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真実の手前

円環のドラゴン編二十二話目となります。

今回は旧都アルデリーナのお話ですが、割とあっさりしています。

では本編へGO!

 旧都ファルデリーナは五百年前までしっかりと機能していたはずの古い都だったらしく、ファリーダ曰く「災いに襲われて当時の国家元首が逃げ出した都」がその災いによって亡霊が住み着くダンジョンと化してしまったらしい。

 そこまで大きな都の跡地ではないが、ここを通らないと目的地まではたどり着けないとのことで、俺達はこの場所を通るために朝一番の朝日が昇らないうちに旧都へと足を運んだわけだ。

 出入口はそれなりに頑丈な太さを持つ黒い石材によって作られた壁と門、門の前に作られている開け閉めするゲート自体は金属で作られている。

 入り口からまず遠くに見える都の中心である大きなビルディングへと目指すらしく、ファリーダがそのビルを指さした。


「あそこをまずは目指します。そこから外周をグルって半周周り、そのまま真っ直ぐに逆側の出入り口を目指します。此処はあのビルディングに入らなければ特に厄介なモンスターは有りませんよ」

「だって! 残念だったね。ディラブ!」

「入っては駄目なのか? 良いんじゃないか? 良い腕試しになると思うのだが?」

「時間があれば許可を出すが、今は駄目だな。時間がある時にでもしていろ」

「そうじゃのう。儂等は一分でも早くとある人物へと会いに行かないと行かんのじゃからな」

「でも薄暗い場所だよな。朝日がまだ昇る前だって言っても周りは少しづつ明るくなってきているのにさ」

「多分この霧だよ。この霧魔性を多少含まれているし、属性も幻属性だし…周りを薄暗くして存在しないモノを作り出しているんだよ」


 魔力にはいくつかの属性が存在しているが、中でも幻属性は存在しないものを作り出したり、作り出したものを幻に変える力を持っていると言われているのだ。

 ナーガは満遍なく様々な魔力を使いこなすと言われているが、幻属性は若干苦手にしている。

 と言うのも幻属性は魔力の総量よりは緻密なコントロールがものをいう。

 量が増えれば増えるほど緻密なコントロールが必要であり、術式コピーが使えない属性の一つである。

 実際俺も苦手意識を持っている。


「まあ、その上幻属性は慣れれば幾らでも対処が出来るからのう…特にドラゴンとオーガは効かないじゃろうに」

「ですね。突破するだけなら特に問題はありませんよ。まあ、あのビルの屋上にある鐘が鳴ればそれどころじゃありませんけど…」


 俺達は一旦ビル前まで移動しようという事になり、歩くこと一時間半でビルの目の前までやってきたわけだ。

 ビルの入り口は当時のままになっており、割れた窓などは此処が廃墟なのだと教えてくれているが、それでもこのビルが五百年もそのままの形を維持できていることに驚いた。

 ビルなんて手入れを入れないで百年も存在できるものなのだろうか?


「このビル自体はホビットが作ったと言われていますから」

「出たよ…ホビットが作ると常識外れと言われるから困るんだよね。こんなの作れるホビットのレシピを教えて欲しいよな。絶対今じゃレシピも分からないような金属使っているんだぜ」

「だね(笑)。よく見ると金属事態はまるで風化していないし…」


 そういえばこのダンジョン別の入り口から入るなら例の二つに割れた山へと繋がるんじゃなかったか?

 あの山で作り出した金属をこの場所に運んで加工してこの建物を作ったのならきっとこの街の何処かには例の山へと入る別の入り口が存在しているはずだが…まあ今は良いか。

 俺達は一周して回り込んでから反対側の出入り口へと向かって歩き出した。

 どうやら鐘が鳴ることは無いようだが、何か気になる事がふと思い何度か背中にあるビルを眺めてしまう。


「どうしたの? あのビルに何かあるわけ?」

「いや…何でもない」


 気にしないことにした俺達はそのまま出入口へと一時間半も掛けて出ていく、その瞬間に俺達が外へと完全に出た瞬間に旧都の外周を一周するかたちで不可侵の壁が作り出されてしまう。

 俺達は振り返ってから壁に触れてみるが、全くびくともしない。


「鐘の音? まさかビルの屋上にあると言われている鐘が鳴っている?」

「それってさっきファリーダの姉ちゃんが言っていた鐘? それもホビットが作った奴?」

「だと思いますけど…詳しくは知らないんです。何せこの大陸に古くからあるはずの鐘なんで…」

「…入って調査をしてみればよかったか? だが、今は…」

「気にしても仕方あるまい。今は先を急ぐとしよう。儂等の役目は別じゃろうしな」


 俺は「だな」と言いながら振り返ってから歩き出す。

 どのみち別の出入り口に心当たりが無いわけじゃないし、例の山の出入り口があるのなら多分入ることは出来る気がするしな。

 俺達は歩いて目的地の入り口が遠目に見えてくる場所までやってきたわけだが、遠目から分かる感じでは何処か変わった様子もないような普通の街並み。

 普通の街が建ち並んでいるようなイメージなのだが、ドラゴン族が住んでいる町は何処か皆変わっている感じがしていたが。


「それは偏見ですよ。普通あそこまで変わっているのは私達の集落ぐらいですよ」

「そうなのか…まあそうだろうな」

「結局あの旧都での出来事は全く調べませんでしたね。まあ、今更ですけど…」

「気になるなら終わってから良いんじゃないのか? 儂等が知る必要があるならじゃがのう」


 俺は先ほどからずっと気になっていることを皆が話し出した。

 旧都を包んだあの不可侵の壁と言うか結界、俺達は結局で時間が惜しいという事もあり全く調べないまま後にしてしまった。

 何処かでディフェンダーにでも出会えれば伝えて調べて貰っても良い気がするが、この町にあるだろうか?


「無いですね。あるのは首都だけですよ。このドラゴン大陸ではあまり困っている人も居ませんし」

「首都に行った後でも言っておけばいいか。さて…目的の人物はもう夕方だけど、会ってくれるのだろうか?」

「一度行ってみましょうか? そこで会ってくるなら会い、明日にと言われたら明日会いましょう」


 そういって俺達はそのまま街の中へと入っていく。

 黒い石材と多少の草木が生えている街並み、街は区画を平等に作られており、綺麗すぎて人工的過ぎて若干不気味さを感じてしまう。

 そんな街並みを曲がりくねってもう何処に向かったのかすら分からないまま歩くこと三十分でその建物前まで辿り着いた。

 入ろうと試みようとするとき、中から「入りたまえ」という声が俺達の脳に響くような感じで聞こえてきた。


「テレパシー…それも俺達だけに限定してみても居ない状態で…相当の実力者という事だな。テレパシーは本来ちゃんと相手を視認していることが条件だが、広範囲の索敵能力を更に個人個人を認識できるレベルまで高め、それを併用してテレパシーを使ったのか…」

「そうみたいですね。ドラゴン族は皆得意だと言われている分野ですが、相当な実力者という事になります」


 俺達は門を開いて中へと入って行くのだった。

どうでしたか?

次回はこのドラゴン大陸にとっては重要なお話回となります。

では次は円環のドラゴン第二十三話でお会いしましょう!

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