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水氷の神殿 2

円環のドラゴン十六話目となります。

水氷の神殿に本格的に到着するお話になります。

では本編へGO!

 地下水路の先に見えている大きな神殿前までは特に苦戦することなく進むことが出来たわけで、時折現れるスライムタイプだけが面倒ではあったのだが、それでも苦戦することなく倒すことが出来た。

 神殿だけが古ぼけた造りをしているので、風格があるわけなのだが、やはり真新しく見える建物の上に古そうに見える新しい建物があるという違和感。

 前にまでやってくると足元に漂う冷気、出入り口には特に門のようなものは作られてはいないので中がはっきりと見えている。

 中には光り輝く苔のようなものが天井や床や壁に張り付かれており、多少薄暗くはあるものの全く見えないという事も無いぐらいの明るさ。


「何と言うか…薄暗いし、ジメジメするのに寒いし…出来る限り早めに出ていきたいかも」

「出たよ…アンヌの面倒な所が。多少は我慢しろって。旅をしているとこういう不便な所を通る事なんて慣れたろ?」

「どうして四大大陸ってこんなに面倒な造りをしているわけ!? もっとこう…楽に!」

「ホビット大陸は楽だったじゃん。アンヌ姉ちゃんは何が不満だったの?」

「全部! 何から何かまで!! 歩いて旅をするってことが不満なの!」

「旅は歩く者じゃろうに。車や電車や船での移動の方が異常ではないのか?」

「楽をして旅をしようするのがおかしい事!? 普通多少なりは楽をしたいじゃない!? 車に乗ってのんびり景色を楽しんだり」

「それは旅行だろ? アンヌが楽しみたいのはさ。旅と旅行を一緒にするな」


 俺の突っ込みを持って会話は一旦終了し俺達はファリーダの案内で中へと入っていく。

 不満げなアンヌがほっぺを膨らませながらも中へと入ってくるのだが、足取りがどこぞのマフィアやヤクザのように見えてしまうぐらい悪い。

 直ぐ態度に出る奴だ。

 嫌なことは嫌だとはっきり言うのは美徳だが、こういう時は面倒でしかない。


 中はしっかりと冷気が漂っており、吐き出す息は真っ白に変わり果て、全体的に冷凍庫の入り口に立っている感じがする。

 外から見た感じでは上に五階建てと言う感じの建物なのだが、この広さを鑑みるともう少し階層が少ない感じかもしれない。

 古い儀式の為の場所だったのかもしれないが、徘徊している魔物は先ほどの種類からドラゴンタイプとゴーレムタイプが徘徊しているらしいが、この入り口付近はまだ居ないようだが、奥からははっきりと感じてしまう。


「ドラゴンタイプとゴーレムタイプの気配を感じるな。あの二つはモンスターの中でも特異なタイプだからな。生物型の頂点と無機物型の頂点と言うべきモンスターの種類だからな」

「ああ。だが徘徊している奴が冷気を操るタイプとなると厄介さが少し増すな。近接戦はなるべく後ろに回り込むように動いたほうが良いな。かじかんで動きが鈍るからその辺りも注意だな」

「でしたら私達ドラゴン族は基本的に聖術で活性化して温めることが出来るので考えなくても良いですよ」

「儂は前線は無理じゃよ。後方で治療に集中させてもらうよ」

「はいはい。対して期待しているわけじゃないから良いさ。魔術なら有効そうだな。なら俺は魔術での戦闘に集中した方が良いだろう」

「良いんですか? ジャックお兄ちゃんはその勇者の剣を試し切りしたいんじゃ? さっきも全然先頭に参加していなかったですよね?」

「ああ。何時でも試せるし。どうやらこの場所じゃ勇者の剣もやる気を出してくれないようだし」


 あの儀式を終えてから何となくだが勇者の剣が分かるようになった。

 剣の気持ちが分かるというのもおかしな話だが、俺にはそれが分かるのだからおかしな話だ。

 問題は先代であるあの男もそれが分かるのかという事だが。


「何なの? 勇者の剣がやる気が無いとかって…」

「武器の気持ちが分かるというのが領域を展開できる条件なんです。同調率と言うべきなんでしょうか」

「なら先代のあの男も分かるのか?」

「いいえ。あくまでも出来るのは当代の元勇者であるジャック様だけです。勇者の役目を終えていて、そのうえで生きているあの方は全くの別です」

「じゃあ俺の斧の声も俺にしか聞こえていないのか?」

「唐突にディラブは語りだすのう。そうじゃのう。儂等には聞こえんしな。やる気が無いか…困った奴じゃな」

「俺の斧はもっと切りたい。叩き潰したいと主張しているが?」

「個性があるのです。本人の心に同調しているわけですから、同調者本人の感情に引っ張られるんです。これが重要です。同調している人間に引っ張られるのか、人間が引っ張られるのかで武器の善性と悪性が分かるんです」

「成程…」


 俺が成程かと呟く一行でメイビットとネリビットだけが話をよく理解していないという顔をしていた。


「武器には基本的に悪意を持っている武器があるんじゃよ。武器そのものを所有しているだけでおかしくなる人間がおるんじゃよ。そういうのも教会やディフェンダーが回収する案件なのじゃが。中にはその武器を持って集落を皆殺しにしたなんて話も聞く。その場合はファリーダちゃんの言う通り武器の意識に人間の意思が引っ張られているパターンじゃな。それに対しジャックやディラブは人が武器の意思を引っ張っているパターンじゃ」

「要するに操るか。操られるかって事か?」

「そうですね。ジャックさんやディラブさんの意思を反映してくれている反面、それぞれ感情に近いものがあり、ディラブさんの斧は好戦的で勇者の剣はのんびりしているのでしょう」

「うわぁ~分かり易い。ジャックの性格を良く表しているわけね。ジャックの性格にもよく…」

「アンヌはドン引きするなって。それに冷気なら炎タイプの魔術の方が役に立ちそうだな。そろそろ魔術を試しておかないとな。剣術だけに頼ったら痛い目に遭いそうだ。それに、俺の勇者の剣の性質状魔術の使い方も重要になってくるからさ」

「そうですね。それに前線は私を入れてこのメンバーで大丈夫です。任せてください」

「だな。俺とファリーダとアンヌで大丈夫だろう」

「アンヌ姉ちゃんが忌々しいみたいな顔している」


 物凄く俺を睨んでくるわけなのだが、後方に下がって役に立たないのだから前で戦えとはっきりと言う。

 舌打ちまでするぐらいの機嫌の悪さを発揮している感じ、まだ遊び足りないのだろう。

 昔っからどうにも仕事より遊びの方が良いと主張するタイプだったので分からないでもない。


「だったらこのドラゴン大陸の一件が片付いたらナーガ大陸のリゾート地で一日豪遊ならやる気出すか?」

「………ほんと? リゾート地って何があるの?」

「えっと…遊園地とか海辺でゆっくりとか…他にも色々…興味が無いから詳しくは知らないけど」

「ああ…一回通ったことがあるな。興味が無いから素通りしたが」

「ええじゃないか! 一日と言わず一週間ぐらいは豪遊をしようじゃないか」

「駄目。それをしたら豪遊事態を禁止する」


 俺はそう言うと前へと向かって歩き出した。

どうでしたか?

次は戦闘回になります。

では次は円環のドラゴン編十七話でお会いしましょう!

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