エピローグ:休日の始まり
円環のドラゴン編最終話となります。
今回は第五章に至る前の前振り段階です。
では本編へGO!
駅のホームを挟むように二本の線路がまっすぐに駅の中央目掛けて伸びており、終点であり始点であることがはっきりと分かる。
一本の列車が駅の中へと入ってくると、中からは誰も出てこない寂しい電車が並んでいるだけ、ジャック達は列車の中へと入っていく。
対面になるように席が並んでおり、ジャック達は丁度真ん中になるように席に座る。
ジャックとディラブが隣同士、対面にアンヌとファリーダ、通路を挟んでネリビットとメイビットが隣同士で座っていて対面にリアンが座っていた。
「海の方に向かって移動するんだよな? 楽しみだよなぁ」
「数日はゆっくりする予定だからな。まあ、呑気に過ごすさ。ずっと戦い続きで流石に疲れたのしな…」
「本当に? 何も起きない?」
「アンヌ姉ちゃんが物凄いレベルで疑っているんだけど」
「その時は全員でしっかりと解決する! 俺達なら出来る」
「じゃと…良かったのう。アンヌよ。儂等も強制参加じゃそうじゃ」
アンヌがジト目でジャックとディラブを睨みつけるが、ジャックからすればなんで睨むのかがまるで理解できなかった。
暫くすると列車が動き始めゆっくりと速度を上げていく。
「この列車途中下車は出来るんですか?」
「ああ…リゾート地へと向かう過程で小さな村と港町、その中間地点などいくつかあるはずだけど、詳細は知らん」
「リゾート地へと向かう列車なのに誰も乗っていませんね…観光地などに向かう列車ってもっと乗っているはずだと思いましたけど…」
「ああ。本来は一杯居るんだけど…夏も終わってすっかり秋、そろそろ冬に移り変わっていく季節な上に、最近別のルートが出来たからさ」
「別のルート?」
「何でも直通の高速道路を作ったらしくてさ、今は観光シーズンから若干外れているし、地元の人間は高速道路で車で移動するから」
「成程。今は時間的にも中途半端、じゃから乗っている人も少ないわけと言うわけじゃな」
「そういう事。まあ、現地にはソコソコ人がいると思うぞ。幾ら観光シーズンじゃないとはいっても人は結構いるらしいし」
するとジャックの端末に電話の音が鳴り響いたのを確かめたジャック、その場で立ち上がり通話ボタンを押した後に席を外す。
電話の奥からは十将軍の大将軍長の静かなのに何処か響くような声が聞こえてきた。
「私だ。先ほどの推測で早速調査が始まった結果、ブラックオークションに出品されたことは間違いないようだ」
「やはりそうですか…問題はどうやって封印したのか」
「ああ。元より十将軍専用の封印式はあるが、あれは纏めてだ。一人一人封印したのならそれを下地にした別の術式を開発した者達が居たんだろうが…」
「でも、十将軍を半分を封印しようとするなら相当の手練れという事ですよ?」
「四種族間の調査は今させているところだが、もし発見できなかったら…」
「中央大陸にという事ですね。そっちは俺達が向かった時にでも調べてみますが、念の為にディフェンダーに依頼を出した方が良いかもしれません」
「そうだな。まあ、今はゆっくりとすることだ。お前は効かないだろうが、警戒はしていてくれ」
「分かりました。では…」
(やはりブラックオークションに出品して何処かにバラバラに散らせたのか…それともまとめて所有している人間が居るのか。中央大陸だったら厄介な人間に渡っていたら厄介だな…)
「何が厄介なんですか?」
ブツブツと呟きながら歩いて戻ってきたジャック達の言葉を聞いたファリーダが訪ねた。
「中央大陸には厄介な人間が幾つか居るんだ。そんな人に渡ったら厄介だなって思ってさ」
「ああ。あのオカルトお爺ちゃんとか、強欲婆とか? 確かに厄介な人間に渡っていたらどんな条件を出されるか分からないわよね?」
「そういう事だ。渡っていないことを祈ろう…」
「それしか出来んじゃろうな。まあ、リゾート地でのゆっくりバカンスを楽しむとしよう」
鬱蒼とした森を超えていき、小さい集落をに一回止まり、その後そこから途中の道で止まり、更にその沖にある港町の入り口で一回更に止まって、港の手前で止まり、そのまま最後のリゾート地へと向かって移動し始める。
途中で人がソコソコ乗り込んできて列車の中の席はある程度埋まってきた。
「やっぱり港町を超えると人が増えたね」
「ナーガ族以外にも結構いるよね? ホビットとかドラゴン族とかいるし」
「オーガは居ない辺りに種族としての性格が良く出ているよな」
「ゆっくりするというのがあまり性格的には合わんから」
「まあ、余計なことを考えないようにしましょう! ねえ!?」
「「睨みつけない」」
ディラブとジャックは同時にアンヌの睨みに返事をすると、窓の外から目的地であるリゾート地がはっきりと見えた。
高いホテルと海岸線に奥には形が様々な建物がはっきりと見える。
アンヌは窓の外から眺めながらワクワクしていたのをジャックは鼻歌交じりで見守っていた。
どうでしたか?
次回は第五章ではなく間幕となります!
では次は間幕第一話でお会いしましょう!




