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封印は何を齎す 2

円環のドラゴン編二十一話目となります。

今回は前回の続きの小休止回となります。

では本編へGO!

 封印と言うシステムは遥か遥か昔っからこの世界に存在している事であり、歴代の封印の中には質の悪い効果を歴史にもたらしたものも存在しており、一国の代表者が使う術としては別に悪い方法ではないが、俺はイマイチ納得が出来ない。

 と言うかドラゴン族のトップなのだからせめてある程度の実力者を寄越せばいいのにとも思うが、封印と言う手段を選んだのは解せない。

 先ほども言ったが、基本この封印と言う手段は使う代わりに大きなデメリットが存在している。

 それは封印対象者が封印を抜け出すかもしれないというデメリットが存在しており、実際こんな古いお話が存在しているのだ。

 かつて中央大陸に中央大陸統一を望んでいた国が存在しており、その国のトップは質の悪い方法で次々と国を征服していったのだが、一番質が悪いのは侵略した国の重要人物と言っても良い人物達を辱めてからその姿で封印することなのだ。

 それをコレクションして美術館などに展覧する事で収入を得、同時に封印されている人間は意識を失うことなく永遠に辱められることになるのだ。

 それを繰り返し中央大陸統一を成そうとしたわけなのだが、実際後一歩だったのだがそれは当時の国王の失敗によって淡く消えた。

 封印が一斉に解けたのだが、それが意味することとは腕の立つ人達が一斉に決起したのだ、それ以外にも名のあるような人達がドンドン立ち上がりあっという間に国は亡びたのだ。

 殺せばなんとななるかもしれないのに、彼はこの方法にとらわれた結果国が滅びている。

 封印のデメリットをはっきりと理解していれば分かったことなのに、今回のドラゴン族のトップも失敗することを懸念しなかったのだろうか?

 封印と言う方法に拘った理由は何なのか、それを俺は知りたくなった。



 俺が作った場所に戻るともう既にアンヌ達が焚き木を始めており、アンヌからは「何をしていたの!?」と怒鳴られたので俺は先ほど起きた一連の出来事を話しておいた。

 すると俺が持っていた人形をネリビットとメイビットが弄り始め、俺は焚き木の火に温まっていると、リオンが俺の話を聞いて俺と同じ懐かしいお話をし始める。

 その話を聞いて嫌そうな顔をしているのは他のメンツであった。


「嫌な話ですね。封じた人を辱めてそのうえで楽しむって…嫌な話ですね」

「実際性格の悪い国王じゃったらしいぞ。儂のご先祖様もそうやって恥かしめられて封じられてしまったらしいぞ。じゃが、最後は国が倒れたのだから良いがね」

「でも封印は基本ドラゴン族やナーガ族には効き辛いですからね。専用の封印式があるぐらいですし。この封印を考え付いた人はナーガやドラゴン族の事を考慮していないと思います」

「だな。考慮していたらこんな雑な封印を考え付かない。ナーガ族の事を知らなかったのか、それとも…」

「それを考える余裕が無かったかよね?」


 アンヌの言う通りで、もしかしたらこのドラゴン大陸の国家元首はナーガがドラゴン族同様に封印が聞き辛く専用の封印式が必要だとは知らないのだろうか?


「それとこの封印を何となく調べて分かったのですが、この封印を実行しようとしている人は多分甘い人です」

「甘い人? どういう意味?」

「姉ちゃんの言う通りで、この人は物凄く甘く基本手が血で汚れることを良しとしない人だよ。じゃ無いとこんな他人が作ったような封印術を使おうとはしないはずだよ。封印術は自分で作って利用するから意味があるんだよ。他人が作った封印術を他人から買って他人へと渡したら効果は薄いよ」

「でも、他人から買えるんだよな?」

「それはそういうことを知らない人が買うの。そういう人は封印の事を良く知らない人だから。実際私達が作れば封印術はそれなりのものを用意できると思う。でも、その代わり本来の効果の半分も使えないと思うの」


