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底なしの悪意

円環のドラゴン編二十五話目となります。

今回はいよいよ円環のドラゴン編のラスボス達がそれとなく存在が示唆されます。

では本編へGO!

 ダンジョンをあっという間に突破した俺達元勇者一行パーティーはそのまま街中へと入り込んでいく。

 街の出入り口にはやはり国家元首がやってきているからかかなりの警備体制が敷かれていたが、俺達の姿を見た途端見て見ぬふりをしてくれた。

 もう既に話は言っているのだろうが、信頼している警備体制がグダグダと言うのはもはや笑い話である。

 ドラゴン族が作る街としては結構近代的と言うか、普通の一軒家などが並ぶ閑静な住宅街と商店街や金融街が混ざった街並みをしており、これと言って特徴の無い街並みをしていた。

 しかし、盆地のど真ん中に作られている上に盆地がいびつな形をしている為道路なども斜めに作られたり、と複雑な造りをしている。

 迷うことなく当初から言われている場所まで辿り着いた俺達一行、大きく遮られた柵の向こう側にある指示されている建物があるのだが、確かにここだけ警備が異様にしっかりしていた。


「此処が明日国家元首が現れる場所か…寝ている隙を襲うかそれとも別のタイミングを狙うか」

「もう…拉致できることが確定している感じがして個人的に好きになれない」

「そもそもやっていることが犯罪ですしね」

「少なくとも勇者の名前の着くパーティーがしていいことじゃ無いしな。それより…」


 俺は豪華な三階建ての洋風な建物から聞いていないレベルの邪悪な気配を漂わせているのは何故なのだろう。

 この中を進むとなると正直に言えば簡単にはいかない気がする。


「まさかとは思いますが、国家元首が念の為に誰かに警護を依頼したのでは?」

「考えられるな。今までもこちらの動きを掴んでは邪魔をしようと色々動いていたようだし。しかも厄介な相手と見るな。何というか…いざとなったら国家元首事殺しそうな気がする」

「はい。此処まで邪悪な人を雇う理由も何となくわかりそうな気がしますけど。きっと皆さんが港から入ってきたところから警戒していたのかもしれません」

「やはりホビット大陸で少々暴れ過ぎたかもしれないな。知名度で警戒度を高めてしまったか。先ずはこの厄介な相手を始末してからだな。この厄介な相手が何を目論んでいるのかを知るところだが」


 この三階建ての豪華な豪邸と言っても良いレベルの建物を覆ってもなお足りないような巨大な気配を漂わせており、今まで出会った相手では流石に邪神レベルとは言わないが、人と言う枠組みの中では最高かもしれない。

 一体どんな能力を持っているのかがさっぱり分からないが、ドラゴン族なのだとしたら聖術を使うのだろうが、ドラゴン族は魔術を解体する術を心得ている上に身体能力を強化も出来、回復能力も普通に会得するので厄介なのだ。

 回復する術持っている人間がなんで前衛を引き受けることが出来るのだという話である。

 しかし、同時にこれ気配で何となくにはなるが呪いのような力を発している。

 間違いなく邪悪な力を心得ている人間だが、ドラゴン族の歴史の中に邪悪な力があるのだろうか?


「無いとは言い切れませんが。あまり聞いたことはありませんね。数も少ないので調べようと思えば簡単に調べられるとは思います。そもそもドラゴン族と邪悪があまり相性が良くないですし…聖術では呪いの力と釣り合わないというか」


