プロローグ
ただただお互いを思い合ったものが書きたくなりました。そんなに長くならないはずです。
「あなたをこの国の王配。私の夫として婚約することとなりました。これに署名を」
……はっ?これは夢か?
目の前にいる女王陛下リアーナは、氷のような青から半透明のような瞳を俺に向けそう投げかけた。俺に拒否権はない。なんてったって女王陛下のお言葉だ。
「はっ!至らぬ身ではありますが、リアーナ陛下を公私ともにお支えいたします」
わずかに微笑むリアーナ様を横目に、そして俺は婚約届けに署名した。
◇◇◇
俺はこの国ラバニールの騎士団長ルベラルだ。
騎士家系に生まれたため、上を目指す事は当然だ。
幼い頃より訓練一色だった。剣さばきはズバ抜けてセンスがあると言われ、魔法においては火・風・光と3属性もあるため一目置かれていた。
20前半には騎士団隊長を、そして29歳となった現在騎士団長に就任した。完全に婚期は逃していたが、一生独り身でも問題ない。騎士団での仕事をこなし、充実した日々を過ごしていた。
そして晴天の霹靂とはこのことか!先日この国のリアーナ陛下の婚約者となった。
リアーナ陛下は光・氷の属性に加え結界と治癒魔法を使いこなす。属性は極秘情報だがこの国はリアーナ陛下の結界によって守られているため、守りと癒しの女王としてその人気は町民にまで及んでいた。かくいう俺もその美しさと実力に当てられた一人だ。
◇◇◇
8年前。このラバニール国は周辺の魔獣が街中に出没することが増え日々疲弊していた。その被害は中心の王都にまで及び、その当時の国王もそれで命を落とした。国王不在の混乱の中、立ち上がったのがリアーナ様だ。
リアーナ様は公爵家の出ではあるが小さい頃から、この国を憂い国防策を父親伝てに施していたらしい。リアーナ様はその当時より、それ程聡明だったと言う事だ。
6年前にリアーナ様は国を囲うように8の光の柱を立て結界を張った。俺は十数名ほどの騎士団の護衛とともに同行した。複雑な光の魔法陣の美しい曲線と光の粒子がこの世のものとは思えない風景だったと今も忘れられない。
リアーナ様を襲うように雑魚が幾重にも襲いかかる度、身を呈して幾度か守った。
「ここまでして守って頂き、ありがとうございます」
「いえ!私の身など、この国のためと思えば些細なものです」
「いえ国は民なのです。私もあなたもこの国の民です」
とその時やや照れたように俯き微笑みながら俺に言うリアーナ様に心打たれたことは間違いない。
それから国の結界が安定し、混乱した国を治めるにあたりリアーナ様は女王陛下として即位された。女王という事で批判の声も大きかったが、今回の功績でその声も黙らせることができた。
しかしそれは表面上で国内でも不安の芽はまだある。また他国からは女王という事で不安定な国という事には変わりないだろう。
◇◇◇
そして先日お会いしたお姿を思い浮かべる。
白銀に似合う小さなお顔白い肌、瞳はどこまでも見透かされているようで力強く、小柄だが背筋を伸ばし言葉にも重みがありどこか威厳がある。
俺には到底釣り合わないお人だ…。
いや!いまからでもまだ間に合う!俺はリアーナ様を公私ともに守ると伝えたのだ!よし今から訓練だ!
そして俺は訓練場へと走り出した。
誤字脱字すみません。
優しく見守って下さい。