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仔馬の名前はエクセレントローズ

メリーとプラチナ産駒の名前はエクセレントローズに決まった。


エクセレントには優秀なという意味があり

競馬界の牝馬の中でも優秀な牝馬になってほしいとの

意味合いもある。名を付けたのは俺だ。


まあ、本来なら佐藤さんが決めるのが馬主としての

特権なのだが、今回特別に俺に権利をくれたのだ。


メリーもいい名前ですねと喜んでくれている


DRAの忙しい仕事の合間に静内へ足を運ぶのは

メリーにも会いたいが今はメリーの子供

エクセレントローズに会うためだ


メリーがあきれるほど親バカぶりだが

だって可愛いいから仕方がない

今日来たのはプラチナの種付けがあるからだしな

しっかりお仕事もしていますよ


当歳馬のエクセレントローズはメリーと仲良く暮らしているが

いずれこの馬房を離れて調教師に預けることになるから

それまでは甘やかしてもいいと思う

でも普通の生産牧場ならセリに出すけど佐藤さんは馬主として

エクセレントローズを所有しているから売られることはない


「ローズ今日は何して遊ぶ」  


『ウン ローズねあれやりたいな~』


ローズははしゃぎながら馬房内をうろうろする


『天馬さん最近は私に挨拶もしないで

娘のところへ行くんですね

もう私には飽きたのですか?』


「おお。可愛いいな、娘に焼きもちかな」


『そんなことありません』


頭を甘噛みしてくるメリーがすごく可愛いい


「まだいいだろう 生まれてまだひと月だしな

遊びからでも知識も吸収できるし

俺も娘と遊べて嬉しいからな」


「ママ、パパいじめたらダメだよ」


『いじめてません 貴方と同じで遊んでいるんですよ』


「そうなの~パパ 」


俺はメリーのタテガミを撫でながら


「パパとママは、ず~と仲良しだよ」


トントン 馬房の扉を叩く音で一人と二頭が振り返ると2人の男がいた


「天馬さん愛娘と遊んでいるところ悪いのですが、

種付けの時間ですが明日の9時になりました。」


「はい、わかりました 準備しておきます」


「よろしくお願いしますね」


佐藤さんが苦笑いを浮かべて佐々木さんと立ち去っていく


「ほんと天馬さんエクセレントローズのところへ入り浸りですね」


「私も初孫が生まれたときはそうでしたよ」


「メリー、プラチナのところへは明日の朝行くことになったから」


『そうですか? 1年ぶりにあの人に会えますね

今回は娘を連れて行けますから喜ぶ顔が見たいです。』


そうだよな、人間と違い馬たちには自由がないからな

あの自由奔放のプラチナでさえ散歩も人が見てないと

できないからな だから俺が顔出すと喜ぶんだな


種付けに行くとき別の牡馬のところでも

産駒を連れていくみたいですね

まだ親離れできないからかもしれませんが


翌日早朝 


俺とメリーとローズを乗せて

馬運車、通称馬バスは静内のプラチナのいる牧場へ向かう

厩務員さんは運転席後部の座席に座ります

開閉式の窓もありますから後ろを絶えず気にしてくれますよ


馬バス 各自動車メーカーの特注車です

DRAも歴代の名馬の名前を付けた馬運車を所有してます。


なんとエアサス装備で暑さに弱い馬のためエアコンも

強化されていて夏でも快適に過ごせます

6頭乗車できますが通路を開けて4頭乗車で運びます

必ず牡馬が前で牝馬は後ろが決まりです。

競馬場へ行く前に牡馬が興奮しても困りますからね


そして牧場へ到着すると昨年同様にプラチナが

俺たちを出迎えました。


『天馬久しぶりだな 最近俺のとこへ来ないと

思ったら俺の娘のところへ入り浸りとはな』


「いいや、エクセレントローズは俺が名前を付けたから

俺の娘だよ お義父さん」


「オイ天馬 聞き捨てならないな

今の呼び方 当て字が違うだろ」


『まあまあ、二人とも娘が見てますから

ここは穏便にお願いしますよ』


「ねえ、ママ あの怖い馬だれ?」


ガビ~ンと変顔のプラチナ


『俺はお前のほんとのお父さんだよ

エクセレントローズいい名前だ

お母さんに似て可愛いいよ』


エクセレントローズは危険を感じて俺と

メリーの後ろへ隠れる


『天馬よ お前何ということをしてくれたんだ

俺がほんとの父親なのに怖い馬扱いはひどいだろ』


メリーが娘にあなたのお父さんは2人いるのよと

説明しているが勿論困惑するのは娘のほうだ


「まあ、別々に暮らしているからしょうがないだろう」

  娘の面倒は俺が見ているから心配するな」


わしゃわしゃとプラチナのタテガミを撫でまわす


『来年生まれる仔馬の育成はここだよな?』


真剣な顔で俺を見るプラチナ


「そうだよ、仔馬は伊藤さんが所有するから

ここで育成するよ」


『よし、その仔馬にはお前は近寄るなよ

俺が父親の威厳を見せつけるからな』


『貴方達 私の子供でもあるのだから

勝手に話を進めないでくださいね』


そうだそうだ


まあ、そんなこともあり 今回も当て馬使わず

無事に終了しましたが、最後までエクセレントローズは

プラチナになつきませんでした。


種付けの様子は子供に見せるものじゃないよな


帰り際のプラチナのセリフが


『天馬これで勝ったと思うなよ 』


さすがに可哀そうになったので、今度は早めに

会いに来ようと心に決めた天馬でした。


エクセレントローズはこの後6か月ほどで親離れさせられます

その方法は各牧場により様々ですが、佐藤さんのところは

生産牧場と育成牧場が同じ敷地にあり厩舎に預けるまで

この静内で離乳、騎乗、馴致、鞍を置いての騎乗など

初期育成から後期育成までここでできるそうです。


メリーとエクセレントローズの場合はいきなり親離れさせるのでなく

放牧地で仔馬たちが自分たちで集まるようになった時に親離れさせる

あまりストレスにならない方法をとるそうです。


馬房が変わってもお前は俺の娘だから

いつまでも見守っていくよ


仔馬と離されたメリーは最初は落ち込んでいたが

そこは俺がこころの隙間を埋めたよ

娘の成長を離れたところから2人で優しく見守ろうと


メリーには内緒だけど俺は佐藤さんの牧場に来ると

毎回エクセレントローズに会いに行きますよ

毎回俺の顔を見ると放牧されていても走ってきますからね


でもなんとなく俺の衣服に着いている匂いから

メリーは薄々かんづいているな

まあそれで安心してくれるならいいんだけど


さてとプラチナの顔でも見てから仕事に戻ろう


そしてプラチナに仕返しをされることになる

恐怖の乗馬体験をすることで


「いやいや凄いですね天馬さん

現役の調教師でもあれは怖いです」












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