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リアーナ視点


先王が亡くなり8年。私が結果を張って6年。そして私の王位継承のお披露目から5年。長かった。とても長かった。思い出しても涙が出る。私ももう25歳になる年だ。



そして昨日ルベラル様が婚約届けに署名してくれた…。

ああ、久しぶりにお会いする姿もとても凛々しくて素敵だった。思い出すだけで胸が苦しくなるわ。次お会いするのはいつかしら。

と考えているうちにお茶会の日程が決まっていた。



◇◇◇



あわわわわ。どうしましょう。何を着ましょう。

あまり気合いを入れすぎても引かれないかしら。

お菓子は何がお好きかしら。

そもそも甘いものは好きなの?!なにかプレゼントでも用意したらいいの?!これは初めてのデート?!手でも握るの?!えっ結婚式についてお話しでもするのかしら?!


「リアーナ様お茶会でしたら、こちらのお召し物はどうでしょう」

と声をかけてきたのは待女のカステリアだ。私が王女になって良く仕えてもらっている。とても気が効くし、仕事も早い。女性の社交での経験少ない私をフォローしてもらっている。

私が内心パニックになっているのに気がついたのかもしれない。



「あまり張り切りすぎてもいけないと思って、その衣装だったら丁度良いかしら?…か、可愛くみえるかしら?」

「まぁ!リアーナ様!!なんて謙虚な!そのようなところも可憐です!リアーナ様はいつでも可愛くて綺麗で素敵です!何をお召しになっても華がありますし、どのような髪型でもまるで最新の流行のように見えます!とにかく何をしても最高です」

…そう彼女の欠点は私を過大評価しすぎなのだ。

「そ、、そうかしら。あまり華美になりすぎないようにお願いね」

「はい。承知しました。では髪飾りは少し少なめに致しますね」

「あぁそれとなにか差し上げる方がいいかしら。初めてのお茶会ですもの。何が作法的なものがあれば教えて欲しいのだけど、こういったことは初めてで…」

段々恥ずかしくなってきた。

「まぁなんて可愛らしい。そうですね。王道はやはり刺繍でしょうか?お名前だけでもお喜びになると思いますよ」

「刺繍ね…」

あぁ刺繍は苦手だわ。それなら魔法陣を考えてなにか役に立つ攻撃魔法の陣でもあげたほうが。でもそれが女性らしくないことくらいは分かるわ。女性らしい…小物かしら?氷魔法でマントの留め金を作ったら素敵じゃない?!

「マントの留め金はどうかしら?」

「どこかの装飾品店に頼むのですか?自分で何がつくられた方がいいのでは?」

「自分で作るわ。氷で」

「氷ですか?溶けるのでは?」

「それをいまから考えるのよ!刺繍よりやりがいがあるわ!では早速」

私が椅子から立ちあがろうとするとカステリアに椅子に戻され、

「まずはお召し物の採寸です」

と凄まれた。

「はい。すみません」

「リアーナ様は魔法になるとしばらく何もしなくなるので先に済ませておきましょうね」

流石わかっていらっしゃる。



◇◇◇



そしてお茶会当日。

結局衣装はルベラル様の瞳をイメージした薄い黄色にゴールドで華の刺繍を施されたものにされた。屋外でのお茶会とのことで白い帽子も被せてもらった。

護衛数名とカステリアを引き連れて、ルベラル様の待つお茶会場へ。1歩1歩姿が大きくなるたびに胸が高鳴る。今日私の心臓は保つだろうか。そしていくつか伝えたい事があるけれど、言うタイミングはあるかしら。



近くまで到着し、

「お久しぶりですね。今日は私的な場ではありますが交流を深めれればと思います」

とやや早口になったが挨拶する。

ルベラル様もさっと立ち上がり、手を取りエスコートする。あぁ手!手に触れてしまったわ!!

そして椅子を引いてくれ席に着いた。


「本日を心待ちにしていました。私も同じ気持ちです。幾分かお話しをできればと」

あぁー!!!同じ気持ちだって?!私の方が心待ちにしてましたよー!!!みなさん聞きましたかー?!!しかし私は顔に出しませんよ!

