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新年を迎え新しい試みが始まる

メリーさんの出産は次回の話になります。今回種付けまで行けませんでした。

DRA 年末恒例のアリーナ記念開催日中山競馬場パドック


昨年までならパドックの座席に座り朝から馬を眺めているはずが、

今日の俺はパドックでDRA職員として仕事している


今日の俺の仕事は競走馬の健康管理だ。


これは普通馬を管理している調教師と厩務員の仕事だが、

競走馬輸送中における馬体が受けるストレスによる

健康被害と交通事故などでの外的要因による怪我の有無を

調べることにある。


俺が見てもなかなか判断は難しいがそんな時はお仲間の方に頼みます。

まずは、パドック周回を始めた競走馬の方がたに


「皆さん 体調に問題はありませんか?

何かあればすぐに教えてください

また 体調が悪そうな仲間がいたら近くの方でもいいので

すぐに教えてくださいね」


〖あら、今日は天馬さんなのね〗


『俺は何ともないぜ』


[そういえば、ミルクセーキさんの様子が少し変だと思うけど

あの子我慢強いから心配なのよね一度天馬さん見てください]


「ワンダースワンさん情報ありがとうございます。」


「馬番4番 牝馬ミルクセーキさんねどれどれ

ミルクセーキさん 体調に問題はありませんか

顔の表情がすぐれませんが、獣医呼びましょうか?」


〖天馬さんおはようございます。少し疲れが残っていますが

レースには出れますのでどうかお構いなく〗


少し足元もふらついているのでこれは危険だ


「俺はあなたのことが心配なので獣医の先生呼びますよ

一度検温してもらいましょうよ」


〖大丈夫だと思うのですが天馬さんが心配してくれるのですから

  今回は大人しく従いますね〗


「ミルクセーキさん 直ぐに獣医さん呼びますから」


※馬は非常に繊細な生き物でストレスに弱いです

長時間の輸送のためストレスで発熱する馬もいますから

感冒とか馬インフルエンザの場合もあります


※出走取り消しと競争除外について競走馬の病気、怪我などで

出走できない場合は、装鞍所に入る前だと出走取消になり

装鞍所を出てからレースに出れないと判断された場合は競争除外となります。


俺は、無線で獣医を呼んで診察してもらうことにした。


馬は肛門で熱を測るが平熱は、37℃から38℃

ストレスがかかると人間と同じように熱も出ますね


獣医に診察してもらい発熱が確認できたためミルクセーキさんは

出走できそうもありません 係員と連絡を取り関係者に話をする


「ミルクセーキの馬主さんと調教師さんですね

診たところ体温が高いですね

輸送中のストレスで体調を悪くしたようです

この状態では、他の馬への影響もあるので

競争除外になります。」



※年末の渋滞のため長時間輸送になったのが原因ですかね

体調が悪い馬を出走させた場合ほかの馬への

衝突事故の危険性もあるため取り消しまた除外になります


「ミルクセーキさん 無理しないで療養してください」


俺は優しくミルクセーキさんの首筋を撫でた。


〖わかりました。今回は残念ですが次回頑張りますね〗


そんなこともありましたが、今年のアリナ記念も終わりました。


来年は、メリーさんの種付けがあるし

プラチナさんとの子供はどんな可愛いい仔馬が生まれるのだろうか


新しい年を迎えた。


昨年はいろいろのことがあったけど大きな出来事は

俺もやっと就職できたことだな

それも第一希望のDRAの職員になれたこと


まあ、この件には馬主の佐藤さんと伊藤さんには協力してもらったから

少しでも恩返しできればいいのだけれど

まずは、今年のメリーの種付けだな 


お互いの牧場は静内にあるから輸送距離は短いけど

どうせプラチナさんやきもきしてるだろうから

一度見にいってみよう


ということで伊藤さんにアポを取り牧場へ行くことにしたら

ありがたいことに空港までヘリで迎えに来てくれるそうだ。


なので今回は、半日得した気分で伊藤さんの牧場へ到着


伊藤さんに挨拶に行くと


「天馬さんお待ちしていましたよ、」


「伊藤さん どうしました」


「プラチナが馬房で大変なんですよ

春が近くなると牡馬も発情しますからね

厩務員でも手が付けられないのです

天馬さんならば直接会話できるので

いつ来られるかと待ってました。」


「プラチナさんそんなにメリーさんに会いたいのかな」


伊藤さんに頼まれて馬房へ行くと


何やら騒がしい音がするなプラチナさんの馬房から


「プラチナさん お久しぶりです お元気そうですね」


