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水氷の神殿

円環のドラゴン編十五話目となります。

いよいよダンジョン戦再開です。

では本編へGO!

 地下水路とドラゴン大陸全域へと水を満遍なく広げる為に作られたホビット族の傑作の一つ、張り巡らされた水路はドラゴン大陸中にある色々な街へと繋がっているらしく、中には首都への道も存在していると言われている。

 中は水属性の魔石に光属性の魔石を組み合わせた明るく照らされた水路は何処までも広く、そしてどこまでも狭く作られている不思議な空間。

 広い空間は何処までも広く作られているのに、狭く作られている空間は何処までも狭く作られている。

 それ故に迷宮の様に作られたこの場所は古くからドラゴン族の一部では神域として考えられており、更に増築して作られた神殿のデザインの不一致が逆にこの空間に更に神域としての完成度を高めているのかもしれない。

 まあしかし、それでも遠くから見ていて古いはずのホビット族の建築物の方が真新しく見えて、後で作られたはずのドラゴン族の建築物の方が歴史的な建築物に見えるのは流石ホビット族であると言える。

 石造りであるという一点では同じかもしれないが、ホビット族は石材の時点からもう金属管が強く見えている。

 実際光の反射具合がもう段違いで、大理石をピカピカに磨いたとしても光を鏡に近い感じに反射は出来ないだろう。

 逆を言えば、この地下水路が明るいもう一つの要因は水路の通り道が光を反射しているからだろうと言える。

 ホビット族はその石材の反射を利用して最低限の光源で最大級の効果を発揮しているのだ。

 ドラゴン族はそれを更に悪化させていると言えるが、これがまた神殿周りだけ多少は薄暗く出来ているのに、中は多少は明るく出来ているらしい。

 さて、この水路地上を歩く分には要らないのだが、古くからドラゴン族が暮らすこの大陸は地上に人が歩くための場所が存在しない。

 それ故に大陸の大半がダンジョンと化している。

 特にこの地下水路の地上は険しい山脈の連続で超えようとすると激しい雷雨や雨風、それはまるで台風の中を突き進んでいるかのようだそうで、そんな中を歩いて移動するのは不可能に近いそうだ。

 だからこの地下水路を使うというのだ。


 さてこの地下水路はダンジョンとしては比較的簡単なダンジョンらしいが神殿などを超えようとすれば自然とダンジョンとしての難易度は上昇するそうだ。

 徘徊しているモンスターはスライム系、サハギンと呼ばれる半魚人系、コウモリ系などが水路には徘徊している。

 その奥、今回俺達が通る神殿にはそれに追加でゴーレム級と小型のドラゴンタイプが徘徊しているそうだ。

 ゴーレムは人工的に作られたダンジョンにはよく湧くので特に驚かないが、ドラゴン族とは違うモンスター型のドラゴンは人の言葉を介さず、ひたすら捕食することに長けているタイプ、そのドラゴンタイプは一般的なタイプとは少々違う。

 水路に生息しているこのドラゴンタイプは氷のブレスを吐き出すそうで、その所為でこの神殿は全体的に気温が低い。

 元々低い水路の気温が更に神殿の中では低くなっているそうだ。

 神殿は中が若干気温が低く作られており、奥へと向かって進むにつれてスライム系などはおらず、その代わりにゴーレム系とドラゴンタイプが生息している。

 中も複雑に作られており、一本道でまっすぐ進めれば楽なのだが、一回最奥まで進んでからでないと通り抜けが出来ないそうだ。

 無論水を泳いで移動しても良いが、あそこはサハギン種の巣窟であり水の中で襲われたらひとたまりもない。

 となれば俺達は結局で神殿を超える必要があるのだ。

 あの寒々しい神殿を超えて先に進む必要があるのだ。


 地下へと進む入り口は集落から歩いて三十分ほどの場所にあり、深い森の中に存在している人工的に作られた一軒家程度のサイズの建物。

 大きな入り口には地下への階段が備え付けられており、俺達はその階段を降りていく。

 ファリーダを先頭に前衛である俺とディラブとアンヌ、後方に役には立たないであろうリアンとホビット族のメイビットとネリビットが歩いている。

 階段を降りる事更に三十分もかかり俺達は広い人工的な足場に降り立つ。

 まだ周囲が壁に囲まれており、正面には大きな横開きのドアが備え付けられている。

 周囲も壁も床も豪華な模様が描かれており、詳細な所まで凝っているのだが、白い外見に水色の光が反射して正直眩しい。

 ファリーダがドアの前で何か呪文を演唱し始めると大きなドアがゆっくりと左右に分かれて開き始める。


「このドアはドラゴン族の聖術のこもった声のみで開くようになっているんです。普段は使われない場所ですし、使うのも定期的なディフェンダーの面々ぐらいです」

「ちなみに前にこの場所が使われたんのって」

「半年以上前だと聞いています」


 ファリーダの言葉にショックが隠し切れないアンヌ、俺はアンヌに「諦めろって」と言いながらドアを潜り中へと入っていく。

 露出した岩肌に下には透き通った綺麗な水辺、水深も結構深そうに見える。

 まっすぐ伸びている白い通路の先に広い空間がはっきりと見えてきた。


「凄い石材…錬金術で作ったものみたい。う~ん…レシピが知りたいなぁ」

「千年以上前に作った道みたいだけど、千年たっても全く劣化していないのは

流石ホビットだね。俺達に同じものを作れって言われても今は無理だよ」

「一人や二人じゃ無いだろうな。下手をすると百人千人がこの場所を作るのに協力したって感じか。ならこの場所を作るのに使った素材は近くから…」


 そこまで俺が喋った所で二つに分かれた山を思い出した。

 もしかしたらあの山はその為に作られた場所なのかもしれないと、だとすればあの場所の中にはここから入れるかもしれない。


「可能性はありそうですね。ディフェンダーですらまともに把握していないと聞いていますし、広すぎるんですよね。でも、最低限の集落への道のりぐらいは分かっていますからついてきてください」


 ファリーダに案内される事一本道を歩き出して一時間、大きな空間に出てきた。

 大きな地下水脈なのだが、同時に至る所に鍾乳洞のような場所や岩肌で出来た柱などが天板を支えている。

 俺達は周りの圧倒的な空間に一旦足を止めて眺めていると、一番奥にホビット族が作った物ではない石造りの神殿のような巨大な建築物が見えてきた。

 水分で若干風化しているように見えるが、あんな神殿を上から作っても無事だという所にホビット族のぶっ飛び具合が見えてきた気がした。


「あそこが超えなくてはいけない神殿ですね。この場所が建築されたのちに別のドラゴン族が作ったとされています」

「う~ん…何と言うか。雰囲気をぶっ壊しかねない神殿だな。まあ良いけどさ。使っていないのならいっそ壊してしまったらどうだ?」

「面倒なんだと思いますよ。キング種とクイーン種があそこに居座っているはずです」

「それが一番面倒だけど…はぁ…クイーン種のドラゴンタイプとキング種のゴーレムなんだっけ?」

「はい。そうだと聞いています。同じ場所に居座っているので通る以上は必ず戦う相手です。最も皆さんの実力だと苦戦しないと思いますよ」

「油断は良くない。真面目に全力で行く」

どうでしたか?

次からはいよいよ本格的なダンジョンが始まります。

では次は円環のドラゴン第十六話でお会いしましょう!

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