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ルベラル視点



婚約届けに署名してから、初の顔合わせだ。

もうなにをどうしたらいいか分からん!

当たって砕けろだ。いや、砕けたらだめだ!当たるだけだ!!


お茶会当日、屋敷のものに入念に全身磨き上げられることとなった。なんだこの気合の入り様は。ここまでしないといけないものなのか?疑問に思うが印象は大事だと言うことは分かるため大人しくピカピカに磨き上げられた。


綺麗に髪も結い上げられた髪を靡かせ、お茶会の椅子に腰掛けてリアーナ様を待つ。

すると遠くから護衛と待女を引き連れてリアーナ様が来られた。


「お久しぶりですね。今日は私的な場ではありますが交流を深めれればと思います」


サッと立ち上がりリアーナ様をエスコートするように、リアーナ様の手に触れる。そこからこの心音が聞こえないか心配したが杞憂だったようだ。


「本日を心待ちにしていました。私も同じ気持ちです。幾分かお話しをできればと」


しかしリアーナ様自体がお綺麗だからだろうが、薄黄色の衣装も良く似合っている。帽子でお顔が若干見え隠れしているのが残念だ。



「本日はどの様な菓子にするのか迷いました。ルベラル様は甘いものはお好きですか?」

お菓子の話題から始まり、そこから話は途切れることなかった。好きな本、好きな場所、簡単に日頃の仕事について、幼少期の様子、魔術についてなどなど。こんなに会話が弾むことは今まであっただろうか。




◇◇◇




そして気になっていた質問をする。

「あの不躾な質問ですがよろしいでしょうか?」

「はい、なんでもよろしいですよ。気軽に致して下さい婚約者なのですから。あ、あなたの前では女王など関係なく接したいのです。こ、こ婚約者なのですから」


婚約者。響きがいい。俺は婚約者になったんだ。それもリアーナ様の。対等にお互いのことを伝え合えるように守り、守られる関係として。一人の民として。


「私が婚約者でよかったのでしょうか?もちろん騎士としてリアーナ様をお守りする覚悟は以前よりありました。今後もその微笑みを守りたいと心より思っています。しかし何故私だったのか教えていただけないでしょうか」


ずっと気になっていたことだ。俺はリアーナ様が好きだ。だから側に居れることはいい。しかしなぜ俺だったのか。それが疑問だった。

少し指が震えている?



「それは…あの時助けていただいたあの時。ルベラル様に一目惚れしてしまったからです!」

顔を背けて大きめの声でそう言ったリアーナ様を見つめる。また一段と胸が高鳴る。


「いつも魔法があるから、強いからと守っていただいたことは少なく、皆と1歩2歩と隔たりがあるのはいつものことでした。あの時もそうでしたでしょう?」


そう言われて思い当たることがあった。

結界を張るとき、リアーナ様は氷魔法を使い魔物を倒していた。守りと癒しもできるが攻撃魔法もできるのかと尊敬する眼差しでその当時は見つめていた。

しかし周りは護衛も要らないのではないかと言う発言もあったほど、リアーナ様に頼り切りだった。



「でもルベラル様はちがいました。常に守っていただける距離にいて下さって、実際に助けていただいたきました。ああ言ったことは初めてで、とても嬉しかったのです。だから女王の立場を使ってあなたの婚姻話を妨害して、強制的に近い形で婚約者となって頂きました。ご迷惑をおかけしたかもしれません、けれど私はあなたと一生を添い遂げたいのです」


それを聞きリアーナ様を抱きしめて慰め、甘やかしたい気持ちが溢れ出る。しかしそれに蓋をして涙が溢れる前にハンカチを渡した。そして俺の思いを伝える。


「と、とても嬉しい言葉です。リアーナ様はとても美しく聡明で威厳もあって…そして繊細で努力家です。私もあなたに魅力された数ある中の一人です。あなたを守れる場に距離にずっといてもよろしいですか?」

「…っつ。はいっ!」


眩しい笑顔でそう言う、あなたの想いに応えたい。このとき強く、強くそう思った。



◇◇◇



リアーナ様の手が俺の手に触れる。

俺と比べるととても小さな手だ。そして真っ白だ。俺が触れるだけで傷つきそうなくらい繊細な…。

耳に熱が集まる。


小さな箱が渡された。

「こんな素敵な気持ちでこれを渡すことになるなんて、思いませんでした。是非開けてみてください」

箱を開けて中を見つめる。中には半透明から水色をした小さな剣の形をした留め金の様だ。


「これは?リアーナ様の瞳のような美しい留め金ですね」

「剣とルベラル様のイニシャルをイメージした形です。私の氷魔法を解けない様に周囲に薄い光の膜を作り固めたものです。守護の魔法もあるので身につけていただければ、幾らか役に立つかと」


こんな繊細なものに守護魔法まで組み込んでいるのか?!

それも俺を想っての贈り物。嬉しくないわけがない。

顔が笑みが溢れる。こんな気持ちはいつぶりだろうか。


「これを私に?凄く嬉しいです。必ず付けます。後日お返しを何かしなければ…」

「よよよよよ喜んでもらえてよかったです」

「リアーナ様頬がお赤いですよ」

「ルベラル様がそんな笑みを向けられるから…」


リアーナ様…。愛しさが込み上げる。

リアーナ様の手を取り手の甲に口付けする。

すると顔を真っ赤にして、ドスンと椅子に腰掛けてしまった。本当は口にしたかったが、しなくてよかった。俺も抑えが効かないな。これ以上あんな可愛らしいことをされたら大変だ。



それに返礼も考えないと。

喜ぶ顔がもっともっと見たくて…。

リアーナ様大好きです。


その後待女が駆け寄りバタバタしているうちに、お茶会はお開きとなってしまった。



もっとラブラブにして差し上げたい!

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