 実際俺が教わった時も似たことを教えて貰ったことがあるのだ。

 封印術は自分で作った物を自分で使うから効果があるのであり、他人が作った封印術を使うようでは効果は薄い。

 何故なら封印術は術式そのものを理解することで本来の使い方を熟知し、それを理解しているのは作った本人だから。

 他人が作った術式を理解するのはその術式を開発すること以上に難しく、それこそ才覚によるのだと。


「どんな術も全部作った本人が理解出来て初めて完成するんだよ。のちに伝わる術式も解析するのに時間が掛かるし、理解するのだって時間は掛かるしね」

「封印術は特にその傾向が強いとは言われていますね。ジャックさんもそれを理解したらその話を振ったんですよね?」

「ああ。急いでいこう。こういう相手は俺達みたいなやつが接近すると弱いはずだ」

「その前に今から行く人に国家元首の話を聞いてからでしょ? そもそもその国家元首の居る首都が私達の中ではファリーダさんしか知らないんだから」

「そもそも国家元首が首都にいるかもわかりませんよ。ドラゴン族の国家元首は一定の場所に大人しくしていることは少ないですから。実際五百年前の国家元首は一か月ごとに住む場所を変えていたそうです」


 厄介なもんだな。

 隠れようと思えば幾らでも隠れられるというわけだ。


「ならやはりこのまま行方を知るであろう人物を探し出し、その人物に話を聞くしかないというわけか…ファリーダは国家元首の顔は知っているのか?」

「写真でなら。一回だけニュースになっていましたから。幾らあまり国家元首を求めていないドラゴン大陸でも国家元首が決まれば最低限でもニュースになって大陸中に回ります。それで一回だけ」


 それを皮切りに姿を出さなくなったというわけか、よっぽど人との関わり合いを良しとしていないのか、それとも他人を信用できないのか。

 多分両方だとは思うが、厄介な物でありたとえこの先の場所で国家元首の話を聞けて知らない場所に逃げられたら探しようがない。

 それこそ各種族などに頼って強制捜査でもするしかなくなるんだけど。


「それは駄目。ジャックが探して交渉するから安全かつ安心に交渉が出来るんでしょ? 強制捜査なんてしたらそれは戦争!」

「言わなくても分かっているよ。アンヌに言われなくてもな。でも、最低のラインとして最終手段としてそれを残しているだけだ。このまま逃げられるぐらいならな」

「まあ…分からんでもない。このままだとそうなるじゃろうな。それも本人が果たして理解しているのかどうか。多分じゃが、この考え方からして国家元首は儂等が各大陸の国家元首に会って何か交渉しているのが分かっている。だから、会うのが嫌と言うわけじゃ」

「まあ…リアンのおじいちゃんの言う通りだけど…何が問題?」

「あるわ。考えてもみい。それは儂等に言えない後ろ暗い理由、それも儂等が知れば憤りを覚えるか、それとも何かしらの理由で叱責されるような、国家元首の立場を奪われる理由じゃ」

「ろくな理由じゃ無いな」


 ディラブの言う通りで、そこまで行けば誰でも理解位は出来るだろう。

 この状況で黙っている理由、あの男たちがこの大陸に手を出さない理由と繋がっているのではないかという推測。

 もうこの大陸でやるべきことは終わっていると、だからもう手を出す必要はない。

 逆を言えばこの大陸には彼等が今やろうとしている事の証拠がギリギリ残っているかもしれないのだ。

 それをここの国家元首は握っていると、無論握っていないかもしれない。

 だが、どうやら国家元首を倒す前に一度きちんと話を聞いておきたいと、そう思うようにはなった。


「今日は早めに寝て明日朝一番で次のダンジョンを突破しよう。次のダンジョンは広いのか?」

「いいえ。其処まででは。多分三時間もあれば街につけるかと」

「じゃあ。到着次第すぐに会いに行こう」

どうでしたか?

次に登場するダンジョンは結構重要でこのドラゴン大陸編ではもう一度攻略することにはなります。

では次は円環のドラゴン第二十二話でお会いしましょう!

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