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何を願い何を想うのか 2

円環のドラゴン編四十四話になります。

ジャックとファリーダの会話の後編となります。

では本編へGO!

 ディフェンダー達曰く教会本部はあれ以降特に変わったことは無いらしく、ずっと話し合いを続けているという噂をジャックは仕入れていたわけだが、その噂が帰ってジャック自身に違和感を告げていた。

 それはアンヌも同じ気持ちであり、教会があれ以降ずっと変わらず話し合いを続けているという状況は正直納得が出来る状況ではない。

 教会は争いが絶えない中央大陸からすればある程度の指針である。


「じゃあ中央大陸では教会が方針などを提示するんですか?」

「いや、全てじゃない。基本は各国がそれぞれの法律を作ったり国の運営をしているわけだが、大まかなことを教会が提示しているだけだ。流石に国同士の争いごとまでは介入したりしない。それに、国に所属していない小さい村とかあるしな」

「そんな村まで…不思議ですね。ドラゴン大陸ですら統一政権があるのに、中央大陸にはそれが無いなんて」


 ファリーダは不思議そうな顔をしながらカフェラテに口を付けて一口だけ飲む。

 ジャックはブラックコーヒーを一口だけ飲みながらファリーダから言われた言葉を改めて考えてみた。


「言われてみればそうだな。俺やアンヌやリアンはそれが当たり前だと考えてきたけど…今にしてみれば不思議なものだ。一つの大陸で国同士が未だに争っているなんて俺達からすれば当たり前なんだが」

「正直に言えば私は中央大陸が一つにならないと今回の事件は解決できないような気がするんです。でも、それが出来るでしょうか?」

「…分からない」


 それはジャック自身そう答えるしかできない。

 具体的なアイデアがあるわけじゃないし、何か方法を思いついているわけでもないのだ。

 それを今から四つの種族同士が話し合い決めていくしかないのだが、実際はこれから大きな枠組みを話し合うわけで、本当に文字通りの意味での「これから」なのだ。


「俺達が今できることはした。そのうえで恐らく次は俺達は直接中央大陸に向かう。俺が中央大陸に変えるための最低限の準備がようやく整ったわけだ」

「アンヌさんは帰れますよね? 特に問題なく」

「本人が嫌がっているんだ。正直に言えば俺もアンヌも教会に良い思い出が無い。特にアンヌは教会に隔離されて過ごした時期がある。押さえつけられて、良い子を強制された記憶がな」

「あの…教会ってどんな組織なんですか? そんなに悪い組織なんでしょうか?」

「どうだろうな? 表向きはまともな組織だが、裏では様々な非合法な事もするさ。それこそ秩序の為と言う言葉を盾にしてな。アンヌ達聖女はそれこそ表向きの仕事ばかりだよ。汚い仕事をしり目に庇う仕事」

「嫌な仕事ですね…でも汚い仕事って?」

「暗殺。国をコントロールしつつ掌握。ヤバい国が生まれれば争いを誘発して戦争を起こすなんてこともしてきたそうだ。流石に人体実験とかそういうレベルのヤバいことはしたことが無いと信じたいが、それでも俺はそんなことをしていても疑わないけどな」

「アンヌさん達聖女は何をする仕事なんでしょうか?」

「色々あるが…中央大陸において危険度の高いダンジョンの鎮圧作業。教会の巡業や難民や救済を求める人間に教会の教えを伝えて回るとか…色々だな。行ってしまえば教会が「真っ当な組織」というイメージを植え付ける雑用係だな」


 結局でアンヌ自身そんな仕事しかしていない。


「じゃあ、ジャックさんも?」

「勇者は正確には教会に所属をしているわけじゃない。実際教会のトップの顔もほとんど知らないしな」

「そうなんですか? でも中央大陸の勇者は教会の管理では?」

「本来はな。でも、勇者個人を管理しているわけじゃない。多分最高司祭の一人以外誰が勇者候補なのかも分かっていないんだろうな。聞いた話だと俺が生まれてきた時点で俺が次の勇者だったらしいが、それをドライ最高司祭は敢えて放置してきた」

「多分ですけど。ナーガの特殊な育て方が理由だと思います」

「? どういう意味だ?」

「聞いた話ですが…ナーガ男性が出産する代わりに女性が子育てをするんですよね?」

「そうらしいな。俺はまだ子供を作れる年齢じゃないらしいが」

「子供をどうして女性が育てるか知っていますか?」


 ジャックは少し考えて「どうしてだっけ?」と考え込む。


「それは男性は魔力を溜め込み、女性は魔力を放出する性質を持っているからです」

「成程。子供がお腹の中にいるときは蓄積した魔力を男性が与え、女性は生まれてから与える。逆を言えばナーガの子供は生まれて十年ほどは魔力を自分で作れない」

「はい。多分ですけどジャックさんの家柄は代々女性が多いのでは?」

「確かにな。俺ぐらいじゃないかな?」

「生存本能だと思います。生き残るためには女性では無いといけないという生存本能が生まれているんでしょうね。ナーガの血が混じっているとは言っても基本はヒューマン族。お母様は恐らく魔力の放出と蓄積が同時に出来る体質なのでしょう。そして、その才能は自然とアンヌ様にも受け継がれた」

「だから、アンヌも魔力を問題なく使えるわけか?」

「はい。それこそ本来聖女は人工的なんでしょうが、アンヌ様はその中でも天然の聖女なんだと思います」

「それもドライ最高司祭が狙った事…」

「どうでしょうか? 私ははっきりとは断言はできません。しかし、もし狙ったとしたら少なくとも教会の計画だとは思えません」

「どうして? はっきりと断言できる」

「それなら教会がアンヌ様を今でも幽閉していますし、アンヌ様は危険な目に合わせたりしないでしょう。恐らく、アンヌ様の中に眠っているナーガの血を最大まで覚醒させる。それをヒューマン族としての覚醒に合わせるにはアンヌ様の魔力を最大まで追い詰める必要性がある」

「だから、あの洞窟の一件を意図的に起こした。いや…見逃して起こさせた。俺が勇者として完全に覚醒するタイミングが重なったのは偶然ではなく必然か…」

「恐らく。アンヌ様の魔力を覚醒させる最後の条件はジャック様の勇者としての肉体の覚醒なのだと思います。だから、連動させた。ドライ最高司祭はその辺り計算していたんだと思います。だからこそ、ジャック様とアンヌ様はその後同じ場所で再開したんです」

「あの一日でそんなことが起きていたというわけか」

「おそらくですが…ですが、それは「何故そうしたのか?」という問いに対する答えではありません。それが答えられるのは…」

「…ドライ最高司祭一人だけだ。そういう意味では俺やアンヌの出生の秘密を知るためにも…」

「はい。私達は中央大陸に向かうべきです」

どうでしたか?

次はアンヌとリアンも居れて中央大陸のお話を少ししようと思います!

では次は円環のドラゴン第四十五話でお会いしましょう!

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