新たな出会い
円環のドラゴン二話目となります!
新しいキャラクターの登場ですが、彼女が最後の仲間です!
では本編へGO!
内海の海岸沿いに真っ直ぐと横向きに作られた奥行きの無い街並み、埋め立て地を利用したリゾート区画や別荘地などが特に有名な場所『デルカ・アル・フォース』という街はドラゴン大陸にある有名な街である。
基本ドラゴン族は人前には姿を現すことは無く、その生態を良く知る人間は殆ど居ないわけなのだが、今からそれを調べないといけない。
俺達がフェリーから降りると街中の活気で満ち溢れていて、いっそ何かお祭りの最中なのではと思っていると、ディラブは「この町はいつもこうだぞ」と突っ込まれた。
活気に満ち溢れ、まるでお祭りの真っ最中であるかのように人々が浮かれていて、出店などが道路脇に密集している。
歩いている人達も様々で中にはつい先ほどまで海辺で泳いでいたのだろう人達が水着姿で歩いていたりするのだから驚く。
気が付けばアンヌ達は走って何処かへと走り去って行き、俺は一人ため息を吐き出しながらディラブとメイビット相手に「じゃあ探すか?」ととりあえず観光客向けの場所まで移動して話を聞くことにした。
「ホビット族、ナーガ族、オーガ族…ヒューマン族まで居るのか? 凄いな…」
「この町は特にだな…他で見ることはまずない。この辺りは海辺で遊ぶ人達が多いから特に水着の客が多いな」
「目のやり場に困ると言いますか…街の中心…繁華街では違うんですよね?」
「まあな。最も裏の方はもう少し過激だと聞く。夜なんかは半裸の女が徘徊していると聞いたことがあるな」
「過激というか…そっち方向は俺でも行った事があまり無いな」
「あまり…という事は行った事があるという事だな」
「止めて欲しいです…苦手なので。ていうか、未成年の前で止めて欲しい」
「とりあえず。繁華街へ行って情報を探ってみよう。この街でドラゴン族を見たかという話を…せめて一人でも話が聞ければ違う気がする」
俺達はそのままバスに乗って繁華街まで移動、そこまで難しい街並みではないため到着しても迷子になることは無いだろうと思い、俺達はバラけて軽く聞き込みをして回る。
三十分でもう一度集まって情報を整理してみると、誰一人「ドラゴン族を見た者はいない」という結果に終わった。
この繁華街なら誰か一人ぐらい見た人間が居るかもと思ったが、どうにも読みが甘かったようだ。
「情報は情報を専門にしている人に聞くのが一番なのでは? 私は良く知りませんが…お二人は知っているんですよね?」
「う~ん。こういう観光地では探すのに苦労するんだよな。むしろ観光客がトラブルの大元になったり、観光客を狙った犯罪者などが横行することが多いからむしろこんな繁華街は避けるだろう」
「そうだな。それこそ先ほどまで居た砂浜の近くやホテルなんかの宿場一帯などが怪しいな。まあ、今から探すとなるとそこそこ時間が掛かるからそっちに向かうか、別の場所で話を聞くかで悩むな」
「情報屋などで確実に情報が手に入るならともかく、確定していないならリスクを負う必要も無いだろうな」
「なら二手に分かれますか? 他の場所で聞き込みをする人間と情報屋を探す人間に」
俺は腕を組みながら考え込んでいると隣からお腹が鳴る音がはっきりと聞こえてきて、俺はため息を吐き出しながら「何処かで飯を食うか」と提案してみた。
まずは昼を済ませてからにしようという話になり、俺達は近くの出店でタコスを三人前注文してから近くのベンチに座り込んで食べることに。
チリソースが掛かったタコスを小さい口で頬張るメイビット、ディラブは三口ぐらいで食べきってしまったわけだが、物足りないという顔をしながら追加の飯を探しに出かけた。
「でも、実際ドラゴン族がどれだけ珍しいのか良く分かる光景ですよね? リアンさんと一緒に行動していますからどうしても感覚がマヒしてしまいますけど」
「そうだな。まあ、あれをドラゴン族と呼ぶのは少々抵抗が強いけどな」
「やはり一度街の外へと、内地の方へと出てみてはどうでしょう。どのみち大陸の中心へと向かって移動するわけですから」
「…一度出てみてもいいかもな。外から見た感じだと随分奥へと続いているわけじゃ無さそうだ」
ディラブが戻ってきてから俺達は街の外へと出ようと試みて一時間、あることに気が付いて細道の入り口で腕を組んでしまう。
ありていに言えば…同じ場所をループしてしまっていた。
街の外へと出ようととにかく進んでいると、同じ場所へと戻ってくるのだ。
実際どの程度街の外へと時間が掛かるのか分からないが、パッと見た感じだと多分三十分もかからない感じがする。
なのにも関わらず俺達は同じ場所を一時間掛けて何度も同じ場所を同じように歩いているのだ。
「街の外へと向かって歩く道全てがそうなっているんでしょうか?」
「だろうな。だが、抜け出す方法が無いわけじゃないと思うが…でなければ困るだろう?」
「ドラゴン族が外へと出てこないなら困らないと思うぞ…」
「それもそうか…どのみち呪術じゃないな。ドラゴン族は呪術は使えないし、場には魔力が集まっていない」
「呪術は場に掛ける術ですよね? だから場に魔力が残ってしまう…?」
「そういう事だ。場には全く魔力が残っていないから呪術は無い」
「街そのものに何かしらの力が掛かっているパターンは? 先ほどからずっと思っていましたけど、街の人達が街の外へと意識がまるで向かないのもおかしな話ですよ」
「意図的だな。町を作る段階で手を加えたなら出来ないわけじゃ無いな。他の内海側には街らしい街は無いんだよな?」
「ああ。此処だけだな。実際はホビット側とナーガ側にも町はあるが、ここと基本は同じで他の大陸への接続を目的にしている街だ。この町程賑わっているわけじゃない」
「歩きでこの大陸を渡る人間が居るのか?」
「居ないわけじゃない。珍しいのは確かだ」
「ジャック・ロウ様ですね?」
女の声。
透き通るような綺麗な声、真正面に唐突に現れた角の生えた女性、正確には二本生えている角の内俺達から見て左側の角は折れている。
髪は短めの黒、多少癖のある髪質に整った成人女性の顔立ち、リアンと比べるとスレンダーな体つきだが、体は引き締まっているのが良く分かる。
背丈は俺やディラブと比べると低い方だが、俺達の他の女性陣と比べるとリアンより高い。
多分女性の中でも長身の方だろう。
「お会いできるのを楽しみにしておりました。私はドラゴン族で円環のドラゴンの一族の末裔『ファリーダ』と申します。貴方の案内を申しつけられております」
「俺達が此処に来るのが分かっていたのか?」
「いいえ。この街を作った段階で街の外へと向かって移動していると私達には分かるようになっているのです。ですが、外の大陸で起きている出来事はある程度は理解しているつもりでした。なのでそろそろ貴方がこの大陸にいらっしゃると想像しておりました」
「ドライ最高司祭から幾つか聞いていると?」
「はい。貴方が勇者の剣をもって必ず現れるからその時は案内して欲しいと」
「ドライ最高司祭は何処まで知っていたんだ?」
「そうですね…少なくとも教会が崩壊するという事はご存じでしたね」
「とりあえず話だけでも聞かせて欲しいもんだ。他の仲間は皆遊んでいるんでね。これから先のスケジュールも教えて欲しいし。良いよな?」
「勿論です」
どうでしたか?
ちょっとずつ話を進めていきます!
では次は円環のドラゴン第三話目でお会いしましょう!




