狂った物語 2
狂った物語二話目となります。
いよいよドドナの戦いが分かりますね。
では本編へGO!
ジャック達は二つ目の鏡の中へと入っていくと、今度は立体的な造りのお城風の場所に出てきた。
大きな底の見えない吹き抜けに無数に亘る階段が上下へと伸びており、上へと進めば良いのか、それとも下へと進めばいいのかがはっきりとしない。
しかし、ジャックはふと目を瞑り上と下から感じるエネルギーを感じ取り、そのまま上を見る。
「上だな。上から先ほどと同じオーブのエネルギーを感じる。間違いなく上にある」
「ナーガはそういう作業大好きっスよね。流石魔人族と言われるだけあるっスね」
「はん。エネルギー大好きっ子なんだろう? 褐色肌の巨人でエネルギー大好きって変態みたいだな」
「殺すぞ。黒いオーガ。勝手な推測で話をするな」
「ねえ。良いから行こうよ! ここ埃っぽいし…」
メリビットは何処か鬱陶しそうな顔をしながら周囲に漂う埃を右手で払いながら左手で口を覆う。
階段を上りながら上をふと見上げてみても、オーブの姿は見えてこない。
ヴェルズリはふと後ろを歩いているジャックに「本当に上にあるのか?」と尋ねてくる。
ジャックは「だったら下を探せばいいだろう」と興味無さそうに歩くだけ、また上を見るヴェルズリ、ドドナは周りを探索する余裕があるのか、現れる化け物の体細胞や壁などを採取して調べている。
「凄いっスよね~これだけの空間を鏡の中に隠しているなんて。初代双星のホビットがどんだけ凄いのか良く分かるっス」
「ふん。手先が器用なだけの小人族だろう? 強かったのかどうかは興味があるがな」
「お前は小人族と呼んでいるホビット族にオーガ族に勝てるだけのパワーがあると思っているのか?」
「だとしたらそこの黒いオーガは相当の馬鹿という事にならないかしら? 可哀そうなホビット」
「ぶっ殺すぞ。その約二名」
「前から殺気を放つなよ…ネリビットはどうしたんだ?」
一番前を歩いていたメリビットが足を止めてふとジャックの方を見て口を開く。
「あれがオーブのある場所ですかね?」
ジャック達はふと上を見ると、大き目の円状の足場がそこにはあり、その足場からジャックははっきりとした似たエネルギーを感じ取れた。
「だな。あそこからエネルギーを感じるし」
「なら、あそこで自分達を睨んでいる奴が二つ目の守護者っぽいっスね」
ドドナがまっすぐに指を指す方向を見るジャック達、八本の脚に固い甲羅と人の上半身が融合している化け物がそこにはいる。
異形と行っても良いその化け物は、ジャック達をはっきりと睨んでおり、壁にへばりついて両手にはジャック二人分はあろうという長さの太い槍を握りしめていた。
壁を粉砕するのではと言う衝撃で一気に跳躍し、ジャックはネリビットとメイビットを、ヴェルズリはドドナを押し倒し、ジュアリーは自分で跳躍してその場から別の足場目掛けて逃げる。
ジャックとヴェルズリはあっという間に吹っ飛ばされ壁に激突してしまう。
「早すぎない!? 体の大きい化け物がする動きじゃないし! ていうか、上半身裸の女性の体が生えている蜘蛛? それとも蟹? サソリ?」
「どうでも良くないっスか? それに女性っぽい何かっスよ。ほら。体とか模しているだけで」
「多分だけど元が女性だったんだと思う。ジャックお兄ちゃん!」
ジャックは口から血を吐き出して二本の勇者の剣を取り出して化け物へと睨みつけ、ヴェルズリも同じように血を吐き出してから大斧を背負って現れた。
ジャックとヴェルズリが纏っている雰囲気は化け物にもはっきりと感じ取れたようで、女性は細い腕を自分の背中の甲羅に叩き込み、体から更に同じ槍を取り出した。
「ふん。野蛮な取り出し方だな。元になった人間はよほど品性の無い人間のようだ」
「あれ? この中で一番品性を感じさせない人間が何か言っているっスね」
「後で覚えていろよドドナ」
「どうやら物理体制は高いようだな。生身の部分を責めれば行けるか?」
「どうかしら…甲羅のような硬化している部分がある以上は生身に近い物質の部分は何かしらの能力があると見るべきじゃない?」
「はい。多分ナーガ並みの再生能力があると思います」
ネリビットは眼鏡のような道具を取り出して素早く装着、同時に片手で装備できる盾を構えてエネルギーの壁を作る。
「姉ちゃん! 弱点は?」
「甲羅の下! でも、下から攻めても上から攻めても致命傷にはならないと思う!」
「物理が無理なら自分達ホビットの出番っスね! 援護よろしくっス!」
「っち!」
力一杯舌打ちして「絶対先に殺す」とぼやくヴェルズリ、大きく跳躍して甲羅目掛けて斧を振り下ろそうとするが、それを化け物は跳躍して壁へと逃げるが、その逃げた先にジャックとジュアリーが先に回り込み胴体を真っ二つにしようと試みる。
しかし、やってきた攻撃を槍で受け止めつつ体を回転させて吹っ飛ばす。
その隙にネリビットは片手サイズの銃を握りしめ照準を合わせつつ引き金を引き粘着力のある物質で拘束しようと試みた。
動きが悪くなったところをヴェルズリは見逃すことなく跳躍し女性の胴体をまずは縦に真っ二つにした。
だが、切り裂かれた部分は素早く再生していきあっという間に元通りになっていく。
そして、そのままヴェルズリを力一杯吹っ飛ばすとドドナは聞こえるような声で「役に立たないなぁ~」と罵倒する。
「ぶっ殺すぞ!! まだ攻撃もしていないお前にだけは言われたくないんだよ!!」
「今から攻撃するんっスよ」
スナイパーライフルを取り出して化け物の胸の谷間目掛けて銃弾を叩き込み、化け物はドドナをそっと睨みつけて跳躍すると、今度はジャックが敵とドドナの間に入り込み槍による刺殺攻撃を上手く捌いて弾き、ドドナはその隙に武器をマシンガン二丁に切り替えつつ素早く移動していく。
ドドナの一連の動きをジッと見ていたメリビットは武器を投擲型の爆弾に切り替え、それを敵の足元目掛けてアンダースロー方式で投げる。
コロコロと転がり敵の足元で止まる爆弾、逃げようと跳躍しようとしたところでヴェルズリとジュアリーが大斧と大剣を上から叩きつけ、ジャックは後ろにジャンプで逃げながら魔術で炎の槍を作り出して釘付けにする。
同時にドドナは二丁のマシンガンで敵の両腕を攻撃で槍による防御を邪魔した。
そして、爆弾が眩い光を放つと同時に『ボン』というあまり迫力の無い音と共に緑色の煙を作り出す。
吸わない様にヴェルズリとジュアリーは跳躍して逃げる。
「へぇ~自分がやろうとしたことに気が付いたんっスね」
「まあね。見て直ぐに分かったからさ。あまり感心するようなやり方じゃないけどさ」
「毒か…」
ジャックは呟いた。
体が崩れて解けていく姿を見ながら。
どうでしたか?
そろそろ厄災のホビットと双星のホビットの関係を書いていけたらと思います。
では次は双厄のホビット第四十三話でお会いしましょう!




