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新たな出会い 4

円環のドラゴン五話目となります!

では本編へGO!

 まさかここにきて政府のトップのトラブルがまさかの色恋沙汰だとは思いもせず俺は腕を組みながら考え込む。

 この場合どのような結末が良いのだろうか?

 正直に言えば今回の政府のトップに同情するような部分が無く、したいとも思わないわけなのだが、たとえそこに深く同情しそうな理由が在るとしてもしたくない。


「勇者の剣の最終工程を終えたのち政府に交渉するのであろう? 恐らくあ奴はその取引には応じん。それだけは断言できる。あの保守的な頑固頭が考えを変えるとは思えん」

「どうすればいいんでしょうか? ジャックお兄ちゃんは最終的には各政府のトップと交渉しないといけないんですよね?」

「まあな。それが俺の旅の目的の本来の理由だからな。それを解決しない事には教会関係の問題に口を出せない」

「何故? 無視しても良くないか?」

「教会関係のトラブルを解決するという事の意味をジャック様はきちんとここで説明した方が良いと思いますよ?」


 ファリーダの意見に俺は「そうだな」と答え何処から語るべきかと悩み、少し考えてから話し出す。


「中央大陸はそもそも教会が実質的な支配をしている。教会が今から取ろうとするトラブルやその先にあるであろうあいつ等との戦いを考えると、五種族を一致団結させる必要があるわけだ。それでなくても、中央大陸を他の四種族へと解放…この場合は開国と呼ぶべきか。それをするという事は五種族間で話し合いをするということだ。その中で足並みをそろえられないと、例え俺達が元凶を討ったとしても意味はない。その先にあるであろう未来を創るのなら余計な」

「それは私達の一族も同じ意見です。此処で足並みをそろえられないと、ドラゴン族の為にも他の種族の為にもならない。何も全ての人間が足並みを揃えろとは言いません。ですが、政府のトップ同士が足並みを揃えられないと即戦争と言う事になりかねません」

「それこそ最悪の事態じゃな。禍根を何処かには残す。それを減らすという意味で今回の各大陸を巡る旅は必要じゃな。同時に、勇者の剣を完成させることも意味を持つわけじゃ…例えそれがあの最高司祭の目論見通りでもな」

「………貴女は何処まで知っているんですか? 会ったことがあるのですか?」

「ある。とはいっても対して話はしなかったがな。君の手助けをしてやって欲しいと言われたわい。まあ、あのトップと話をすれば分からない話じゃ無かろう?」

「確かにな。では、アンタはその解決手段を持っているというわけだ。ジャックにアドバイスを送ることを頼まれているわけだからな」

「まあのう…」


 そういって立ち上がり奥の部屋から一枚の写真を取り出して俺に差し出す。

 そこには対面に居る女性の若かりし頃の姿とその隣で仏頂面のドラゴン族の女性が写っている。

 覗き込んだメイビットが「この人は?」と聞いてきた。


「儂の友人じゃよ。勇者の剣を完成させたのちはこの女性を尋ねるとよかろう。恐らくお前さんの手助けをしてくれるはずじゃ」

「居場所は?」

「知らん。ファリーダの集落の長が知っておるはずじゃ。儂も手紙などで連絡を取り合っておるから生存は知っておるがな。少なくとも大陸からは出ておらんと思うぞ。こういう場合においては最も頼りになる人物じゃ。その写真は持っていけ。その写真を見せてこの人物に会いたいと言えば場所を教えてくれるはずじゃ」


 俺達はその後夕食を誘われたが、他の仲間がいる中でお世話になるわけにもいかずそのままお暇することにした。

 元の場所まで戻るころにはすっかり夕刻になり、俺は流石に一休みをしているだろうと思って探してみると、そこには未だにはしゃぎ回っている三人が居た。

 俺は深い深いため息を吐き出してから諦めそうになっている心に鞭を打つ。

 しかし、あんなに楽しそうに遊んでいる三人に声を掛けるだけで多少なりに勇気がいる。


「放っておいても良いんじゃないか? もうすぐ日が暮れるしな。すると上がるだろう?」

「そうですね。私達も一休みして待っていませんか? 明日ダンジョンを超えるんですよね?」

「はい。皆さんにはダンジョンを超えていただきます。二つ超えると私の集落です」

「そうだ。これは聞いておきたかったんだが、勇者の剣の最終工程って時間が掛かるのか?」

「いいえ。ジャック様に協力してもらう事にはなりますが、基本は一日あれば…あくまでも最後の過程を行うだけですので」

「という事は俺達は暇という事だ。ダンジョンで鍛えて待っているか?」

「私は止めておきます…街があるのなら散歩して待ってますね」

「フフ。結構面白い場所で行いますから暇が在れば来てみてください」


 メイビットは口元に指先を添えて想像しているようで小さい声で「どんな場所なんだろう?」と呟く。

 名前を聞く前に想像しても意味は無いと思った。

 ディラブにその辺りの感性を期待するだけ無駄なようで、全く気にしていない。


「何をするんですかね?」

「裸になります」


 俺とメイビットとディラブが一瞬間を作り最後に「はぁ?」と聞き返すと、ファリーダはもう一度「裸になります」と笑顔で返してきた。

 その笑顔に作りも苦も付くことは無いだろう純粋な笑顔。

 なんで? どういう意図で? 俺は構わないけど…え? 他の人も?


「いいえ。裸になるのはジャック様です」

「え? 今まで勇者の剣の最終工程をする際に歴代の最高司祭は裸になっているわけ!?」


 メイビットが顔を真っ赤にして想像して俯き、ディラブは俺の方へと顔を向けて「本領発揮だな」と言い出した。

 俺は裸になる事を本領発揮だとは思っていない。

 止めてくれ、おかしな噂が立ったら困る。


「いいえ。本来は違うのですが…これは今回からです…」

「??? どういう意味?」

「あっ…そういう事か。この過程は正確には勇者の剣を完成させることが目的じゃないんですね? なるほど…おかしいと思ったんだよね。ホビット族が作ったのに完成させるのがドラゴン族と言う言葉の意味が…」

「メイビット…どういう意味だ? 俺やジャックには理解が…」

「えっと…登録するんだよ。勇者の剣は勇者の力に共鳴していると言える。勇者の刻印と剣を繋げるんだよ。その為に必要な過程なんだよ。呪いは場、ホビットは物体を作り、聖は肉体。ね?」

「そういう意味か。要するにオーク大陸でオリハルコンを入手し、ホビットで作り、作った剣と刻印を結ぶ。という事は、今まではやっていた過程が違う?」

「正確には今までの勇者の剣の繋がりを保存しているんです。今までの勇者の剣はこの為にあるんです。今回の勇者の剣は子々孫々に受け継いでいき、子供もまた同じ試練をしてもらうんです」

「こうして話を聞いてみると本当にあらかじめ決められていたんだな?」

「…それは教会の人に聞いてみてください。私達から説明をしても上手く出来る自信が無いんです。詳細は教会で保管されている聖典の原本零巻に記載されているはずです」


 零巻? そんなのあるのか?

 原本がボロボロの状態で保存されているのは見たことあるが、零巻は見たことが無い。

 という事は更に重要度の高い場所に保管されているのか。

 俺はふとアンヌを見る。

 アンヌですら見たことが無い場所なんて教会であるのだろうか?

どうでしたか?

次ではいよいよジャックはアンヌにお互いの出生の秘密を話そうと試みます。

では次は円環のドラゴン第六話でお会いしましょう!

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