狂った物語 5
狂った物語五話目となります!
ちょっとずつ世界の秘密にも迫っていきます!
では本編へGO!
四つ目の鏡を攻略した後のジャックはあまりいい顔をしてはいなかった。
それはそうだろう…今倒した化け物も言ってしまえば元人間なのだから。
だが、倒さないと厄災のホビットを倒すことも出来ないし、倒さなければこのホビット大陸に生きる全ての人達が死んでしまうかもしれない。
それだけはジャック・ロウには耐えられない事態でもあるわけだが、だが同時に思う事…それはノルヴァス達は同じことを考えての行動なのだろうか?
実際心の中で思う事はたった一つ、多分違うという事だけは考えているわけだが、ならその先に答えを見出しているのかと言えばそれもまた違う。
何を企んで行動していて、何を思い描き彼らが此処に一緒に乗り込んでいるのかはジャック達も分かりはしない。
警戒心を決して説くことなくジャック達は最後の鏡を出ていき、最終目的地である中庭の光へと近づいていく。
中庭に出ていくと此処もまた様々な双星のホビットが作ったであろう品物が飾られているわけだが、その中でも中心にある噴水は美しく同時に神秘的に感じてしまう。
「凄い…これは初代が?」
「どうっスかね。多分っスけど。全部が全部初代の品物じゃ無いと思うっスけど。歴代の双星のホビットが歴史に現れるたびに作っては放置した品物が残っているだけな気がするっス」
「ほう…物好きだな。俺様だったら…売るな!!」
「現金な男…」
「中心の噴水は起動しているようだが、他の錬金術で作り出した品物は動いていないようだな」
「そうっスね。あくまでも核として選んだ品物だけを錬金術で無理矢理結んだという感じっスか?」
「だね。俺が見ても同じ意見だよ。魔法陣とかと同じ考え方だよ。それは錬金術で陣を作りその中に入っている感じ」
「じゃあその陣を崩したらどうなる? 奴が出てくるのか、それとも奴がその中に閉じ込められるのか?」
「そもそも陣を崩すには中にいる厄災のホビットそのものを討たないといけないんです。ジャックお兄ちゃん。それが崩れれば空間も崩れて全員外に放り出されます」
「ふん。ならさっさと行けばいいさ。あまりのんびりしていると呪いが広がる」
ジャックは少し遠くの空を眺めながら「そうだな…」と呟くと、ジュアリーだけがジャックに近づいてきて「どうしたの?」と尋ねた。
「向こうの方で協力な呪いが更に増大しているようだ。もう旧市街地の九割は飲み込んだと言っても良い」
「新市街地へと向かえば政府機関への混乱は避けられない。政府が混乱すれば…」
「大陸が崩壊する。そこがタイムリミットだろうな…」
「なら。早く行きましょう…」
ジャックとジュアリーは先に入って行ったメンバー達を追いかけるように噴水の光へと入っていく。
眩い光に一瞬だけ目が眩み、そのまま光に目が慣れ始めていく中見えてきた景色に驚いた。
そこは圧倒されそうな広い空間、草原の足場が上下左右に浮かんでおり、草原の足場通しは虹で出来た足場で繋がっている。
呪いなんてまるで存在しないと言わんばかりの空間、だが、同時にこの空間の一番奥からはっきりと感じる呪いの波長。
「こんだけの大きな空間当時の双星のホビットは何を思って作ったんだろうな? なあ? 今代の双星のホビット」
「そんなこと…俺達に聞かれても困るし…!」
「多分ですけど…元々はあの町そのものを外敵から守るための術式を噴水と建物を使った術式を錬金術で錬成し、それを結界と言う形で構築していたんだと思います。その内使い方が分からなくなった人達が放置した」
「それが世界なんでしょうね…問題は作った当時はこれを使わないといけないぐらいの敵が居たという事…」
「厄災のホビットはこの先にある核を利用しているんっスよ」
「なんでお前がそんなことを知っている?」
「良いじゃないっスか。この空間には核がある。いや…この空間にもと言うべきっスね。その核を使って呪いを増大させていたんっスよ」
「逆を言えばそれを止めれば俺達の勝ちという事だ。なら…行こう」
ジャックが代表して前を歩き出し、それに続くように皆が付いていく。
核はジャック達が今現在居る場所より少し上、真っ当な手段でたどり着くには大きく回り込む必要があった。
走って移動するにも周りにはこの場所を守るように入りされている人造のゴーレムや元人間を改造した化け物を徘徊させている。
徘徊している化け物もオオカミのような素早いタイプから、空を飛ぶ大きな鳥、ゴリラのような大柄の人型タイプまで様々だ。
ジャックとヴェルズリとジュアリーが前方を担当し、後方をネリビットとドドナが担当、治療担当がメイビット。
そうしっかりと分けながらなるべく早めに寄り道しない様にと前へと進んでいき、三分の一ほど進んだ所で核の場所が見えてきた。
四つの人工的に作られたような縦長の岩場の真ん中に光何かがあり、その光を奪う様に黒い手のようなものが覆っている。
「あそこだな…」
「急いだほうが良さそうっスね。今の速度で向かうと時間が掛かって仕方がないっス。少々危険でも上へと昇ってから直接降りたほうが良いっスね」
ジュアリーが周りをキョロキョロと見回していると、スタスタと歩き出しある地点で一旦ストップ、そのまま上へとワイヤー銃を向けて上へと向かって素早く登って行った。
そして、そのまま上から作業をすること数分後に下へと向かってロープを降ろした。
「そのロープを上ってきて頂戴。上は守ってあげるから」
「なら。俺が最後で良い。先にネリビットとメイビットが昇ってくれ」
「じゃあ。その後に自分が昇るっス。その次にヴェルズリで」
「そのどや顔がムカつくな。登るならさっさとしろ!」
慣れない手つきで登っていくネリビットとメイビット、鳥形の化け物やゴーレムからの攻撃を警戒しつつ登り終えた二人、その後ドドナとヴェルズリが昇っていくと、最後にジャックが昇る。
登り終えた後で「フウ」と息を吹き出す。
「もう少し上に上った方が良いわね。虹…は無さそうだなら同じ要領でやりましょう」
「疲れるっスね。仕方がないとは言え…」
「鍛え方が足りんな…チビ助」
「これから脳筋は困るんっスよね」
ジャックはドドナとヴェルズリの口喧嘩を無視しつつ光の指す方向へと向かって視線を向けた。
厄災のホビットとの直接対決、そのカギを握るのは当代の双星のホビットの覚醒に他ならなかった。
未だその兆候すら見えない二人、ジャックは内心多少なりの焦りを滲ませていた。
最悪の場合は自分が何とかするしかない、そう考えていたわけだが。
この物語は予想もしない人物の活躍もあり無事解決することとなる。
此処の誰も知らない。
ジュアリーもまた双星のホビットの関係者であるという事に…。
どうでしたか?
次回は少しですが世界の秘密を描くつもりです!
では次は双厄のホビット第四十六話でお会いしましょう!




