(エピグラフ)
先の展開はあまり考えていなくてキャラクターが動いていくのに任せようと思ってます。
異世界ものが書きたくてあまり構想も錬らずにに書き始めました。
筆は遅いですが、投稿に時間がかかっても継続していきたいと思っています。
お読みいただけるとうれしいです。
どうぞよろしくお願いします。
主は我が主に言われる、「わたしがあなたの諸々の敵をあなたの足台とするまで、わたしの右に座せよ」と。
主はあなたの力ある杖をシオンから出される。あなたは諸々の敵の中で治めよ。
あなたの民は、あなたがその軍勢を聖なる山々に導く日に心から喜んで己を捧げるであろう。
あなたの若者は朝の胎から出る露のようにあなたに来るであろう。
主は誓いを立てて、御心を変えられることはない、「あなたはメルキゼデクの位にしたがって常しえに祭司である」
主はあなたの右におられて、その怒りの日に王たちを打ち破られる。
主は諸々の国の中で裁きを行い、屍をもって満たし、広い地を治める首領たちを打ち破られる。
彼は道のほとりの川から汲んで飲み、それによって、その頭をあげるであろう。
――詩篇 第百十章 より
そのものはやみとともにあった。
やみにつき従い、やみが一歩をふみだせば、そのものも一歩をふみだした。
やみに寄り添い、やみからわずかの間も離れることはなく、
釁隙が生じる余地もなかった。
そのものは、かげのようにみえた。
かげのように、寸分違わずやみと一体になって存在した。
やみをみるものにとって、やみとそのものを区別することさえ叶わなかった。
やみにまとわりつくかげ。
そのものは、誰にも気づかれず、誰にも知られることなく、やみとともにあった。
やみの黒々しさを模倣し、やみを更に黒で覆った。
やみをおそれるものは、ひかりの剣でやみを打ち払った。
そのものは、黒曜の矛となってひかりの剣を打ち砕いた。
やみにいふするものは、閃光の鏃でやみをつらぬいた。
そのものは、漆黒の大波となって閃光の鏃を呑みくだした。
やみにおびえたものは、輝きの衣に身をつつみ、やみをしりぞけた。
そのものは、黒鉄の鉄扇となって輝きの衣を消散させた。
なにものも、やみとそのものを別つことはかなわず、
有為転変の彼方まで、そのものはやみとともにあった。
――闇の伝承 より