勇者の剣を求めて 7
勇者の剣を求めて七話目となります。
では本編へGO!
翌朝俺達は朝一番に出発するという鍛冶の一団に付いていく為同行することになり、朝には鍛冶屋に顔を出しに行ったアンヌ達とは完全に別行動をすることに。
直ぐに出発してモノレールに乗って山頂に辿り着くだけで一時間は要したわけだが、意外とモノレールまでが遠かった。
とはいえ、一度で全員を運べるわけではないので全員が集まるのを待っている間ネリビットが火口へと近づいていく。
体中に感じるあの砂漠の暑さとは違う熱気、下をのぞき込むと真っ赤なマグマが遥か下に流れているのが分かり、同時に正面には様々な支えを前後左右などに伸ばして鎮座している土台のような建築物。
あれが勇者の剣を製造する上で大切な神殿、まず神殿へと入る為には一本道をまっすぐ進んでいき、大きな広場にある両開きの重そうなドアを開けてから中に入るようだ。
二人ほどドアを開ける為に向かっていくのが見て、俺は集まったことを確かめた所でネリビットが下を見たまま固まっていることに気が付いた。
一体何事なのかと思いネリビットに声を掛ける。
「どうした? ネリビット」
「ねえ……マグマって何度?」
「何度というか…何千度というか…何故?」
「マグマの中にモンスターが居ない? あれ…ほら。僕には見えるよ。一つ目がこっちを見ているんだけど。しかも…大型」
俺とディラブとリアンもそっと覗き込むと、こちらを見ている武器な目玉がありそれを俺達を捉えてなお動こうとしない。
飼いならしているのか…それともあそこから動かないような個体なのか。
多分マグマ溜まりの中を巣として生きているのかもしれないが、そう思ってやってきた鍛冶士の男性に「あれはなんだ?」と聞いてみた。
「あれはマグマ溜まりを巣としているモンスターです。マグマを栄養素としていてこっちから派手に刺激しない限りはやってきませんよ。初対面だと驚くんですよね。普段はああやって目だけを出してこっちを見ているんですよ」
「なんか…怖い」
「殺してはいけないのか? 見ていてイラつくぞ」
「お前さんはそんなことで一回一回モンスターを殺すのか?」
まあ、あれが危険じゃないのなら敢えて突っ込んでいくわけじゃないが、俺はその視線がどうにも気になってしまった。
あの目…泳いでいたように思えてしまう。
鍛冶士達が神殿の中に入っていくのが見えて俺達は広場で待機、熱い中で待っていなくてはいけないのだが、まあそれは仕方がない。
「勇者の剣は作るまでどんな形なのかは分からないんだったな…どんな武器なのか? 前は大剣を使っていたから次もそうかな?」
「どうだろうな。俺は偶々邪神城で拾った武器ではあれが一番まともで同時に何か通じるものを感じたからだし。まあ、今思えば俺がナーガでナーガ専用の武器なんだから感じるものはあるわな」
「それぞれ専用に作るとある程度の実力者だと感じるものがあるからね。ホビットの様にその辺りが鈍い人は分からない感覚だけど」
「ジャックが得意な武器はなんなんじゃ? 勇者のとして活躍していた時期はあの先代の片刃直剣を使っていたのじゃったな?」
「ああ。元より刀剣以外使う気は無いんだが、こだわりがあるのかと言えば実はない。変則的な武器でも扱うのに時間が掛かるだけで扱えないわけじゃない」
まああまりにも変則すぎると扱うのに時間が掛かって仕方が無いのである程度はスタンダードな形が一番なんだけど。
師匠からは一般的な刀剣しか習わなかったんだよな。
あの人器用だからそれこそ変則的な武器でもなんでも熟すことが出来る人物なんだよ。
会いたくは無いけど。
「ジャック兄ちゃんが今まで扱った中で一番扱いやすかったのは何? 剣? それとも…」
ネリビットにそう言われてしまい俺はふと脳裏に思い出した武器をそのまま口にする。
