勇者と女神 2
円環のドラゴン編十二話目となります。
いよいよ儀式開始です。
では本編へGO!
翌日を迎えた俺は儀式に対して俺はパンツ一丁の状態で二本の勇者の剣をファリーダに預けてバルに案内されるままに森の奥へと足を運んでいくと、美しい木々に囲まれている美しい湖が見えてきた。
湖の水面に太陽光が反射して多少眩しさで目が眩みそうになってしまうが、直ぐに目が慣れたので俺は改めて湖を確認するように見てみる。
と言ってみてもはたから見ていてもただの湖のように見えるし、ナーガの目で見ていても特に変わった所はまるで存在しないわけだ。
しかし、バルという女性は真っ白な巫女服のまま湖へと入っていく俺とファリーダは一旦湖の外周で待機、腰のあたりまで水面がやってくるあたりで一旦ストップするバル。
そのまま息をしっかり吸い込みそのまま吐き出すのだが、吐き出して息は黄金色をしており水面が綺麗な黄金色で輝いているのだが、あっという間にその水面が黄金色の光を発している。
するとバルの姿がドンドン姿を消していくと、今度はファリーダが俺の方へと向かって右手を差し出し、俺はその右手を取って共に水面の中へと消えて行く。
足元の感覚は何処かフワフワしているのに、奥へと進むにつれてしっかりとして重みのある感覚が伝わってくるわけなのだが、足裏から伝わる感触も何処か無機物に近い感覚に似ているような気がする。
頭までしっかり浸かるのだが、息苦しさは全く感じずそのまま視界は黄金色に輝いていると思えば、今度は黄金で出来たような古めかしい神殿に辿り着いた。
此処は? 此処は何処なんだ?
「此処は聖域です。この場所に隠してある特殊な場所と言っても良いでしょう。あの湖の裏側に存在している場所。詳しくは私でも説明できませんが…」
「正確に言えばここは本来あの湖の場所に存在しないといけない建物さ。それを場の力を使って水面を使って裏側へと図らしたんだ。此処を隠すためにね。此処は勇者の剣を完成させるのに必要な場所なんだけどね…正確には刻印を完成させるのに必要なんだけど」
「刻印を完成させる? それは…」
「勇者の刻印には本来当初よりとある機能が搭載されていたが、それは歴代の勇者には必要が無い機能なので普段は眠っている。しかし、君の代以降は必要なんだ。それを目覚めさせる。この場所はその儀式場」
「その能力とは?」
「ジャックさまは勇者の剣には元々能力が個別にあることは知っていますよね? 勇者の剣毎に個別の能力があり、それを勇者達は使っているわけです。ですが、それはその代の勇者しか使えません。例えばジャック様は先代の勇者に対して大剣を真っ二つにされました」
あまり思い出したくない思い出なので黙る。
「それは貴方様の実力が激しく劣っているわけでも、大剣が貧弱なわけでもありません。幾ら元々の武具のランクが低くても一撃で真っ二つはあり得ません」
「その通り。だが、切れた。それはその勇者の剣がそういう能力だったと考えれば分からないでもないだろう。どの魔術や呪術や聖術も同じ。使っている本体そのもののランクの差がはっきりと出る。例えば覚えたての魔術士とベテランが全く同じ術を使っても差は出るであろう。同じ切るでも差が出る。勇者の剣と高ランクの武具による切る。しかも、その武具が斬るという一点に最大の能力を持っていたとしたら厄介」
「だが、この勇者の剣は受け止められたぞ」
「勇者の剣事態にもランクがあるのです。ジャック様の勇者の剣は歴代の中でも最高位の武具です」
「そして、この場では勇者の刻印の最後の機能である『歴代の勇者の剣の能力行使』と『歴代の勇者の剣の収納と出し入れ』という二つの機能を解放し、勇者の剣そのものを刻印と連結させることで勇者の剣そのものに自己再生能力を付与する。これでようやく武具の領域を使えるようになる」
「それだ! それを知りたい。武具の領域は俺もほとんど分かっていないことが多い。そもそも解放条件ってなんだ?」
俺の疑問にはバルではなく隣を歩いているファリーダが答えてくれた。
「最高位の武具に同調できる人間が揃う事。そして、武具自身と馴染むことが条件です。この勇者の剣の条件は先ほどと同じように二つの刻印の能力と剣そのものの能力を解放することで初めて同調できるんです」
「その通り。だから結局で武具の領域を使いたいのなら専用の武具をホビットに作ってもらえば良いだけなのさ」
「刻印を作った段階でそもそもその機能はあったのか?」
「いいや。無かったよ。それを女神の死後機能を知った者達が昨日を追加し完成させようとしただけさ。この場所もその際に隠された。さあ…始めよう」
バルに案内されるまま神殿の奥へと足を踏み込む。
とはいってもそこまで大きく複雑な造りではなく基本一本道と言っても良い、神殿にしては小規模の神殿だろう。
その奥は開けた場所になっており、六枚のステンドグラスに囲まれたまるで聖剣でもまつられているような場所に辿り着いた。
「さてジャック。この部屋の中心に立ってみてくれ。二本の剣はそのまま両腕で持っててほしい」
俺はバルの指摘通りに立って待っていると、刻印があっという間に光始めていき、それに合わせるように勇者の剣も光を発し始める。
どうやら勇者の剣と勇者の刻印が同調しているらしく、バルは瞳を閉じて取り出した草木を持って踊り始める。
汗を流しながらその場から派手に移動するような感じでは踊ろうとはせず、むしろ派手に踊っているのにあの場から殆ど移動していないのだ。
しかし、同時に勇者の刻印を通じて俺の体に剣そのものの感覚がはっきりと入り込んでくる。
勇者の剣が体の中へと入り込んでいき、あっという間に消えてしまった。
どうやら勇者の剣そのものの能力であるらしい剣そのものを収納するという能力が早速発揮されているようだ。
「良し。終わり」
良い笑顔で俺の方へと向けるバル。
ファリーダが何処かホッとしているのが見て分かり、俺は何を安心することがあるのか全く持って疑問だった。
「ファリーダ。ジャックの息子の時はお前が踊るのだぞ? 舞はしっかり覚えておくのだ。私達円環のドラゴンはそうやって同じ輪の中をぐるぐる巡るのだ。勇者の周りをグルグルとな」
「分かっています。しっかりと努めます」
円環のドラゴン。双星ホビット。赤鬼のオーガ。
彼女達は一体何を知っているのだろうか?
「さて…本来であればジャックよ。此処で終わりだと言って帰るところだが、ここからがもう一つの本題。女神の伝説を語ることにしよう。何故勇者が生まれたのか、なぜ必要なのか。それを語らなけばならないだろう」
どうでしたか?
次は女神と勇者の本題となります。
では次は円環のドラゴン第十三話でお会いしましょう!




