災いを求める者
災いを求める者一話目となります。
いよいよ首都編へとお話は入ってまいります!
では本編へGO!
ホビット大陸の首都『リンカーンシティー』はホビット大陸でも大分東側寄っているらしく、近くには港町である『ディレク』という場所もあるらしいのだが、鍛冶の里の人達曰く遮るものは無いぐらい近い距離感。
古来より首都は多くの種族が関わり続けてきたほどの賑わいがあり、あらゆる種族がやってくることもある。
明日の朝一番で出発できるという話で、もう一日は此処で滞在という運びとなったとたんあの馬鹿爺は早速何処かへと出かけて行ったのだった。
俺達は考えない様にしつつそれぞれ散策してから翌朝、俺達は出入口に集合しつつ俺は勇者の剣を待っていた。
里長が持ってきた白い木に金色の装飾で飾られている鞘に包まれた勇者の剣、俺は俺は受け取る。
「勇者の剣の本来の力を引き出すにはドラゴン大陸にある『ジュライ』という町を目指してください。恐らく勇者の剣の声が聞こえてきた貴方なら歴代の勇者にはできなかった武具の領域も使えるようになるでしょう」
「武具の領域? ジャック兄ちゃん何?」
「名のある武具だけ使えるという領域技らしい。俺も使ったことは無い。相当レベルの高い武具に選ばれた者だけが使える。俺も使ったことは無いけど」
「この中で武具の領域を使える武具を扱っているのは恐らくディラブ様の斧だけだと思います。それだけ特殊な技術なのです」
「勇者の剣がどんな形の領域になるのかは私達も分かりません。それを扱えるようになるにはジュライに行くしかありませんが、私達もジュライに関する情報はまるでありません」
「それこそ歴代の最高司祭なら知っておいででしょうが…」
アンヌが里長に残念そうな顔をしているのだが、この女はそれで教えて貰えると思っているのだろうか?
まさかとは思いつつ俺は勇者の剣を腰にしっかりと装備、因みに服は無かったのでボロボロの服を組み合わせてそれっぽく見せている。
「ドラゴン大陸に行くにはまずは首都へと向かい、その後ディレクとへと向かってから船で『デルカ・アル・フォール』というドラゴン大陸のリゾート地へと向かう方法が宜しいかと」
「なんじゃ? そのいかにもなリゾートな名前は! ワクワクするのう!」
「そうかな? お爺ちゃんみたいなエロい人が多そうで若干テンションが下がるけど…」
「ドラゴン大陸ってあまりドラゴン族はいないんでしょうか?」
「ええ。基本他の種族が多くおり、首都もドラゴン族が管理しているというだけで、見かける人は大体他の種族のはずです」
「今エロ爺が残念そうな顔をしているぞ」
「ドラゴン族は皆女だからな。そんな人達がビキニでも着て練り歩いている姿を想像したんだろう?」
「爺ちゃんエロ過ぎ」
「自重したらどうなのだ? エロ爺」
「皆…儂に対する扱い酷くない?」
慣れたものだ。
アンヌも「フン」と鼻を鳴らして黙り込み、メイビットも苦笑いを浮かべながら誤魔化しているのだが、こればかりは仕方が無いのだ。
俺達は里長に一言お礼を言いそのまま里を出ていく。
歩いて戻らないといけないわけだが、こればかりは仕方が無いのだとアンヌには言い聞かせる。
来た道を戻りそのまま町まで戻ってから俺達は首都行の列車に乗り込んで出発する。
「首都って初めて!!」
「もう!ネリビットはテンション高すぎ! 落ち着きなさい!」
「そういうメイビットもテンション高いよ。でもこの子達からすれば初めての事だもんね」
「そうだな。ディラブは行ったことがあるんだよな?」
「うぬ。意外と高い建物が多い街並みだった。恐らく他の種族を意識しているのだと思うが。しかし、厄災のホビットだったか? 今何処でなにをしているのだろうな? てっきり俺は鍛冶の里で一緒に襲ってくるのだと思った」
「どうやら彼等も厄災のホビットだけは一緒に行動したくはないようじゃな。呪いに関わる話じゃからじゃろうが」
「呪いって彼らもそうじゃないの?」
ネリビットがそんなことを不思議そうな瞳をしながら俺達に尋ねてくるので俺が代表して「違う」と言っておいた。
「呪いはそんなものとは違う。というよりは裏の人間達ですら基本手を出そうとしないしろものだ」
「危険すぎるの。呪いは自分すら危険にさらし、自らの目的を遠ざける。一生叶わない願いになる。だから裏の人間もあまり手を出さないの」
「そうなんだ…今でも良く分からないから」
「知能が持つ感情。その感情の裏側の感情である闇…行ってしまえば『怒り』や『憎しみ』が原材料となるものだからな。感情だけで出来ることじゃ無いから何とも言えないが。その辺りは『フワッ』としているから説明できない。裏の人間でも知っている人間は限られていると聞く。知れば呪いに近づくからとか…その辺りも俺は人伝に聞いただけだ」
「その人伝って誰? 私知らないよ」
「…言うわけ無いだろうに。お前だって個人情報を喋らないだろう?」
「私昔…」
「言わなくていい。ていうか俺がツッコムことを期待して喋るな!」
「バレた…誰よ! 私に言えない事!? いやらしい理由!?」
「なわけないだろうに!! 何故そう思う!?」
「静かにせんか!」
「爺が一番五月蠅いぞ。お前達少し音量を落とさないか? 周りを見てみろ」
ディラブの言われた通り周りを見ると俺達に視線を送る人々の姿が痛々しく見えてしまった。
大人しくすることにした俺達は一旦テンションを落とすことに。
「で? どこで入手した情報なの? ジャック兄ちゃんが手に入れたその呪いに関する情報」
「…浮遊大陸に赴いた時だな。あの時、邪神城へと向かう前に手に入れた。というより聞いたが正しい。浮遊大陸は誰よりもそういう裏事情に詳しい人間達が多いんだ」
「じゃあ。今からでもその人に連絡すれば聞けるんじゃ?」
「そう思うだろう? 浮遊大陸は直接赴く以外に連絡手段が無い」
「厄介なんじゃよ…あの大陸はな。ルールらしいルールも無く、無法地帯という言葉が一番よく似合う。儂も話だけなら聞いたことがあるが…」
「俺は行った事も無い。どんな場所なんだ? 草木は生えているのか? それとも生えていないのか? 荒野なのか?」
「基本は森や川はあるが、大陸同士が繋がっているわけじゃない。だから街から街への移動は飛空艇しかない。その分浮遊大陸では飛空艇の代金が異常なほど低い。中には個人経営でやっている人間達も居るぐらいだ」
「さぞかし儲かりそうな仕事でしょうね」
「それは嫌味かのう? それとも嫉妬か? 意味が分からんが…どっちの意味も」
俺はその意見には同意しつつ腕を組んで真直ぐに窓の外の景色へと目を向ける。
すると窓の外には高いビルが建ち並ぶ街並みが外からはっきりと見えてきた。
「見えてきたようだな。首都が…」
「あそこにいるかもしれないんだよね? 厄災のホビットが…」
「名前やその存在からしてホビット政府の転覆することぐらいはしでかしそうだし…」
どうでしたか?
いよいよホビット大陸も終盤へと向かっていきます。
では次は双厄のホビット第三十二話でお会いしましょう!




