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勇者の剣を求めて 4

勇者の剣を求めて四話目となります。

では本編へGO!

 男子も温泉に入り終えると皆で街を見て回りながら軽く食事でも取ろうという話になり、ジャック達は立ち話をしながら串物を食べたりしつつ街を見て回る。

 緩やかな坂に作られた集落に、集落のど真ん中には小さいながらに川が流れているが、やはり目を引くのは大きな火山であった。

 基本ジャックは東方には数えるほどしか行った事が無いのでも物珍しさは無いが、それでもついつい周囲を見回してしまう。


「ジャックで東方は行ったこと無かったけ? 違った? ジャックは勇者時代に至る所に言っては救済行動をしていたと記憶しているけど」

「救済行動…間違ってはいないから何とも言えんが…」

「で? どうなんじゃ?」

「行ったことあるって言ったろう? 然程回数が無いからつい見てしまうだけだ。東方系の建物は珍しいから」

「で? ネリビットはどうしてもう食べ歩いているの? 我慢できなかったの?」

「だって美味しそうでさ! ほらこの豚串滅茶苦茶美味しい!!」

「肉肉じゃな…野菜を食べるという選択肢は無いのか? ディラブに言って居るんじゃぞ。お前さんは先ほどから豚肉、鶏肉、牛肉、ラム肉と肉ばかり買いおって!」


 ジャック達の視線の先には両手一杯に肉料理を抱えているディラブ、豚串を始め牛肉に甘辛ダレを付けた串料理、塩焼き鳥のモモと鳥皮を五本ずつ、ラム肉のキャベツの炒め物…幾つ食べるつもりなのかとジャックは問いたかった。

 ジャックからすれば見ているだけでお腹一杯なのだが、ディラブはアンヌにだけは誰一人言われたくないぐらいに両手一杯にデザートを抱えている。

 流石に串料理などとは違って持てる数に限界が直ぐに来るので持てる数は少なかったが。


「ジャックはあまり食べないね。もう食べたの?」

「元よりお前たちほど食べているつもりありませんが? ゆっくり選んで食べるさ」

「早く選ばないと無くなるぞ?」

「? え? これって早く購入しないと直ぐに売り切れる食べ物ばかりなのか? 初めて聞いたけれど?」

「お前達基準で言えばという事じゃろう。しかし、良い湯じゃったな。朝方に入っても良さそうじゃ」

「良く男子衆はこのエロ爺と一緒に入れるね。外見だけは女なのに」

「「「この人を女だとは思っていないから」」」


 ジャック達の素直な意見を前にリアンは「じゃろう?」と遠い目をしながらアンヌ達を見ていた。


「この男子衆はのう。儂をどうにも女として見ておらん。もう、儂が裸で歩き回っておっても興味も抱かんのじゃよ」

「中身がエロ爺なんだもん。俺達が興奮する材料が無いだろう?」

「そうだよ。俺達もう爺ちゃんの事をそういう目でしか見れないし」

「というか、女として見て欲しかったのか? 言ってくれれば努力はしよう。俺もジャックもネリビットも出来るとは思わんが」


 ジャックは赤く光る提灯をジッと見つめる。


「何? 提灯が珍しいの?」

「良いや。お祭りを思い出したからさ。あれは…学校の課外授業だったかな? ほら。俺達が一回在学中に行った事あったろう?」

「ああ。ジャックが要らないトラブルに巻き込まれて大事件を解決したあの話?」

「え? ジャック兄ちゃんは在学時代からそんなトラブルに巻き込まれていたわけ?」

「そうなの! この人目を離すと直ぐトラブルを各地から持ってくるの」

「人が意図的にトラブルをもってきているとか言うな! ワザとしているわけじゃない!!」

「で? どんなトラブルだったんですか?」

「えっと…教会に反発する教団組織が当時東方の街で大掛かりな占拠を目論んでいたのよね。たしか」

「ああ。それに俺が偶然にも気が付いて…そのままアンヌに唆されるままに首を突っ込んだんだ」


 ジャックとアンヌ以外の目がアンヌの方へと向けられ、アンヌは「テヘ」と舌を出して空気を誤魔化す。


「それってアンヌ姉ちゃんがトラブルを持ってきたんじゃないの?」

「違うもん! ジャックが持ってきたの! 私はただ見ていただけだもん」

「作戦提案をしたのはアンヌだ。トラブルに火をつけてそのまま放置して遠くからケラケラと笑っていたんだ」

「最低じゃな。アンヌ。お前はどの口でジャックのトラブルメーカーぶりに批判するんじゃよ」

「だな。トラブルを持ってきたのはジャックだが、それを加速させて被害を増加させているのはお前だろうに」

「怒られるのは俺だけどな。後で教会本部に連れて行かれて一頻りため息をつかれた。そういえばその時に小声で「これだから二度目の勇者は」と言っていたが」

「多分ですけど。ジャックお兄ちゃん達の話を聞いた感じ、ナーガの勇者はジャックお兄ちゃんのような感じなんだと思いますよ」

「なんと…! 照れる」


 リアンとディラブが「何故?」と本気で理解が追い付かなかった。


「勇者の剣ってさ。色々な形があるんだよね? じゃあ、歴代の勇者の剣って何処かにあるの?」

「教会本部じゃないかな? 見たこと無いから知らないけど…ジャックは知ってる?」

「ああ。教会本部はアンヌはどんな形をしているのか知っているよな? 楕円形の形をしていて、島そのものが教会の施設で満たされているんだ。真ん中は大きな聖堂になっていて、その聖堂の地下に隠されているそうだ。入り口は最高司祭でも一部しか知らされていない場所だそうで、俺も直接入った時は目隠しをされているぐらいだし」

「ええ…なんでそんなに厳重に? どうせ当代の勇者しか使えないんでしょ? もう…意味ないじゃん」

「実際俺はその中から使えそうな剣を選ばされたからさ。今思えば何か意味が在ったのかもしれないけどな。案内されたのもドライ最高司祭だったし」


 その名前を呟くとバレない様に一部のメンバーの表情が動く。


「何よ…意味って」

「分からないさ。知りたくても本人に聞いて教えてくれると思うか? 俺は絶対に無いと断定すら出来る」

「あの性格なら「自分で調べたらどうだ」ぐらいは言いそうじゃな」

「そういう人なんですか?」

「ああ。何というか捻くれておるんじゃよ。昔っからそうじゃ。あ奴はどうにも多くを語らん癖があるのう」

「悪い人じゃないとは思うんだけど。私が聖女に選ばれた時も優しく色々と教えてくれたし…厳しく規則を重んじる人だから誤解されがちなんだけど」


 ジャックはその言葉にうなずくことは出来なかった。

 誰よりも規則を軽んじているような気がしてならない、ジャックはここ数日ずっとそう考えている。

 あの人は意外と私情で動き続けているのではと。

 自分の為に生きているような…そんな気がしているのだ。

どうでしたか?

次は再び温泉回となります!

では次は双厄のホビット第二十六話でお会いしましょう!

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