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災いを晴らす者

円環のドラゴン編三十五話になります。

悪魔王との戦い決着編とドラゴン編の中心へと向かいます。

では本編へGO!

 聖属性による大爆発はアンヌ達の視界を真っ白に染め上げ、視界を片腕で塞ぎながら眩しさに対して対抗する。

 激しい爆発が一気に収束していくと、視界の端には二人の男。

 再生能力で無傷状態になっているジャックとボロボロの状態で息を漏らしている悪魔王。

 黒い一撃はジャックが放った真っ白い自爆術式で中和されており、お互いに術式を防ぐことなく生身で受け止めた結果であるが、魔力がある限り勝手に再生されるジャックと、再生することが出来ない悪魔との決定的な差が出来てしまう。

 ジャックは此処で相手の出方を見ようとするほど臆病ではないと地面を抉るような勢いで地面を蹴りそのまま距離を詰める。

 悪魔王は全身の魔力を練り上げて全身から無数の弾丸を作り出して周囲へと向かって飛ばす。

 ジャックは敢えてその攻撃を避けようとはせず、再生能力だけでその場しのぎを起こし距離を縮めていく。

 後一歩で大太刀の攻撃範囲に入るという所で悪魔王は不敵な微笑を浮かべた。

 銃弾に変えていた魔力を腹へと向かって貯めていき、貯めきった魔力を全て生身を犠牲にする形で自爆術式へと変換する。

 先ほどジャックが自爆術式を見せてしまった事で悪魔王もまた学習してしまったわけだ。

 その上己の命を犠牲にすることで威力の底上げを図っているとジャックは判断し、素早く止まりそのまま一瞬の刹那の中で思考を巡らせるが、明らかに敵味方問わず放たれた一撃。

 先ほども言った通りジャックは再生能力があるので最悪何とかなるかもしれないが、アンヌはそうもいかないだろうと思考を巡らせる。

 しかし、その間にアンヌはジャックの隣から飛び出てきて聖術で自らの身体能力を最大値まで高め、自爆術式の発動時間をギリギリまで遅らせるアンヌ。

 その状態で爆発しつつある悪魔王の体の丁度中心目掛けてレイピアを力一杯叩き込むとアンヌは聖術を使って自爆術式による『攻撃の拡散』を『攻撃の収束』へと変換し始める。

 刹那の判断で合ったがそれは結果からすればジャックには出来ない最適解であったわけだが、このアクションで残りの二人がどんな行動に出るのかまるで分からなくなった。

 自爆術式の収束が終わるとあっけない結末にジャックは唖然としてしまい、アンヌは「フン」と言いながらレイピアを鞘に戻して二人だけになってしまった空間で身を翻す。

 ジャックとアンヌがお互いに向き合う形になる。


「最後の最後で敵の作戦を見逃してしまったのはアンタのミスね」

「…助かったよ」

「あの二人も消えたわね。爆発の規模がやけにデカいと思っていたけど、最後の最後であの二人の命を使って術式を発動したという感じかしら?」

「多分な。自爆術式の展開が異常なほど早かったし、恐らくだが銃弾の術式を使っている間に後ろでは最後の術式の準備をしていたんだろう」

「アンタが自爆術式で反撃した時点で勝敗は決まっていたわけだしね。まあ、当たり前の結果かしら?」


 二人だけになってしまった戦場は魔力と魔力がぶつかり合った結果ボロボロになってしまっており、下手をすればそのまま崩壊するのではと思われた。

 ジャックは仲間達が向かった方向とは違いこの建物の更に地下へと視線を移す。

 本来であればこのまま追いかけるのが筋であるが、ジャックには別の目的地があった。

 この場所に到着した時点で感じ取っていた別の違和感、この地下からはっきりと感じていた別の悪意。

 無論、旧首都の建物の屋上にあるであろう目的地にこの国の国家元首を連れて行けば何かが起きるだろうが、それは果たしてジャック達やこの国の人々を救う事にはならないのではとジャックは思っていた。

 この国を救いたいわけじゃないし、それは本来であればこの国の人々がするべきことであるが、ジャックは元勇者としての役目を果たすつもりである。

 その前にもう一度自分達がやってきた方向へと向かってしっかりと顔ごと体を向けた。

 アンヌもまた今から姿を見せようとしている人物に意識をはっきりと向け、影の奥からその人物が「やれやれ」と言いながら姿を現す。


「どうして儂が来ていると分かった?」

「アンタが円環のドラゴン…ファリーダの親であることを隠しているからだ」


 流石にアンヌが驚きの顔をした後ジャックに対して「どうしてそれを…」と愚痴を漏らす。

 ジャックは初めて今回の一件を依頼した主と対面したとき、纏っている聖術とファリーダが使う聖術に似た点があることに気が付いた。

 無論それはドラゴン族なら一緒だと誰もが思ったが、ドラゴン族通し多少の際が生まれる。

 それに気が付けたのは彼が根っからのナーガだから。

 些細な違いと類似点、年齢を考えれば分からないわけではなかった。


「この地下にある存在。そして、このドラゴン大陸が古来よりダンジョンが多い理由と円環のドラゴンの能力を考えれば分からないわけじゃない。アンタは俺達の父親であるドライ最高司祭から俺達が来ることを聞いたんだろう? しかし、俺がくれば俺がこの地の問題に首を突っ込む可能性を指摘された。若いファリーダにこの場所の真実を告げる勇気が無かったアンタは勇者にゆかりのあるあの地に子供を残しあの自宅で俺達がまとめてくることを待っていた。同時に悪魔王達を国家元首に紹介し俺達と戦わせたのも全てはこの場所で俺と一緒に地下に降りるためだ」

「この地下の存在?」

「この地下にはこのドラゴン大陸がダンジョンが多発している原因がある。ファリーダ達なら問題なく国家元首を例の場所まで連れて行くだろう。だが…」

「それだけでは問題の解決にはならないのじゃ。この地下にある…その存在…」


 その言葉を言いながらファリーダの親はその老人のような見た目をあっという間に切り替え一人の美人のファリーダ似の女性へと変えた。

 熟女のような見た目の女性は着物からはっきりと分かるほどの巨乳を揺らしながらジャック達へと近づいていく。


「円環のドラゴン。ドラゴン族は同じ命をひたすらに繰り返す。永遠をもってそれをなす。他に命を繋ぐことが無いドラゴンのそういう側面を役目として強くさせたのが円環のドラゴン」

「単純に能力名じゃ無いのか?」

「オーガやホビットとは違ってそこまで強力な能力があるわけじゃない。他のドラゴン族より本来は優れているという事しか存在しない。ひたすら強くなり続ける。それが円環のドラゴンたる由縁」

「アンタはその役目をファリーダに代わって背負うつもりなんだな? アンヌはどうする?」

「無論ついていくわ。戦力は多い方が良いんでしょ?」

「君達の力を借りたい。このドラゴン大陸の災いを解決するためにもな」

どうでしたか?

次からはいよいよこのドラゴン編の最終ダンジョンとなります。次からは二手に分かれての別ダンジョン攻略となります。

まずはジャックサイドから始まります。

では次は円環のドラゴン第三十六話でお会いしましょう!

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