「刀かな…一番扱いやすかった」
「刀…あの脆そうな剣の事か? 薄くてあんな武器役に立つのか?」
ディラブの言葉に俺達は白い眼を向けて見つめてみる。
刀の良さをまるで理解できないとは…全く遺憾である。
「刀をお前みたいに馬鹿力で扱えば脆く感じるだろうに。刀を叩きつける類の武器として扱うなよ?」
「あれは意外とテクニックがいるからね。それに作るにも意外と神経質になるって聞くし。ある程度の頑丈さと軽さを両立するためには技術力がものをいうらしいし」
「まあ、同じ鍛冶でも作る人の技術力が良く出る武器の一つじゃからな。何処までも薄く、どこまでも切断という一点を突き詰めたと言ってもいい武器じゃ。扱う人間の技量でどこまでも強くなれる。ジャックは力任せに戦うタイプじゃないからのう…誰かさんとは違っての」
「ねえ。ディラブ兄ちゃんは力任せに戦うタイプだよね。もう少し考えて戦ってほしいけどね。いくら頑丈な武器だからってあんな使い方をしていたらすぐ壊れるよ?」
「この武器は大丈夫だ! 確信している!」
「どこから来るんだろうな…その確信は。それこそ壊したらオーガ政府に顔向けできないんだと分かっているよな?」
「無論だ! 分かっている!」
ガッツポーズを決めているが多分分かっていないと思う。
下手をすれば顔を向けるという言葉の意味すら理解していない気がしてならない。
ネリビットは俺の顔を見て何を思ったのか近づいてきて俺の頭部の鎧の部分を触れてすぐ手を放す。
「熱いのかと思ったよ…普通だね。どういう素材なんだろう? 触った感じだと金属って感じの触感」
「骨らしいぞ。儂が聞いた感じだと。ナーガ人の骨は金属の様に硬く、頭部はそれで覆うのだそうだ」
「そうだったのか!? 俺も知らない初めて知らされる新事実」
するとディラブが俺の頭部を触りだした。
「なんか…嫌だな。その頭部。骨丸だしという事だろう? なんか…恥ずかしい」
「骨丸だしとか言うな。中にはきちんと頭蓋骨があるわ。骨みたいなものだ!」
「熱くならないの?」
「どうなんだろうな。砂漠とかあまり自信ないけどな。でも、寒くなっても熱くなっても問題ないとは聞いたから俺は心配していないけどな」
「本来気にするべき部分じゃと思うがのう。まあ良いわい。アンヌとメイビットは遅くなるのか?」
「誰かさんがお酒をぐびぐび飲んでいる間に色々と話し合っていたからな。まあ、その内やってくるでしょ…来たぞ」
俺の言葉を合図にしていたかのようにヴェルズリとメロンとドドナがゴーレムと共に襲撃してきた。
重たい衝撃音と共に現れた彼等を鋭い睨みを向ける。
「ハハ! やっぱり待っていたか! しかし、面倒な里だな。里には入れないから回りくどく向かうしかなかったぞ」
「全くね。まあ良いわ。このまま勇者の剣を作らせるつもりは無いわ」
「だね。あれ? チビ聖女さんはどうしたの? それともう一人のホビットは?」
「お前達程度なら俺達で十分だよ」
「中は無いわね? あれだけの聖女なら中に居ても分かるわ。なら…里かしら? どうして里にいるのか分からないけど」
「凡そ。武器の調達と言った感じか? 前戦っていた時も武器が悲鳴を上げていたからな。あの馬鹿力ならあり得る」
「馬鹿力で悪かったわね!」
アンヌがゴーレム目掛けてレイピアによる連続突進攻撃を繰り出しそのまま粉々にしてしまう。
本領発揮されたアンヌのフルパワーを受けてもまるで微動どもしない新たな武器。
やはり聖女用に作る専用のレイピアは一味違うようだ。
そのまま素早くメイビットが現れる中彼女はヴェルズリ達を見て首を傾げた。
どうでしたか?
次はいよいよ勇者の剣が手に入ります!
では次は双厄のホビット第二十九話でお会いしましょう!