 まあ、イメージがわかないけれど、でも一般的に古くより外の種族が思い描くドラゴン族って邪悪なイメージが湧くのだが。

 古典的な創作話ではあるが、しかしそういう創作話は基本的に馬鹿に出来ないもので、ヒューマン族の創作話の中にも真実に基づいて作られたお話も非常に多いのだ。

 前に話した封印ばかりを使っていた国の話も今でもヒューマン族の子供へと語られる古典話の一つ。

 それに邪悪なドラゴン族だって今思えば奴らの仲間であるあのメロンも邪悪なドラゴン族だったと思い出す。

 あれは聖術以外を使っているイメージが強いのだが、恐らくある程度成長したドラゴン族は聖術以外を習得するのかもしれない。

 もしくは作り出せるのかもしれないが、個々のレベルが非常に強くなっていく半面個性が能力に出てくるのかもしれないなと思う。

 成長と共に基礎的な能力である聖術以外に何か個性的な能力を扱えるようになるのだろうが、それが邪悪かそうではないかはきっと成長過程にこそ問題があるのかもしれないが、どんな能力なのかは実際にあたって見ない事には分からないのだろう。

 まあ、行き当たりばったりなら俺が相手をするべきなのだろう。


「私でも構いませんが…むしろジャック様の方が拉致を担当された補遺が良いのではありませんか?」

「良いや。身体能力を上昇できるファリーダが拉致を担当、場そのものに制限などを設けることが出来る呪術の使い手であるディラブがサポートが良いだろう」

「むう…俺は戦いたい」

「敵の出方が分からないうえにこちらは失敗が出来ないような状況だ。此処で失敗して逃げられたら俺達の当初の目的も失敗する可能性が高い」


 二度三度とチャンスをくれるとはあまり想像したくないし、それを求めるのは駄目だろう。

 一回できちんとやり遂げる必要がある。


「相手からの信頼もあるしな。それに、前回俺を封印しようとした奴の話もある。もしお前達が封印されたら俺が救助に回らないといけない。手間が増える分失敗するリスクが増える」

「だからか…仕方ない。相手は一人か?」

「中に警備の人の気配が多すぎてこの邪悪の気配が一人なのかが判断できないですね。下手をすると複数人が中で警備に参加しているかもしれません。ですが、今日昨日警備に参加したのなら下手をすると誰も把握していないかもしれませんね」


 そうなのだ。

 昨日今日勝手に警備に加えたのなら下手をすると追加の警備なのだとバレない様に伝えていない気がする。


「今までの警戒のパターンなら伝えていないかもしれないな。だが、何人で侵入するのか分からない以上相手も下手に警備の数を増やさないんじゃないのか?」

「有り得るな。ならやはり数は多く見積もっても二人程度か?」

「はい。それ以上増やすとバレやすいですし。警備とはいっても適当に配置しているわけじゃありません。基本区画ごとにしっかり管理されているはずですし、数が増えている場所が多いと何処からか情報が洩れるか分かりませんし」


 と言うか、事前に聞いた国家元首の頭でそんな作戦を考え付くとは思えなかった。

 恐らくはこの作戦を考えたのは別の人間かもしれない。

 敵は組織で国家元首に雇われているのか知れないが、だとしたらたとえ拉致できたとしても目的の場所への過程で襲われる可能性が十分にある。


「簡単に行くと思ったんだがな…この分だと向こうの依頼人の元へと襲いに行く人間が良そうだな」

「ならメールで居残り組に連絡を飛ばしますね。最悪封印場所まで連れて行くメンバーは私達だけの可能性も…」

「あるな。敵が組織やチームで来るなら俺達も全員で別々に行動するべきだろう」

「メールを飛ばして…」


 ファリーダが連絡を飛ばしている間ディラブは「宿泊先を探そう」と言って周りを探り始める。

 俺は「なるべく遠くにしよう」と提案した。


「何故? 近くの方が良くないか?」

「こんな気配を周りに漂わせている奴だぞ? この近くに宿泊していると宿泊先を襲いかねない。なるべくバレない場所を選ぶべきだな」


 ディラブが「成程」と言いながら歩き出すと、俺とファリーダも共に歩き出した。

どうでしたか?

次回は半分はジャックサイドのこれからと、もう半分はアンヌサイドの旧都方面への進入路確保回となっております。

では次は円環のドラゴン第二十六話でお会いしましょう!

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