表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
129/193

新たな出会い 2

円環のドラゴン編三話目となります。

そろそろダンジョンを描きたいなと思っています。

では本編へGO!

 アンヌとネリビットとリアンは水着に素早く着替えてそのまま海へと向かって駆け出していき、一時間ほどしっかり泳いでから陸に上がって小腹が空いたと近くのお店の中へと入っていきそれぞれ適当に料理を頼んで席に座る。

 アンヌは苺ミルクのかき氷、ネリビットはカツカレー、リアンはホットドックを注文して食べ始めている間はテンションは高めだったわけだが、そこにジャック達が合流した瞬間に、その後ろに見知らぬドラゴン族を連れてきた段階でテンションが激しく下がるアンヌとネリビット。

 そして、その連れてきたドラゴン族を見て一気に別方向へと向かってテンションを爆上げしたリアンは席から飛び降りていきそのままドラゴン族の女性である『ファリーダ』の両手を握りしめた。


「儂はリアンと申します。この度は仲間が失礼を…ぐはぁ!」

「エロ爺は黙っていろって…済まないな。外面はドラゴン族なんだけど中身はヒューマン族のエロ爺だ。気にしないでくれ」

「いいえ。私は勇者にゆかりのある地から来たファリーダと申します」

「そ、そうなんですか…」

「姉ちゃん達早かったね…」

「露骨にテンションが低くなったな。まあ、こんなに早く仕事を終えているとは思わなかっただろうし…」

「アハハ…ですよね。私達も少し驚いているところですけどね。意外というか…」


 ジャック達が席に座って適当な飲み物をテーブルに並べた所でファリーダがこれからの予定を話し始めた。


「まずですが、勇者の剣の最終工程を行うために北にある円環の街を目指します」

「円環の街? もしかして円環のドラゴンが作った集落?」

「アンヌお姉ちゃん知ってるの?」

「まあね。聖典に掛かれている赤鬼のオーガ、双星のホビット、円環のドラゴンの一人だからね。これでも聖女だし」

「俺が教えたんだ。昨日の内に「私に教えてよジャック。聖女が知らないって情けなくて」と言い出したんだ」

「言わないで!! 言わなくていいでしょ!?」

「此処にいる皆。お前さんが知らないということぐらいで評価を落としたりせん」

「黙って! 良いでしょ! 今知っているんだから!」


 ファリーダはジャック達のやり取りを見て「クスクス」と笑いをこらえ始めると、ジャックが「賑やかで悪かったな」と苦笑いで返す。


「いいえ。良いですね。円環の街に辿り着き次第勇者の剣の最終工程を行います。今までやってきた歴代の勇者の剣の最終工程とは違う儀式を行いますので工程は長に聞かないと分かりません。その後、勇者様は確か政府のトップへと会いに行くのですよね?」

「ああ。それを聞きたい。正直に聞くが、ドラゴン族の政府は俺に会うつもりはあるのか。会っても大丈夫なのか? それを聞きたいんだ」

「会う事自体は大丈夫だと思いますよ。ですが、恐らく勇者様の要件をクリアすることは難しいと思います。と言うのも今ドラゴン大陸の政府はとある問題を抱えているんです。これ自体は私達は関係なのですが、それを解決しない限りは他に手を付けないと思います」

「ドラゴン政府が抱えている問題…オーガの様に政府のトップが世襲制でそれゆえの問題と言うわけじゃないんですよね?」

「はい。と言うよりはこの問題はもはや三百年ほど続いている問題で、政府自体は気長に構えているんです」

「長っ!! 何百年かけて解決するんだよ! 俺達ホビットですら死んでるよ! ナーガとドラゴン族ぐらいしか待てないよ! いや、ナーガとドラゴン族ですら待てないよ!」

「落ち着いてネリビット。でも、なんなんですか? 問題って」

「簡単に説明するとドラゴン政府が代々受け継いできた宝剣がもう三百年も無くなっているんですよ。これが無いと次の代に継承出来ないと上はずっと放置を決め込んでいるんです。何時か返ってくると」


