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何を願い何を想うのか 3

ドラン大陸編四十五話目となります。

今回はジャックとファリーダとアンヌとリアンの四人の会話となります。

では本編へGO!

 喫茶店から一旦出て歩いてホテルへの帰り道の途中、ジャックとファリーダはアンヌと合流していた。

 そのまま少しの間話し込んでいるとリアンが落胆したような素振りで肩を落としながら姿を現したが、その場にいた誰一人何も聞かないでいることにした。


「まあ堅苦しそうなイメージのあるドラゴン族の街で風俗みたいなお店があるとは思わんがな。何か期待をして歩き出したのだろうけれど。そもそも恋愛感情の無いドラゴンに風俗なんてあるのかね?」

「どうなの? ファリーダちゃん」

「無いですね。聞いたこと無いですし。他の大陸にはあるとは聞いたことがありますが」

「そっか…はぁ…」

「うわぁ…面白くなさそうな顔。それより二人でなにを話していたの?」

「中央大陸について軽く教えていただけだよ。どのみち向こうにはいかないといけないわけだしな…」


 中央大陸。

 この世界の丁度中央に位置する大陸であり、内海を挟んで四つの大陸に囲まれている。

 それ故に中央大陸と四つの大陸を挟む内海は無数の船による貿易が盛んであるが、その中でも四つの大陸と中央大陸間では貿易もあまりされていない。


「その理由が教会じゃ。教会が他の種族の貿易を著しく禁止しておる。それを破って貿易をしている国もあるがな。だが、少数じゃ」

「実際私ですらあまりよく知らないぐらいなの。その国については。ジャックは知っているだっけ?」

「ああ。と言っても軽く見て回っただけだけどな。浮遊大陸に行こうとしたらそういう国から話を聞く以外には探りようが無いからな」

「…でもそれ以外の国は教会の権威に正直に従っているんですよね? その国は教会から圧力が掛かっていたりしないんですか?」

「せんのう。儂の国でも教会は遠ざけておるが、ディフェンダーを配置しておれば問題はないわい」

「国には帰るの? リアンは」

「帰らんのう。未練は無いわい。ドラゴン族になってしまった儂が帰って行っても分からんじゃろうに。しかし、ジャックよ。帰って教会を説得できたとして、そこから先どうするつもりじゃ?」

「…考えてないな。そもそも教会を説得する方法も未定だしな」

「でも、上陸はどうするつもり? まさかとは思うけど教会の権威が強い国に上陸するの?」


 ジャックは肩をすかしながら「まさか」と否定するとアンヌが安堵の息を吐き出すのだが、ジャックは「失敬だな」と不満の声を出す。

 流石のジャックでも教会の権威がある国に他の種族の人間が上陸すればどうなるか理解をしているつもりだった。


「どうなるんでしょうか?」

「え? 捕まる?」

「それで済めばいいのう。儂とジャックは追い出されている身。下手をすれば極刑じゃよ?」

「まさか…いくら何でもそれは無いが、下手をすれば長時間拘束はされるよな…いくら俺がナーガ政府の許可を持っていたとしてもな」

「となると教会の権威の無い国に上陸するしか無いですよね? でも、方法は知っているんですか?」

「儂が知っておるよ。これでも一国の王じゃった身じゃよ。その程度の情報は知っておるよ。問題なのは上陸後じゃな」


 問題は上陸後にどう動くかである。下手に動き回っていると目立つのはこのメンツを見ればはっきりと分かる話である。


「アンヌとまあ…ネリビットとメイビットだけならそこまで目立つという事は無いだろうけれど。特にディラブは目立つだろうな…」

「そうじゃな。大柄で角が生えておれば流石に異種族じゃとバレるのは早い」

「でも、教会は離島よう? どうやって上陸するのよ」

「いや…それは侵入経緯は俺が知っているから別に問題は無いけどな」

「へ? それ何処から侵入するの!? 元教会関係者が知らない情報をなんでアンタが知っているのよ!」

「現在も関係者だろうが! あの辺り一帯を探検したことがあるから侵入ルートは知っている。問題はその侵入ルートの入り口は近くの港町のど真ん中なんだよな」

「どこじゃ? ど真ん中とは?」

「……大聖堂の地下」

「繁華街の直ぐ近くじゃない! しかも観光名所で人が沢山居る場所よ!? どうやって侵入するのよ!」

「お、落ち着いてください。でも、そこ意外に方法が無い以上実際に行ってみて考えるしかなさそうですね」

「…ねえ。さっきの話が本当なら上陸場所からその港町までどうやって移動するつもり?」


 アンヌの素朴な疑問に対してジャックはさも当然のようにはっきりと答える。


「歩く。頑張ってな」

「却下!! 絶対に嫌よ! 文明の利器を使いなさいよ!」

「じゃがな…アンヌよ。儂等は使えんよ。分かっておるじゃろう?」

「むぐ…」

「他種族が紛れていると使いにくいでしたか? ディフェンダーに手を貸してもらうというのは?」

「どうだろうな…何も力を貸してくれるとは思わないし、対してアイデアがあるとは思わないな。列車も飛空艇も他種族は使わせてもらえないからな」

「……はぁ」

「凄く嫌そうな顔していますね」

「文明の利器が揃っている大陸で徒歩で向かうってバカみたいじゃない!」

「お前はこの旅の中でもずっと不満げだったよな? 歩きの何が不満なんだ?」

「疲れるじゃない! 文明の利器があるなかでなんで歩かなきゃいけないのよ! バスとか電車とか飛空艇とか…色々あるでしょ?」

「使えないんじゃから仕方ないじゃろうに…」


 皆からの同意がイマイチ得られないアンヌは不満げな顔をずっと続けていたが、今更何を喋っても意味が無いと知っているので直ぐに止めた。


「で? その上陸場所って何処?」

「中央大陸の南側にある『アンドランド』という国の港町じゃな。そこから歩いて移動するしかないわい」

「ちょっと楽しみですね。中央大陸なんて私達の種族からすれば縁のない場所ですし」

「教会の説得が出来たらディラブの不満を解消する為に例の祭りに参加しても良いかもしれないな」


 ジャック達は改めてホテルへと帰路についていった。

どうでしたか?

円環のドラゴン編もそろそろ終わりです。

次章は中間章と言うか間幕となっている感じです。

では次は円環のドラゴン第四十六話でお会いしましょう!

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