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勇者と女神

円環のドラゴン編十一話目となります。

今回の勇者と女神のお話の中で女神のお話の断片が語られます。

今回はその始まりだと思ってください。

では本編へGO!

 大きな二つに割れた山を越えた先にある深い森の入り口へと入っていくと、あっという間に自然に囲まれた集落が顔を表した。

 木で出来た大きな門を潜って先に進んでいく。

 集落はそんなに大きな集落ではなく、家の数もざっと数えて大体三十ぐらいしか無く、それも木と木が離れているように家と家の感覚もまた離れている。

 区画整理なんてされているわけではなく、道なんて存在しているわけが無く道なき家の間を通りながら俺達は案内されるように集落のど真ん中にある大きな木へと辿り着いた。

 正直密林を超えた時に木の間からはっきりと見えていた森の中からもとびぬけて大きな木だったので分かっていた。

 どうやら俺達が向かう先はあの大きな木であることは間違いが無いらしいが、何というかナーガだから分かるのだろうが、あの木から物凄い魔力を感じるのだが、これ下手な一般人が近づいたら魔力酔いを起こしそうだ。

 実際、魔力を持たないホビットのネリビットとメイビット、ヒューマン族であるアンヌが何処かしかめっ面をしている。


「どうしました? 皆さん…」

「俺は何ともないが…アンヌとネリビットとメイビットはどうした?」

「いえ…何と言いますか…変な感じがします」

「分からないでもない。あの木からは膨大な魔力を感じる。あそこが人の住む場所なんだと説明されると俺は「ありえない」と答えるしかない。いくらドラゴンでもあの木で住んでいると気が狂うさ。俺が一人で行くから皆は外で待っていてくれ。いくらオーガでもあそこに入ると体調に異変が来る。強いて言うならお爺ちゃんだけは無事だろうけど…」

「えぇ…儂興味なしじゃな」

「だから俺だけ行くよ。どうせ用事は俺にしか無いわけだしな」

「ですね。皆さんは近くで待っていてください。説明が終わり次第宿にご案内させていただきます」


 そうファリーダは言うとそのまま俺達は二人で大きな木の中へと入っていく、根元にある大きな出入口を潜って入ると、木の中が人の住む場所ではないとはっきりと教えてくれた。

 周りを無数の本棚に囲まれ、小さな明かりが彼方此方にあるだけでどこか薄暗さを感じる。

 ファリーダが案内する先にある美しく美貌をまるで見せつけるかのような豪華な露出度の高いドレスを身に纏い、金髪から除く綺麗な黄金色の一本角は売れば豪邸でも作れるのではと思わせるほどの綺麗さを誇る。

 パッと見た感じ若いドラゴン族の女性に見えるが、ナーガと同じで百年二百年程度では外見の変化が起きないうえ、ナーガ以上に肉体が強固であるドラゴン族だ。

 下手をするとこの外見で三百歳や四百歳という事も十分あり得る。

 対面にある女性は美しく整った顔立ちから放たれるであろう言葉からはあまり想像できないほどに威厳のある少し高めの声がはっきりと聞こえてきた。


「良くいらっしゃいました。流石に他の方々は入れませんでしたか?」

「まあ…あまり良くないだろうと思い俺一人で入りました」

「流石はドライ最高司祭のご子息であり、あの方が認めた完成型の勇者様ですね。この辺りの事情は既にご存知と思いますが、あの方にはもう一人娘と呼ばれる方がいらっしゃることまでは知っているとは思いますが、その彼女もまたドライ最高司祭の計画に入れられていることは分かっておいでですが?」

「いえ…流石にそこまでは…貴女は……何処まで知っているんですか? 何を知っているんですか?」

「私は…ある程度の事情は知っています。私はこの集落の長『バルフォード』と申すものです。これでも四百歳を迎えるのですが、どうかバルとお呼びください」


 物凄い悩みどころであるが、俺が「いえ…それは…」と抵抗を試みても彼女は同じことを言うだけだったので諦めることにした。

 一歩後ろに下がっているファリーダがクスクス笑っているのでこれは良くあることなのだろう。


「それはともかく…ドライ最高司祭の計画ですね。正直に言えば全てをお話するわけにはいきませんが、貴方自身はあまり関係ありません。貴方の存在は女神の計画の結果に過ぎないのです。女神と呼ばれた女性の計画ですが」

「やはり居たんですね。女神と呼ばれた初代勇者が」

「流石ですね。ファリーダがそこまで詳細まではっきりと語ったとは思えませんし、いくつかのお話を断片的に繋ぎ合わせて何とか完成した推測でしょうか? それとも私が「言うな」と言う言葉を無視してファリーダが喋ったのでしょうか?」


 笑顔をファリーダに向ける中ファリーダは苦笑いを浮かべながら顔を背けるわけなのだが、それが答えな気がする。

 まあ、敢えて助けたりはしないけれど。

 実際、結構前から存在していた推測なので俺はそのまま答えることにした。


「そうですか…まあ、その通りです。ジャック様には明日この先にある湖で次の儀式を行っていただきます。内容に関しては今から説明いたしますが…宜しいですか?」

「ええ。何をするのか知っておきたいので」

「この先の湖はとある場所への出入り口となっています。そこは邪魔な物を全て排除し、必要なものだけを導く場所です。実際の道先案内人はファリーダが同行します。そこでは貴方様の勇者の刻印と勇者の剣を最終同調させることが目的です。ジャック様は知っているように勇者の刻印自体には普通ヒューマン族では耐えられないレベルの強い能力が込められています。無論それ単体ではそこまでの脅威ではございませんが、それを勇者の剣と繋げることでより強力な力…武具の領域を解放できるのです」

「ですが…それ…多分ですけどそれだけではあまり意味が無いのでは無いですか?」

「その通りですジャックさん。勇者の剣の領域は他の勇者の剣と刻印を集めないといけないんです。知っておいでの通り歴代の勇者毎に剣や刻印の能力に差異があります。特に剣の能力は全く異なる能力があるのです」

「それを領域を解放することで全て満遍なく扱う事が出来るという事さ。それでもこの儀式で開放しないと意味がありませんが」

「何か準備することはありますか?」

「いいえ。在りません。ただ…」


 俺はバルと呼ばれる女性が黙り込むのを不思議に思い「ただ…何ですか?」と尋ねると彼女ははっきりと答えます。


「儀式場に更衣室がありませんので…出入口で裸になっていただきます。少々恥ずかしいかもしれませんが」

「はぁ? 大丈夫ですけど?」


 裸になる事に対してそこまで恥ずかしいと思う気持ちは無いのだが、どうにもその辺りの認識がアンヌとは分かり合えない部分なのだが…。

 裸になることぐらい何が恥ずかしいのだろうか?


「腰布程度ぐらい用意いたしますのでご安心ください。ジャックさん」

「いや…本当に大丈夫だよ? 俺裸になる事自体はまるで恥ずかしいとは思わない」

「まあ…逞しいのですね?」

「そういう問題なのでしょうか? 脱がないでくださいね? 長。ジャック様も。見せつけようとしないでください。此処で裸になってお互いの肉体を見せ合おうとしようとしないでください」


 強く止められたので俺とバルは諦めてそのまま会話を続けることにした。


「そこまで時間が掛かる儀式ではありませんし、明日の明朝直ぐに儀式を始めてしまいましょう。皆さんにはもう一つ知りたいことがあるはずですから」

「何でも知っているんですね…本当に…」

どうでしたか?

次はいよいよ勇者の剣もいよいよ完成です。

では次は円環のドラゴン第十二話でお会いしましょう!

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