 ジャックは頭を抱えて深いため息を吐き出し、アンヌはジュースを飲みながら「流石長命種」と呟く。


「長命種の中でもナーガとは違ってドラゴン族は少々気長じゃのう…皆こんな感じ…ではなさそうじゃな。多分現状のトップが気長でしかも頑固と見た」

「その通りです。長も何度もキチンと探すべきだと言っているのですが、まるで話を聞く気が無い様で」

「宝剣とか高めに売れるんだから何処かで売り飛ばされているんじゃないのか? その場合探しようが…」

「ジャックの言う通りよね。それこそ浮遊大陸経由で売り飛ばされたらもう私達でも手を出せないかも…探しようが無いし」

「人身売買が普通に行われる場所ですもんね。そんな場所を経由して売り飛ばされたら確かに…」

「ていうかさ…誰が盗んだか分からないわけ?」

「いえ…盗まれたとは言っても何処にあるのかは分かっているんです」


 このファリーダの言葉に対し一瞬の沈黙の後ジャックが代表して「じゃあ取りに行けば?」と指摘する。

 するとファリーダは「それが…」と前置きをしてから語りだす。


「盗み出したのは三百年前の一人のドラゴン族なのですが、そのドラゴン族がとあるダンジョンの最下層へと自らの命と引き換えに封印したそうなのです。理由こそ分かっていませんが、現状のトップと何らかの問題を抱えていたようで、皮肉を言った後宝剣を連れてそのまま…」

「封印か…しかもダンジョンの最下層。となると、本人に取りに来て欲しいと思っているという感じか。なのに本人はどういうわけか取りに行く気が無いと?」

「はい。宝剣を持っていることがあらゆる権利を行使することが出来る唯一の方法なのです。このままではたとえ次の代に継承したとしても、何も変わらないでしょう。いえ、変われば取りに行くことが出来るはずなのですが…」

「それをするには事実上現状のトップが死ぬ必要があるわけだ。無論、現状のトップがその可能性の気が付いていないわけが無いから…」

「はい。金にモノを言わせて身を守っていて、全く動く気が無いようなのです」

「情けねぇ~なんだよ。ディラブ兄ちゃんみたいに脳筋で挑みに行けよ」

「おい。俺が脳筋だと決めつけるな」

「ていうか、その性格なら多分こんなことになっていないと思うよ?」

「じゃのう。どのみちこれからの予定は街に行き勇者の剣の最終工程を行ってからダンジョンの奥へと向かって宝剣をゲット。そのまま政府のトップに渡して取引を申し込む形かのう?」

「そんな簡単に行くかなぁ? 正直怪しいよね。今までも経緯がどうやっても複雑になるから」


 アンヌはジャックを見る。


「何故俺を見る? 何故俺をそんな嫌疑を向けるような目で見る? 俺の所為じゃないだろう?」

「宝剣を手に入れる事自体は俺達が勝手にしても良いのか? それをしても良いのなら誰かが勝手にしているんじゃないのか?」

「それが…」

「理由は恐らく二つ。一つダンジョンの攻略レベルが異常なほど高い。二つ、封印が解けないから。じゃないか?」

「はい。ダンジョンの最下層に辿り着いた人達曰く、最下層に辿り着くと同時に仲間達が封印されたようで。どうやら宝剣の元に辿り着いた人間を無差別に封印するように出来ているようです。それこそ、長は「勇者様ぐらいしか取りに行けない」とおっしゃっていました」

「その内容。多分ですけど、現状のトップを巻き込もうとしているんじゃないでしょうか? それこそジャックお兄ちゃんがやってくることは想定外じゃ…」

「だな。他人を巻き込むことを前提の封印。無差別に、しかもわざわざ宝剣に近づいた人間を狙っている」


 ディラブの指摘通りでジャック自身も全く同じ意見だった。


「まあ、俺が行けば済む話だからそれは良いが、俺個人としてはそのまま宝剣を返して「はい、解決」と言うのは少し納得できないな」

「? なんで? それで良くない?」

「いや。駄目だ。そんなトラブルを放置しているドラゴン族のトップと取引して信用できない。俺は政府を代表して取引するんだぞ?」

「そうね。問題が複雑化するから私は嫌だけど、言いたいことは分かるかな。問題を放置して、解決しようと自ら動こうとせず、他人が犠牲になってもそっと放置。そんな人間のどこを信用するのかって事」

「じゃのう。一度トップと話をしてから決める話じゃろうて。最悪トップをすり替えるぐらいは考えるべきじゃのう。今までは良くも悪くもトップが協力的じゃったが、今回はトップ自体が問題を抱えておるパターンじゃ。トップと争う姿勢が必要じゃな」


 ジャックは腕を組んで考え込む素振りを見せていた。

どうでしたか?

ドラゴン編では今まで敵として出てきた彼らが出てこないので別の敵を用意しています。

では次は円環のドラゴン第四話でお会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