勇者の剣を求めて 8
勇者の剣を求めて八話目となります。
いよいよ勇者の剣お披露目です!
では本編へGO!
メイビットが戦場を見て何を思ったのか、その答えは彼女の後に俺も気が付いてしまったのだ。
俺と同じ元勇者であるノルヴァスがいない。
あれが襲ってこない理由が無いはずだし、むしろ率先して破壊したい大量だろうと思った時俺は『ズレた世界』を思い出した。
そして、メイビットが俺の方を見ながら焦った様子を見せている。
「ジャックお兄ちゃん!! 中に入って!!」
「クソ! そういう事か!!」
この辺り一帯の世界を敢えてズラしてそのままズラした世界から侵入するつもりなんだ。
こいつらが俺達の元に入り込んだのは意識を神殿から遠ざけるため、この神殿への一本道しかないこの道を利用した。
俺は神殿へと向かって駆け出していくと、ドドナがガトリング砲で俺の行動を邪魔しようとするが、それをネリビットが不可侵のシールドを展開して防ぐ。
ならばと今度はヴェルズリが駆け出して襲おうとするのだが、それをディラブとアンヌが同時に妨害、メロンは左右から挟み込む形で鞭攻撃を俺へと繰り出すわけだが、それはメイビットとリアンが妨害した。
俺は神殿の入り口に手を掛けて中へと入ると、神殿の中の熱気が一気に外へと漏れ出る。
中心に大きな竈のような物、金属を打ち込む為の設備一式にそれに向かってマグマの熱でも向かっているかのようなデザインの床、壁には炎が巡っているのだが、その壁の一辺にヒビが割れて今にもノルヴァスが現れようとしている。
今駆け出して何が出来る?
守れるか?
武器の無い俺が?
そう思って考え込んでいると、
『ワレヲツカメ』
俺は真っ赤な炎に包まれている俺用の勇者の剣へと俺は容赦なく両手を突っ込むと、俺の両手が燃え上がり皮膚は素早く焼け爛れ瞬間には治るの繰り返しへと入る。
同時にヒビからノルヴァスが駆け出していき俺へと襲い掛かる。
俺は勇者の剣を手にしてノルヴァスの勇者の剣を受け止めた。
「………一歩遅かったか」
俺の両手に握られている二本のサイズの違う剣、性格には右手には太刀、左手には小太刀が握られている。
俺は太刀を前にして十字の形で攻撃を防いでいた。
本来勇者の剣は真っ白な色合いをしているものだが、俺の勇者の剣は刀身は真っ黒で刃だけが真っ白な色合いをしていた。
取れていく炎が太刀と小太刀の全体図を映し出す。
どうやら柄から刃先まで全てオリハルコンで作られた太刀と小太刀こそが俺の勇者の剣のようだ。
「…勇者の剣が二本現れるという事は歴代の勇者の剣では無かった事。問題があるとすればまだジャック様には勇者の剣の使い方が分かっていないという事」
そうなのだ。
勇者の剣の使い方が万全であるノルヴァスの方が一歩上であり、その上どうやら応援が他にいるようだ。
「お久しぶりですね。アルノ最高司祭」
「フン…! 忌々しい現代の勇者! 邪断の元勇者! 貴様さえいなければ!!」
「それはドライ最高司祭に不満を言ってくれませんか?」
「そうさせてもらう! クソ! 勇者の剣を製造しようとしている聞いて止めに来たが…」
「騎士団から逃げ出せたんですね。まあ、元勇者たちがいれば問題はありませんか?」
「あまりうちの協力者を煽らないで貰おうか」
俺とノルヴァスが一旦距離を取りお互いに構えなおすと、アルノ最高司祭は恰幅の良い体格を揺らしながら長杖を構え始める。
さて、俺はこの太刀と小太刀の使い方が分かっていないわけなのだが、正直太刀だけであれば何となくわかった気がした。
俺が魔力を練れば太刀は魔力を食いだすのだ。
恐らく俺の魔力を吸収して放出するのだろうが、問題は小太刀である。
小太刀は魔力を送り込もうとしてもウンともスントも言わないのだ。
そういえば師匠が小太刀について「小太刀は古来より攻撃ではなく盾に比較的近い考えのもとで運用されたんだ」と言っていた気がする。
最も盾とは違い攻撃することにも運用でき、狭い場所での戦いにも向いている小太刀だが、それでも太刀とは違いあまり単体での使用率は悪い。
ならこの小太刀、魔力を通さない特性と言い何となく理解できた気がした。
最もその特性を含めて防御と攻撃の両方が出来るのだろう。
それは太刀も同じことで、この太刀と小太刀はそれぞれが攻撃と防御の両手段を得ているのだ。
お互いに攻撃するタイミングを待っており、流石に勇者の剣の厄介さを理解していたノルヴァスは自ら襲ってくることはしないようだ。
それを理解したところで俺はアルノ最高司祭を唆した方が速そうだと瞬時に理解した。
「アルノ最高司祭はドライ最高司祭に負けた分際でどんな顔してお会いになる主つもりで?」
「貴様! 私を馬鹿にするか!?」
「おや? これでも『元』最高司祭様に対して敬語を使っているんですよ? 俺…教会って嫌いでね」
ノルヴァスが大き目のため息を吐き出し、同時にアルノ最高司祭は長杖の先端から何か術式を放った。
やはり簡易式の術式を使えるように杖の先端に細工を施していたのか、まあ分からない話じゃないので別に良いんだけどさ。
放たれた術式は無属性の光線のようで、俺めがけて飛んできた攻撃を俺は左の小太刀で反射した。
驚きながら戻ってくる攻撃を左右に避けるノルヴァスとアルノ最高司祭、俺は同時に駆け出していく。
やはり小太刀の能力は『反射』で合っているが、俺は今度は太刀にブラックホールの魔力を注ぎ込んで切りかかると、俺の攻撃を受け止めるかそれとも避けるかで一瞬悩むノルヴァス。
しかし、アルノ最高司祭だけは防ごうとしていた。
冷静に考え避けることを考えたノルヴァスに対し、俺の攻撃を真に受けてしまったアルノ最高司祭、その最高司祭の両腕を俺の太刀は容赦なく切り落とす。
「ああああああああ!」
「っち! 直ぐに悲鳴を上げる…? 傷口から損傷個所が広がっていく? いや、飲み込んでいるのか? まさか、あの太刀魔力を吸収して術式事斬撃に付与して繰り出すのか? いや…斬撃に繰り出すこと自体は自由なのか? まあ、このままだと肉体が無くなるわけだから腕を切り落とすしか無いな」
驚いているのは俺も同じことで、威力が予想以上にデカかったのだ。
そこで理解した。
『小太刀は反射で太刀は二倍返しなのだ』
どうでしたか?
太刀と小太刀の二刀流となります。
では次は双厄のホビット第三十話でお会いしましょう!




