オマケ その4 メリーとの朝の散歩道
ローズの娘スターが生まれる前年のお話です
夏 東の空がほんのりと赤くなってくる早朝
朝起きて厩舎へ行くとメリーとローズが同じ馬房でくつろいでいた
「おはよう メリーにローズ 早起きだね」
「おはよう パパ」
「おはよう 天馬 プラチナの散歩の時間?」
「いいや違うよ プラチナから朝は散歩に行かないと
昨日言われていたからね 今日は夕方に散歩に行くよ」
「それじゃあ、今日は久しぶりに私につきあわないかしら」
「そうだね、今年は種付けしていないし 俺も久しぶりに
メリーと散歩したいな」
「それじゃあ 天馬準備よろしくね」
「おお、任せろ 直ぐに準備するよ」
天馬は急いで鞍の準備を始める
それを見ていたローズが
「ママ いいな 私もパパと散歩に行きたい」
「ごめんね ローズ 久しぶりに天馬と二人だけで行きたいのよ
今日はママにパパを譲ってちょうだい」
「ん~ しょうがないな それじゃあ 明日はローズが
パパと二人だけで散歩いくからね」
「うふふ ローズはいい子ね 私から天馬にお願いしておくから
明日は二人で楽しみなさい」
メリーの言うことをよく聞くローズはほんとにいい子だ
天馬が準備を済ませて朝もやの中牧場を出る
この辺りはすべて佐藤牧場の育成牧場と生産牧場施設内の土地なので
私有地だ。天翔牧場の土地はそれと比べると面積は小さいが
許可をもらい散歩道には佐藤牧場の私有地もすべて使用できるため
放牧地の数倍の面積の散歩道が出来上がる
天馬とメリーは公道に出ることなく林道へ向かう
この時間帯だと朝日が昇る様子も綺麗に見えるし
空気も清々しい散歩するのに一番いい時間だ
林道の直ぐ側には、小川が流れせせらぎも聞こえる
その中をメリーは天馬との逢瀬を楽しむようにのんびり歩く
プラチナとの散歩では、すぐさま走り抜けていく林道だが
今日はゆっくりと風景がながれていく
「ねえ、天馬 私 今幸せよ これも天馬のおかげね」
メリーが天馬に向けて話しかける
「それはお相子だね 俺もメリーといっしょにいられて幸せだよ
まさか競馬場で会話してからこんなことになるなんて
今でも夢のようだよ」
「そうよね、馬の神様に感謝しないとね 天馬にその能力を
与えてくれたのだから」
メリーの引退レースの日天馬と出会いプラチナへの
思いを打ち明けたメリー
まさかほんとに大好きなプラチナに種付けしてもらえるなんて
メリーは天馬との出会いを毎日のように馬の神様に感謝していた。
種牡馬は1年間に100頭以上の牝馬に種付けする人気馬もいる
少しでも産駒が重賞レースを勝てるように
その勝率を上げるため各地域からプラチナのもとへ
牝馬が連れてこられるがプラチナは牝馬たちにこういった
俺の愛する牝馬は生涯メリーだけだと
まあ、厳密にはそこへマロンも加わるがマロンも了解していることである
競馬界で生涯愛するプラチナだけに種付けされる幸せな牝馬は
メリーだけだろう 普通の牝馬であれば願っても叶わない希望
だからメリーは天馬に感謝している
まあ感謝だけでなく種族を超えて愛してもいる
娘のローズもパパ大好きと公言しているが
馬ではプラチナが人間では天馬がメリーの旦那様だ
牧場としても優秀な牝馬であるメリーとプラチナとの産駒は
重賞を勝ってくれる競走馬になってくれるから
ウインウインの関係でもある
まあ天馬は自己資産も十分あるのであまり気にしてもいないけど
周りの牧場からは毎年羨ましく思われている
産駒が皆 G1を勝つことが出来る 優秀な馬ばかりだからだ
「ねえ、天馬 ローズの産駒 どんな競走馬になると思う」
いきなり話題を娘の話にすり替えるメリー
ローズは今年プラチナの紹介でメテオプリズムさんに
種付けしてもらった。
現役時代も種牡馬でも優秀な馬で種付けの金額も高額な馬
一応 妊娠も無事に確認できているので
出来れば無理な運動はしてほしくないが
ローズは天馬との散歩をいつも楽しみにしている
「あのプラチナが勧める馬だからな
凄く楽しみだよ でも成績は気にしないかな
元気に生まれてそこそこ活躍して怪我なく引退できればいいよ」
※産駒のブリリアンスターは日本の競走馬として史上初ドバイと外旋門賞を勝利した牝馬になりました。
「天馬らしいわね 普通 種付け料高いのだから
成績は期待するものでしょ」
牧場の経営者とすれば上場して高額で落札されれば
ありがたいが、〇億で落札されても
2歳馬デビュー出来ない馬はごろごろいる
よい成績を残せるかどうかは神のみぞ知る世界
最悪デビュー出来ず処分されるからだ
「天翔牧場で生まれる産駒は皆幸せね」
「でもね 俺が牧場で最後まで面倒見る産駒は
メリー産駒の牝馬だけだよ」
「え~ 私の産駒でも牡馬は面倒見てくれないの?」
「でもでも 普通牧場だと牝馬よりお金が儲かる種牡馬を
優先するわよね」
「メリー」
「何よ 天馬」
「そもそも天翔牧場は生産牧場じゃない
俺が作ったのは引退馬繋養牧場で
種牡馬が必要なわけじゃないから
プラチナは特別だよ それに俺は牝馬が好きだから」
そのセリフを聞いたメリーが人間なら頭を抱えるだろう
「ほんとに天馬は牝馬が好きなのね
それと私のためにプラチナを繋養してくれてありがとう」
綺麗なメリーに上目遣いで言われ顔を赤くする天馬
「べべ別にメリーのためだけじゃなく
俺もプラチナが好きだからな
ただ、それだけだよ」
天馬の答えを聞いて昨日より天馬のことが好きになったメリー
メリーは青く澄み渡る天空を見上げて馬の神様に願う
「馬の神様 どうか この生活が末永く続きますように」
「メリー 今なんか いったか?」
「うふふ 何もいっていないわよ さあ天馬牧場へ帰りましょう」
メリーは幸せな気分のまま のんびりと牧場への道を歩んでいく
メリー自慢の尾花栗毛のタテガミとシッポは、朝日に照らされ
金色に輝いていた。




