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真実の手前 3

円環のドラゴン編二十四話目となります。

今回の事件の真実の一辺が描かれます。

では本編へGO!

 一旦緑茶を飲んでから息を整え直し、改めて詳しい話を聞くことにしたわけだが彼曰く国家元首は今現在ここからダンジョン一つ分離れた場所に居るらしく、今から急いでいけば明日の朝には到着し、襲撃と拉致を問題なく行えるという事らしい。

 しかし、ここで問題として言われたことは最終目的地のダンジョン一帯が現在隔離状態にされているという事で、正面から侵入することは出来ない。

 恐らく自分とその封印場所を離そうとしているのだろうが、その場所と言うのも俺達には想像が出来たわけで、先ほどまで通ってきた旧都アルデリーナだろう。

 なら恐らく目的地とはあのダンジョンの最奥である旧城なのだろう事は想像できるが、ならあの結界のようなバリアは国家元首が張ったものである。


「国家元首が個人的に雇ったという人物達、どれぐらい厄介なんだ? 数は? 質は?」


 正直に言えば前の大陸まで張り合っていた連中クラスなら苦戦するとかいうレベルではなく、普通にミッションが失敗する可能性すら存在しているのだが。

 そんな思いで聞いてみたのだが、どうやら練度や実力は大したレベルではないらしく、正直安い金で雇える程度の実力しかないそうだ。

 まとめても恐らく俺以下であることを思えば襲撃から拉致まで俺一人でも余裕なのかもしれない。

 ただ、結界に関しては相当の無理をしているらしいことが話からは伺えた。

 その結界を作るのに国家予算の半分を費やしていると聞いた時は全員が顔で「無駄遣い」と訴えたほどだ。

 そんなくだらないことに国家予算を費やすぐらいならもっと別の方法なり手段があったはずで、そっちに予算を使えばいい。


「頭が良くないと見えたわ。私…」


 アンヌの酷い一言も誰も咎めない辺り、本当にあまり賢くないレベルで、そんな奴が国家元首をしていてこの大陸は持っていた方だろう。

 と思っているとファリーダが口を出した。


「と言うよりはそもそも国家元首としての仕事をしていないんです。だから国政も全部がここ数百年は放置です。その結果が内海側の大陸の無断開発とリゾート地の建設なんですよ。あそこも元々はまだ船や飛空艇が開発される前の歩いて四大大陸を回る際の宿場町として開発されていた場所で、それ以外許されていませんでした。しかし、彼が国家元首を務めてから技術力の核心は目まぐるしいものがあり、船や飛空艇の開発。魔道技術の機械化やそこから発達した娯楽文化は様々な分野の人達に成長の余地と心の余裕を齎しました。その傍らで、変化してこなかった。変化出来なかったこのドラゴン大陸は無断での開発が行われても誰も何も言えなかった」

「幸い中へと入る手段こそ存在しなかったわけじゃが、それでも内海側の開発だけで十分すぎるぐらいじゃった。そもそもドラゴン大陸はその半分がダンジョンじゃ」

「ええ。他の種族が住むには過酷すぎる上、乗り物技術も発達しておらず。基本ドラゴン族一人一人が強いために困らない。殆どのドラゴン族は国家元首が役に立たないという事もあり困っているんです。かといって、国家元首に手を出すというアイデアを実行しない」


 ファリーダの言葉に今度は俺が口をはさんだ。


「どうして? 普通国家元首に不満があるのならクーデターなり、ストライキなり実行するだろう?」

「ドラゴン族は良くも悪くも自分から動いて変わるという事を嫌がるんです。好き好んで変化を受け入れて、その中で変わるという方が珍しいですし」

「特に国政に関わっているメンバーと言うのはその全ては変化を自主的な行動が出来ないメンツが集まっておる。そこには期待しない方が良い」


 誰一人きっと期待していない。

 そこまで聞けば誰も期待などしないだろうし、何よりもそんな国がトップが変わった程度で変化するのか頭が痛い案件である。

 この人にはそのアイデアが存在しているのだろうか?


「それには儂にはアイデアがある。そこは気にしないで良い。まあ、君達が事態を解決できることと、その人が国家元首を引き受けるかは全くの別問題だが」


 おい。それじゃ意味ないだろうに。

 俺達が体を張る意味が無くなるのだが?


「しっかりしてください。貴方だけが頼りだと長からしっかりと言い聞かせておくようにと言われています。その為にジャック様たちが体を張るわけですから」

「他の大陸で起きた問題よりはまだ楽だと思うがな?」


 ダンジョンにどのみち行かなくてはいけない事態である以上楽ではない気がするが、まあ何を言っても聞いてくれないという事は想像に難くない。

 いうだけ無理である以上は下手に抵抗もしないと決めたのは良いが、この話に露骨に嫌な顔をするメンバーが約二名。

 アンヌとリアンが露骨に嫌な顔をしている。

 まあ、夜中にダンジョンを移動し、その足で旧都へと侵入しろと言っているのだから良い顔はしないだろう。


「ネリビットとメイビットも休んでいても良いぞ。俺とディラブとファリーダだけで実行するから。フルメンバーが揃う必要も無いしな。その代わり旧都の他の出入り口を探してほしい。多分だが、二つに割れた山から侵入できると思うんだ」

「ええ~俺達お留守番?」

「良い子にしていてね? 私とディラブさんとジャック様はともかくお二人はまだ成長期、夜中に意味も無くうろつくのはね?」


 二人共物凄く嫌そうな顔をしているが、こればかりは俺達も引くわけにもいかない。

 何より拉致をこれから実行しようというどれだけ言い訳を述べても悪い事である以上、それに子供を全面的に関わらせない。

 もういい時間だ。

 宿に戻って寝ていて欲しい。

 俺達三人だけ目的地をはっきりと聞いてから旅立つことにした。



 街の別の出入り口から外へと旅立っていき、俺達は体力に問題が無い範囲でなるべく速足で移動する。


「この辺りは元々は綺麗に作られた街道だったそうなのですが、近くに魔力を宿らせた大きな巨木が何本も出来ると厄介なダンジョンと変わり果てたそうです。最もこの辺は丁度数日前にディフェンダーがモンスター狩りをしているはずなので、特に問題は無いはずです」

「死角が居なければだが…今までも何人も刺客を放っているしな」

「そこは遭遇しない様に広範囲に索敵用の術式を展開しつつ移動しよう。俺の魔力の総量なら使いながらでも余裕だ。夜中の内に到着し出来るだけ寝たい。徹夜で行動しそのまま拉致して移動するのでは移動している間にモンスターに殺されそうだ」

「はい。出来る限り早めに行きましょう。私達なら相当早く移動できるはずです」


 俺の言葉に同意してくれた二人と共に移動速度を一気に三倍まで引き上げてからダンジョンを一気に駆け抜けていった。

 ダンジョンには刺客は誰も居らず拍子抜けしたわけだが、それもそうだろうと後に納得した。

 まさか俺達は徹夜で一気に突破してくるとは思いもしなかったのだろう。

どうでしたか?

次はいよいよ国家元首拉致する街へ向かう事になります。

では次は円環のドラゴン第二十五話目でお会いしましょう!

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