高難易度ダンジョン同時攻略戦 3
円環のドラゴン編三十八話目となります。
今回はジャックサイドの攻略戦が描かれています。
では本編へGO!
歩き出したジャック一行は五分もしないで大きな結晶が生えているような機械の前に辿り着いた。
足を一旦止めてアルドはトコトコと装置の前へと歩いていき、装置についているキーボードを操作し始めると、結晶が淡い黄色い光を放ち始め魔道区画と呼ばれるこの場所一帯のそこから眩い光が一気に頂上目指して伸びていくのだった。
ジャックとアンヌは驚きと共に眩い光を腕で隠し、アルドはその間もキーボード操作を一切止めないままでいる。
光が一旦収束すると先ほどと同じ魔道区画が存在しているだけで、先ほどの行動でなにが変わったのか分からなかったが、それはほんの少しの間の事でよく目を凝らしてみれば魔道区画の中に光の道が出来ていた。
「この上の区画と何か関連があるのか?」
「上の区画は元々この魔道区画を管理する為に作られた日本の魔道伝動装置のはずだった。しかし、のちにこの魔道区画の意味が分からなくなっていくと金属を加工する装置に上書きしていっただけだ。元より魔道伝動装置としての機能は失われていない」
「じゃあ、今のは魔道の強い力を上空めがけて打ち上げることで真上にある装置を起動させたのね?」
「ああ。その通りだ。これで先に進めるはずだ。この魔道区画は基本一本道。迷うことは無い」
「逆に言えば一本道の間に魔道区画故の強力なモンスターが徘徊しているはずだな。パッと見た感じ機械仕掛けの様に見えるゴーレムも混じっているようだし」
「ゴーレムタイプの亜種かしら? 鉱石じゃなくて金属…いや機械で出来ているみたいだし」
「そうだと聞いている。最も魔道区画で変質したゴーレムタイプでここでしか確認されないタイプだな。それ以外にもこの場所を徘徊している機械のような見た目をしているモンスターは此処でしか存在しないとされている」
「その理由は何なの?」
「ここの魔道核が本来生まれてい来るはずのモンスターの属性に『金属』へと変質させるらしい。それが中途半端にあのような形として現れる。金属が生物にギリギリまで近づいた姿だと言われておるな」
ロボットが徘徊している姿を見る限りだとその通りだと言わざる負えない。
話し込んでいると奥の光の道からフワフワと浮かんでいる機械のロボットが三体ジャック達へと近づいてくる。
しかし、まだジャック達の存在には気が付いていないようで徘徊しているだけの状態であるが、ジャックが勇者の剣の内大太刀を呼び出して装置から身を乗り出して地面を強く蹴った。
ロボット達はジャックの存在に気が付いたのか機関銃の矛先をジャックへとむっけるのだが、銃口から銃弾が飛び出る前にジャックはまず一体目を切り伏せ、そのまま横なぎに剣を振り回して一刀両断してしまう。
息を吐き出すジャックは勇者の刻印が何かを奥の方から感じ取ってしまった。
足を完全に止めて奥の方へと視線を向ける。
「どうしたの?」
「奥から何か感じた。勇者に所縁のある何かをな」
「フム…そういえばこの場所を建設したのは今から千年以上前の勇者が活動していた後だと聞いた。この地に勇者がやってきたことがあるのかもしれんな」
「でも、勇者の遺体や武器は全部教会が管理しているんじゃ?」
「いや…管理しているのはヒューマン族の勇者だけだ。ナーガ族の武器はナーガ大陸の墓に安置されているはずだが」
「奥へと言えば分かる。この調子なら最奥まで然程時間は掛からないはずだ。厄介なのは最奥で待ち構えている奴じゃからな」
「そこにいる頼もしい元勇者さんが何とかしてくれるわよ」
「先ほどの命を代償にした一撃を無効かして見せたバーサーカーさんには負けるよ」
ジャックとアンヌが皮肉を述べながら歩き出す中アルドは口に手を添えて考え込む。
(勇者にとって所縁のあるモノ…か。恐らくは…)
アルドには何か心当たりがある様で、ジャック達に置いていかれないように歩き出しながら過去の記録を思い出していく。
光の道を歩き出しながらそっとアンヌは下を眺めると、真下には見えぬ底があるだけでなにも見えてい来ない。
「この下へと落ちたらどうなるの?」
「この下はそのまま星の中核と呼ばれている場所じゃ。重力などを考えてもまず助からん。どんな生物でも途中で圧力でペシャンコじゃ」
「ナーガなら多少なら耐えられるんじゃない?」
「なまじ耐えられる分だけ地獄だな。落ちるなよ」
ジャックが歩き出すと、物陰に隠れていたと思われる機会のゴーレムの右腕を力一杯振り上げて叩き落した。
ジャックがバックステップで回避すると、アンヌは素早くレイピアを取り出して魔力を矛先に溜め込んでゴーレムの核近くへと連続で叩き込んだ。
叩き込まれた魔力はゴーレムの核だけを的確に破壊した。
「何時の間に習得したんだ? そんなヤバい技術」
「やばいって程じゃないでしょ? 聖術なら使えるでしょ? 実際ドラゴン族も体内に聖術を使って魔力を叩き込んで破壊する術を使うし」
「そうじゃな。別段難しいことではないが、ナーガからすれば不思議な術じゃろうて、いくら元ヒューマン族を演じていたと言ってもな」
「俺は思い込んでいた方だがな。どうやらここで魔術を使うと想像以上に威力が上がるようだが」
「ああ。止めた方が良い。魔道区画は魔力を強力にする。オーガやドラゴン族ならそこまでじゃないが、ナーガのような魔術は数倍へと威力を底上げするらしいからのう」
「なら、ジャックは武器だけね。我慢しなさい」
「いや…なら大太刀の倍返しが使えないな。倍返しを更に数倍にするんだから下手をすると足場が無くなる」
「なら途中にあると思う例の物が役に立つ可能性があるのう」
「それって…?」
「多分じゃがこの先にあるはずじゃ。勇者の剣がな…」
「え? でもさっきナーガ大陸のお墓にあるって言っていなかった?」
「あるという話だ。俺が確認したわけじゃないし、実際に確認したという記録を確認したわけじゃない。だが、それなら刻印が反応した理由としては十分だ。ナーガの勇者の剣は効果が様々だ。この空間に適応した剣なら大助かりだな」
「それを期待しながら奥へと進みましょう。この程度の敵ならそこまで苦戦しないで行けるでしょうし…」
そんなことを言いながら奥へと歩き出していくアンヌ、ジャックとアルドはその後に続いていく中ふとジャックが口を開いた。
「そういえば最奥にいるはずの敵って何なんだ?」
「フム…魔道区画を守護する為に作られながら魔道核の暴走によって暴れ回っている存在…人と竜が合わさった見た目をしているそうじゃ」
「竜人というモンスターか…中央大陸で一回だけ見たことがあるし戦ったことがあるな」
「そうなのか?」
「ああ。あれは厄介だ」
「ええ。竜人は考えて動くから下手に知性がある分だけ戦略を立てるのよね。モンスターとしての竜と言うよりはキングクラスのような戦闘力を持ちながら戦略や戦術も立てる化け物さ。それが魔道区画で強化されているのなら厄介だ」
ジャックは最奥へと目を向けたのだった。
どうでしたか?
次回は再びリアンサイドのお話となります。
ジャックサイドはこのまま最初の勇者の剣をゲットするところからボス戦までしっかり描きたいと思います。
では次は円環のドラゴン第三十九話でお会いしましょう!




