それ以上言ったら男の大事な部分が二度と使えないように潰すわよ!」
凄まじいまでの殺気に一瞬怯む男子人は「すみません」と委縮するとリアンは「フガフガ!」と叫ぶ。
恐らく「放せ」と叫んでいるんだろうと誰もが想像できたが、とりあえず無視することにした。
ジャックがリアンを踏みつけたのを最初に全員から無視されながら踏みつけられていくリアン。
時間が無いので速く泳ごうとアンヌがメイビットとファリーダを強引に連れて海へと走って行った。
「楽しそうだな…アンヌの奴。まあ、ここ最近ずっと戦い続きだったからな」
「なら途中で止めて休んでいればいいのにな」
ジャックとディラブとネリビットはパラソルとビーチチェアーを広げてゆっくりと休んでいた。
「のけ者にされるのが嫌だったんじゃない? 意外と寂しがりやみたいな部分があるしさ」
「意外か? 俺達が歩くと言い出すたびに不満を口にするくせにちゃんと付いてくるあたりに寂しがりやな一面はあるぞ」
三人でボーっと眺めていると遠くからボソボソと言う声が聞こえてきた。
「ねえ…あの男性三人ヤバくない!?」
「分かる分かる! ナーガの男性とオーガの男性の鍛え抜かれた肉体美もヤバいけど、あのあどけない少年もさぁ!」
「声かける!? 止めとく?」
身の危機感を覚えた瞬間だった。
どうでしたか?
暫くはこのままゆっくりとお話が進みます。
では次は間幕休息は嵐と共に二話目でお会いしましょう!




