高難易度ダンジョン同時攻略戦
円環のドラゴン編三十六話目となります。
此処からは高難易度ダンジョンの同時攻略話となります。
では本編へGO!
古くからこのドラゴン大陸という大陸は多くの自然現象に見舞われてきたらしく、その中でも豪雨からくる土砂崩れはドラゴン族の住処を破壊するとして忌み嫌われてきた。
その豪雨を解決しようと立ち上がった勇士がナーガやホビット族に願い出て作り出した設備の上に別の設備を作り出した結果あの双子山のような形の山が出来上がったそうだ。
上の設備は所謂合成金属を加工するための施設で、下に仮の居住施設と更に地下へと別の施設が存在しているらしい。
問題のその下への施設は居住区画の一番奥に封じられた扉があるらしいのだが、それは長年封印が解かれないままの状態で放置されている。
龍脈や地脈なんて言い方をするいわゆる大地に流れるエネルギーがこの地は活性化しやすいらしく、真下は魔物の中でも所謂幻獣と呼ばれる高位魔獣が出現しやすい。
一体一体の強さを候補にいれれば本来であれば全員で挑むべきなのだが、ファリーダの親はそれを望んでいなかった。
彼女の名前は『アルド』という名であるらしく、それだけをジャック達に教えてくれたわけだ。
まずは居住区画と呼ばれている場所まで階段で降りていき、階段から下に一つ降りるとそこは横に広く作られたしっかりと区画整理されている多少の汚さはあるが人工的な閉鎖空間にでた。
マス目のように広がる区画の一番奥に更に下へと繋がる階段を降り、同じような区画を更に降りる事一番奥へと辿り着く。
特に代わり映えのしない壁の前に辿り着いたジャック達、アルドは持ってきていた緑色の宝玉を取り出して壁にそっと触れさせると壁に角の生えた馬であるユニコーンの模様が浮かび上がる。
縦に切れ目が出来たと思うとあっという間に左右に鉄の塊が動いていき目の前に大きく下へと伸びた階段が現れた。
「この先が魔道管理区画と呼ばれるこのドラゴン大陸の秘密がある」
「魔道管理か…魔道でなにを管理しているかで感想が変わるがこの先は今までの居住区画やその上にあるとされている設備とは見た目は変わるのか?」
「変わる。そう言われておる。何せ広い空間な上不可思議な法則で動いていると言われておる。当時のナーガとホビットが持てる技術を全て出し切って完成させた部屋じゃからのう」
「行ってみれば分かるでしょ?」
三人で下に降りる事十分ほどでその空間に出た。
なんというか広大な空間何処まで広がっているのか分からないぐらい広い空間にあちらこちらに伸びている足場、そして見える一番端っこに見えている微かな光にジャックは目が付く。
アンヌは目を細めながらその光をジッと見つめる。
「あれ…まさか魔道核? 実物は初めて見たわ」
「ああ。世界で三つしかないと呼ばれている巨大なエネルギー製の球体じゃな。こことナーガと中央大陸にしかないと呼ばれておる」
「俺も実物は見たこと無いな。中央大陸の奴はそもそも行方知れずだし、ナーガも教えて貰ったことは無いしな」
「あそこに向かう事がとりあえずの目的じゃ。そして…」
アルドは指さす方向にあるのは淡い光で包まれている二足方向の爬虫類と言った感じのモンスターであり、いわゆる魔道技術の産物である魔物である。
一般的には幻獣と呼ばれている存在に非常に近く、戦闘能力は非常に高く高い知性も備わっている。
「あれを見るとナーガが関わっていると分かるな」
「魔物…魔獣…幻獣はナーガの魔道技術ありきだもんね。魔道核があるところは絶対に湧くと言われているから。まあ、それ以外にもエネルギーが溢れているダンジョンは湧くと言われているし」
「一般的には廃墟と化したダンジョンで霊的なモンスターは大体こういう理由で湧くモンスターじゃな。場に影響されておるから霊的に見えているだけで、モンスターも魔物のと呼ばれている素材も基本は場に影響を受ける。じゃが…」
「ここは別か。あの魔道核によって偶発的に生み出されたモンスターは場の影響とは違うからな。中には自動的に動き回っている機械の魔獣も居るが」
下の方を見てみるとフワフワと浮かんでいる人の半分ほどの大きさの機関銃を装備した飛行機のような形の幻獣、四つ足方向の人の倍はあろうかと言う機械の幻獣まで様々なタイプが徘徊している。
「で? 結局はどうすればいい?」
「魔道核以外は無視してもよい。要するにダンジョン化の原因になっている『モノ』を排除して出力を多少抑えれば良いんじゃ。今現在は出力を最大値まで高めている状態じゃからな」
「だから暴走してダンジョン化が進んでいるわけね。それを抑えて本来の出力まで落とせば大丈夫と言うわけね」
「そういう事じゃ。道が多少複雑じゃから儂から離れないようにな。儂ですらこの奥に行ったことは無い。あくまでも儂の先代から伝え聞いた話と此処にある地図が頼りじゃ」
ジャックとアンヌは何も持っていないアルドの右腕をジッと見つめてみるが、やはり何も待っていない。
「見えんよ。この場の円環のドラゴンのみに見える特殊な地図じゃ。基本セキュリティが高いのが特徴じゃからな。ここはドラゴン大陸各地の環境をコントロールするのが目的じゃしな」
「まあ弄られたら困るわよね。やろうとすれば各地で竜巻や豪雨を集中させたりできるもの」
「魔道核ってこういう使い方で合っているのか? まあ、正解があるとは思えないが」
「そもそも魔道核という物自体が存在理由が無い物体じゃしな。今から二千年前の女神が没したのち各種族は己の技術力を高めようとし始めた。魔道核はその結果と呼べるじゃろう。オーガは己の力を。ホビットは工作技術を。ナーガは魔道技術を。ドラゴン族だけは自由に生きてきた。しかし、生活するうえで衣食住は必要じゃ。住が脅かされるという事は食も脅かされるという事」
「安心して落ち着ける場所って必要よね。分からない話じゃないけど」
「ドラゴン族はやはり多少は女神に対するお話を受け継いでいるんだな」
「お前さん達よりはマシというレベルじゃがな。ナーガも同じくらいは伝わっておるはずじゃ。あれは…異世界の人間じゃよ」
「異世界人? それって全く違う世界って話?」
「似て異なる世界。並行して存在している世界。小さな繋がりを持つ世界。様々な言い方があるが、この場合異なる世界という言い方があっておるじゃろうな。とある理由でこの世界までやってきた異世界人。知っておったか? お前さんが宿している勇者の刻印は元々この世界の技術ではない。異世界の技術で出来ておる」
「異世界の技術?」
「ああ。その強力さ故にヒューマン族のような貧弱な種族では耐えられない。耐えられる個体を育てるための勇者システムの構築と維持を教会は続けてきたわけじゃ」
アルドは「さあ、行くぞ」と言いながら歩き出した。
どうでしたか?
次はリアンサイドのお話となります。
では次は円環のドラゴン第三十七話でお会いしましょう!




