水氷の神殿 5
円環のドラゴン編十九話目となります。
水氷の神殿編もいよいよ終わりとなります。
では本編へGO!
「自分の名前も随分と有名になったものだ。だが、中央大陸にいるヒューマン族ならまだしも外の大陸にいるようなナーガ族が自分を知っているとは思えない。まさかとは思うが今噂の元勇者かな?」
「今中央大陸で元勇者がどんな扱いなのか知りたいね」
「…ヒューマン族を裏切った元勇者だとか。勇者様にも色々あるとか意見としては賛否両論と言った感じだな。まあ、教会がイマイチ管理しきれていない感じだな。ディフェンダーの活動も中央大陸では制限されてしまったようだし」
「それも俺の所為か?」
「さあ? 自分は知らないな。教会からの圧力と言うのは聞いているがね。一部の国のトップでは異論が出ているようだが、イマイチ教会は聞く耳を持たないようだ」
話を黙って聞いていたメイビットが口を開いた。
「そんな! 皆を助けてくれたジャックお兄ちゃんを酷く言うだけ言ってその後ジャックお兄ちゃんの所為にしてディフェンダーの活動すら制限したかもしれないって事ですか!?」
「それねぇよ! 横暴じゃねえか! ジャック兄ちゃん何も悪い事して無いだろ!?」
「ドライ最高司祭にしては少々やりすぎな気がするがのう。最もディフェンダーがその程度で活動を停止するとは思えないから水面下で活動しておるじゃろう」
「だな。あの逞しい彼らがそれで押し黙って動かなくなるとは思えない」
「だとしても、表立って動けないというのは痛手だと思うよ。やっぱりジャックが帰って教会と話を付けないと何も解決しないんじゃないかな?」
俺とガーディは睨みあいながらお互いに微動だにしないで居ると、話を黙って聞いていたファリーダが口を開いた。
「ガーディさんと言いましたか? もし貴方があくまでも私達の邪魔をするようにと命令されたわけじゃないのならここは引いてくれませんか? 私達は先を急ぐ身。貴方も帰って依頼人に会わないといけないのではありませんか?」
「フム。別段急いでいるわけじゃなが…まあ、ここで殺し合っても得はしないか。まあ良いだろう。中央大陸に来るのなら例の祭りに参加しろ」
「考えていてやるよ…」
ガーディはそのまま俺から離れてポケットから青色の大き目の結晶を取り出してそのまま姿を消した。
「移動結晶…高いだろに。あのクソ爺が持たせたのか。そんなに早く欲しいのか!? 大体あのクソ爺が居なかったらキング種とクイーン種と戦って終わりなんだよ!」
「そっちの方が大変じゃない?」
「別の奴に目を付けられたろ!?」
「ねえ。あいつが言っていた祭りって前に言っていたダンジョンで行われる奴?」
「まあのう。厄介な奴じゃのう。しかし、一旦引いてくれたわけじゃしな。どのみちもう中央大陸にはおらんじゃろう」
「あのガーディと言う男。中々強かったな。次は俺が戦いたい」
「次と言わずこれからずっと戦ってやれよ。俺は好きで喧嘩を受けたわけじゃない。俺の方に来たから戦っただけだ」
「ですが、とりあえず先に進みましょう。厄介なキング種とクイーン種が居ない以上はもうこの場所に苦労はしませんから」
俺はイマイチ納得が出来ないで居たが、ここばかりは引くしか無いと俺は勇者の剣を刻印の中へと入れてしまう。
その姿を見ていたアンヌが「便利ね」と呟きながら前を歩き始める。
すると、アンヌはゴーレムの残骸からとあるお宝を発見して飛びついた。
「ダイヤモンド!? 嘘!? しかも純度が凄く良いんだけど! やだ!」
「アンヌお姉ちゃんテンションが一気に上がったね。でも、見た感じ相当の大きなのゴーレムだったみたいだし、当然かもね」
「それ以外にもいろんな宝石があるみたいだな。サファイヤとかパールとか色々あるし。っあ。魔石」
「お主らは良くドラゴンの死体直ぐとなりで探ることが出来るのう…」
ディラブはドラゴンの死体とゴーレムの残骸を邪魔そうに見下して最後には蹴っ飛ばしてしまう。
その瞬間アンヌが「お宝が!」と叫びながら鋭い睨みをディラブへと向けた。
ディラブが一瞬で怯み「俺が悪いのか?」と俺に聞いてくる。
「その祭り…俺も参加したい。参加するときは言ってくれ」
「中央大陸は他種族は禁止だよ。今の所はね」
「儂等は基本アンヌ以外は他種族じゃからな。しかし、教会の動きがイマイチ読めんな。何故ディフェンダーの活動を制限するのか」
「メリットがなさそうな気がするよな。実際無いと思うし。中央大陸事態は平和という話だが…」
「争いが沈静化しているだけで問題はあるのではないか? 良くは知らんが」
「……まああの強欲厄介オヤジが普通に活動できている辺り裏社会は問題ないようだな」
本当に厄介な人だよ…昔っから金にモノを言わせて好き勝手する人だとは聞いている。
まあ、ある程度は弁えている人だとは聞いているのでまだましではあるが。
「そろそろ行かないか? 流石にこれ以上時間が掛かると困るんだが?」
回収していた一行が「はぁ~い」とやる気のない返事をしつつ回収する手を休めない。
いっそ無視して先に進もうと俺とディラブが先んじて進んでいくことにし、反対側の出入り口へと向かって足を進めていく。
どうやらあの男は反対側から進んでやってきたようで、反対側にはモンスターが一体も居ない。
死体はその辺に転がっているから間違いが無いだろう。
「大した切口だな。綺麗で無駄のない。的確に弱点に切り込んでいる。まるで針の穴に糸を通すかのような正確さだ」
「実際に戦った俺だから分かるが、剣術だけであのレベルだ。魔術を併用し始めたら他の種族に太刀打ちできるレベルだ」
「うん。今まで色々な種族と戦ってきたけど…上位に入るぐらい強い。あれが悪い奴じゃなくてよかったと少し安堵している」
「別に悪い奴じゃないとは言っていないさ。依頼によればそういう事もするしな。まあ、一線は引くと聞いているけど。俺も実際にかち合ったのは今回が初だし。アンヌも知らなかったみたいだしな」
「有名人じゃ無いのか?」
「アンヌが知らないと言っていたように、知っている人は知っているし、知らない人は知らないさ。依頼を選び、多額の依頼金さえ支払えば確実に仕事をこなす。完璧仕事人間と言った感じだな」
「ふむ…あまり金に興味が無いしなぁ~」
俺は「だろうな」と言って呟いた。
どうでしたか?
次回は次のダンジョン前の小休止回の一つとなります。
では次は円環のドラゴン第二十話目でお会いしましょう!