にこりと微笑み椅子に座る。

「本日はどの様な菓子にするのか迷いました。ルベラル様は甘いものはお好きですか?」

「コーヒーや紅茶を飲むときは甘いものは必ず食べますね。気軽に食べれるクッキーは良く食べるほうです」

クッキーーーー!!!チョコでしょ?チョコよね!似合うもん!かわいい!

「クッキーはチョコもありますがどうでしょう?」

「チョコ味がいいですね。甘いものは疲れも取れるといいますし」

チョコだってーやっぱり。はっ!ニヤニヤしてしまうとこだった。無、無になるんだ。………なれなーい!!

その後しばらく他愛もない話をする。



ルベラル様から

「あの不躾な質問ですがよろしいでしょうか?」

「はい、なんでもよろしいですよ。気軽に致して下さい婚約者なのですから。あ、あなたの前では女王など関係なく接したいのです。こ、こ婚約者なのですから」

よ、よし!少し声は震えたが今日伝えたいことは言えた。

女王など関係なく接したい。以前伝えた民と民として…。



「私が婚約者でよかったのでしょうか?もちろん騎士としてリアーナ様をお守りする覚悟は以前よりありました。今後もその微笑みを守りたいと心より思っています。しかし何故私だったのか教えていただけないでしょうか」


守っていただけるのですか。

半ば強制的に婚約して悪く思われるかもと、内心少し身構えていた。

そこまで言われたらと私も正直に話すことにした。

「それは…あの時助けていただいたあの時。ルベラル様に一目惚れしてしまったからです!」

私は顔を背けて俯いてそう告げた。


「いつも魔法があるから、強いからと守っていただいたことは少なく、皆と1歩2歩と隔たりがあるのはいつものことでした。あの時もそうでしたでしょう?」

ルベラル様はハッとしたように目を見開いた。

「でもルベラル様はちがいました。常に守っていただける距離にいて下さって、実際に助けていただいたきました。ああ言ったことは初めてで、とても嬉しかったのです。だから女王の立場を使ってあなたの婚姻話を妨害して、強制的に近い形で婚約者となって頂きました。ご迷惑をおかけしたかもしれません、けれど私はあなたと一生を添い遂げたいのです」

少し目が潤んでしまいながら、想いを伝えてしまった。

妨害していたまで言うつもりはなかったが。



しばらくの沈黙の後、

サッ!!っとルベラル様が立ち上がり私にハンカチを差し出す。

「と、とても嬉しい言葉です。リアーナ様はとても美しく聡明で威厳もあって…そして繊細で努力家です。私もあなたに魅力された数ある中の一人です。あなたを守れる場に距離にずっといてもよろしいですか?」

「…っつ。はいっ!」

私はとびきりの笑顔でそう答えた。



◇◇◇




そして彼の手に自身の手を重ねて、掌を上に向ける。小さな箱に入ったマントの留め金を渡した。

「こんな素敵な気持ちでこれを渡すことになるなんて、思いませんでした。是非開けてみてください」

ルベラル様は箱を開けて中を見つめる。

「これは?リアーナ様の瞳のような美しい留め金ですね」

「剣とルベラル様のイニシャルをイメージした形です。私の氷魔法を解けない様に周囲に薄い光の膜を作り固めたものです。守護の魔法もあるので身につけていただければ、幾らか役に立つかと」

ルベラル様は驚いた表情の後、

顔をくしゃっと寄せ微笑んだ。

ああ!なんですか!のそ笑みは!反則です!!

「これを私に?凄く嬉しいです。必ず付けます。後日お返しを何かしなければ…」

「よよよよよ喜んでもらえてよかったです」

「リアーナ様頬がお赤いですよ」

「ルベラル様がそんな笑みを向けられるから…」

するとルベラル様は私の手を取り手の甲に口付ける。

いやーーー!!もう手が洗えない!!守護魔法かけなきゃ。



最後は私が真っ赤になって椅子にドスンと腰掛けたため、カステリアが駆け寄りそのままお茶会はお開きとなった。

あールベラル様大好きです。




誤字脱字すみません。、

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