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OVER  作者: 多趣味な金龍
第1章:若人よ
24/24

LIMIT19:気を

 11:35 会場エリアD

 後ろ髪を4束に分けて纏めている日本人が、ベージュのカラーグラスの奥で青く光る義眼(アイインプラント)から味方の【賜り者】のバイタルをチェックする。


「ふんふんなるほどなるほど、こっちもそっちも勝敗が1つずつ決まった感じだね」

 

 納得した様子でひとりごつ彼を、剱を含む【能力者】3人が消耗していながらも囲む。


「だったら……俺もちょっとテンポ上げようか!」


 両手の指を《パチン!》と鳴らし、剱たちへ爆炎を《ドッカァン!!!!》と噴き上げる!


「危ねぇっ!」


 6()()の感覚をフル稼働させ、剱()側転して無傷で躱す!

 他2人はどうなったのか土煙で視認できない!


「大丈夫か!?」「他人を心配するのは感心するけど、余所見は厳禁だぞ!」


      《ドォン!》《ボォン!》《ボッカァン!!!!》


 高密度な爆撃に、裾の焦げた部分や胴体についた泥を払う暇が無い!

 ただひたすらに躱して回避して逃れる!


(こりゃぁ……! ちとやべぇな……! このままだと武士なのに山賊焼きになっちまう……!!!)


「ほらほらそれそれ! もっと熱く激しく踊ろうか!」《ボボボボドドドドッカァァン!!!!!!》


(だが背に腹は変えられねぇ! ()らなければ()られるだけだ!)


 爆撃の合間を狙い、右手の刀を鞘に納める……


(【惰剣(だけん)】! 爆炎!)


 左手で鞘に(イメージ)を込めると、刀の装飾が別物へと成る!

 鍔は尾張(おわり)()かしから(かぎ)()かしへ、蛇腹組(じゃばらぐみ)の柄の色は黒から赤へ変化する!


「インターバルはまだだけど、そこで止まっちゃって良いのかい!?」


    《ヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォ!!!!!!!!》


 フィンガースナップの音量に呼応するように、さっきより強く、速く、巨大な爆炎が唸りを上げる!

 その勢いでいくつもの屋台に設置していた割り箸、テーブル、総重量20kgのガスボンベが吹っ飛んでいく!

 

「“(すい)(だん)回渦(かいか)”」


 剱の目と鼻の先にまで爆炎が迫り来たその(きわ)! 刀の鍔に右親指を掛けて、右足を軸に反時計回り! 

 同時に腰と上半身の回転速度の差を活かし、通常より幾分と早く刀を引き抜き、横切ってきた爆炎に向けて突き刺す!


         《グニャリ》


 しかし、彼の手に応えたのはスポンジ! 暖簾を押すが如し!

 爆炎の外郭に沿うように、切先(きっさき)が曲がりくねってしまった!


(ちぃっ! やっぱイメージし辛いの(形が定まっていない物)は無理か! だが止まる訳にはいかねぇ!)


 鞘に繋がる異空間へ今しがた仕舞ったばかりの黒い装飾の刀を、左手で逆手に握りながら走る!

                   

             《ボン!》


 怯まずに突進してくる剱に向け、カラーグラスは爆炎を起こしながら反動で距離を取る!


「洒落くせぇっ!」


 規模が小さい! 虚仮脅し! なれば、刀に沿わして軌道を上げる!

 だが、そうしている間にもどんどんと引き離されていった……


「何やら対抗策を思い付いてたようだが、どうやら結果は追い付いてくれなかったようだね」


 結果として、状況は僅かばかりも剱の方に好転しなかった。

 そこにカラーグラスは余裕そうにして、踊るようなステップで腰に垂らしたベルトを揺らす。


「へっ! 勝手に絶望してくれるたぁ、随分と気が利くじゃねぇか! だけど俺にとっちゃぁよぉ、たかが1手潰されただけだ!」


 剱は彼の煽り()()動じず、刀を構える。

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