「おおお、天馬 行くぞ直ぐ行くぞ 走るぞ」


プラチナさんから熱くたぎるオーラが見えます。


「天馬さんが来るのを待ってましたよ

乗馬の準備できてますから

早く準備してください」


厩務員さんにせかされて準備をして牧場を出発しました。


「プラチナさん そんなにメリーさんに会うの

楽しみなんですか?」


「まあな、牡馬の性だからな 春が近くなるとムラムラする」


「その様子なら元気な幼駒が生まれますね」


「当たり前だろ いつでも相手してやるぞ」


「それじゃあ、今日はおもいっきり ストレス発散しましょう」


数時間後牧場では、スッキリしたプラチナと

対照的にへとへとな天馬と厩務員の姿がありました。


「天馬さんも無茶しますね

本職の私でも今日は参りました

お体大丈夫ですか?」


さすがG16勝は伊達じゃない長距離も現役の時から得意だからな

スタミナがありすぎる


よいしょっと 俺は立ち上がる


「慣れは凄いですよ、もう大丈夫そうです」


「天馬さん凄いですよ後ろから見ていても騎乗に安定感が

  出てきましたよ」


「それはお世辞でも嬉しいですね」


そういえばプラチナさんに乗りたがった伊藤さんは

念願がかない乗せてもらって感激したそうだ。


「天馬さんプラチナのストレスがたまったらすぐにお呼びしますね」


「まあ、行き帰りの交通費を出してくれるなら

いつでも歓迎しますよ」


「その言葉 忘れないでくださいよ」


言わなければよかったかなと 後で少し後悔した天馬でした。


プラチナさんの次に訪れたのは

我が愛しの愛馬メリーのところだ。


「ほんとはこの静内で家を購入予定が、DRAへ就職したから

メリーに頻繁に会えなくなった。

辞表書いてやろうかな?」


「天馬さん 念話じゃないから外へ漏れてますよ本音が」



「あ、すいませんね たまにやるんですよ

でもメリーに会うために家を購入しようとしたのはほんとです」



「そんな他人行儀なこと言わないでください

天翔さんならいつでも泊まっていただいても

構いませんから なんならここから府中へ通いますか?」


「飛行機とヘリを使えば可能ですけどやめときます。

それに佐藤さんとこ泊まると仕事が増えるし

メリーと遊ぶ時間がなくなりますからご遠慮します。」



「これは参りましたね。でも天翔さんメリーのこと

ほんとに気にいっていますね」


「そうですね、メリーと初めて会ったのは、中山の新馬戦

でしたけどその時俺は18歳でしたから馬券は購入してませんが

一目見て金色のタテガミに魅かれ そして走る姿を見て

感動しましたね それからず~とファンです」


「天翔さんこれからもメリーローズのことお願いしますね

特に今年から繁殖牝馬として頑張ってもらわないと

いけないので天馬さんのサポートが大変重要なんです。」


「お任せください、この天翔天馬 メリーさんのために頑張ります」


そういえば今年から新しいDRAの試みが開始される

まあ、やるのも俺一人だが、それは何と

仔馬の出産に立ち会い 獣医のサポートをすることだ。


今までは獣医のサポートができずに死産になったケースも多い

またその逆に母親に無茶をさせたため出産後に母親が急死

したこともあるからだ。


俺の力があれば適切なタイミングで母親に指示が出せる

いきむタイミングもそうだし 母親の健康状態も

把握できるからだ。


「メリーさん陣中見舞いに来たよ」


⦅そんな大声上げなくてもわかりますよ

でもそんなに私に会えてうれしいのですか?⦆


「もちろんだよ、俺はメリーさんの大ファンだからね

俺は競走馬はみんな好きだけど

1番はメリーさん まあプラチナは俺の恋敵だけど

2番目に好きかな あの現役のころの走りには感動したな

つい最近もそれを痛感したけどね」


⦅私が1番でプラチナが2番ですか そうですか

これはもっと天馬さんのこと

甘やかさないといけませんね 嫌われないように

でもつい最近痛感したんですか⦆


「そうだよ、聞いてくれよメリー」


甘えて首に抱き着く天馬


「プラチナの野郎 直ぐに俺を呼び出して

俺を乗せてストレス発散するんだ。

あれは現役時代のまんまだな」


⦅それはまあ、あの人にも好かれていますね

普通気軽に騎乗させませんよ⦆


「まあ、嫌われていないとは思うけど

メリーのことで焼きもちやくからな

あれはその腹いせかもしれない」


⦅まあ、それも嬉しいですね 大好きな殿方

二人に愛されてますね わたし⦆


「それとそろそろ春の繫殖期が始まるから

その応援に来ましたよ

もちろん出産の時もそばにいるから安心して」


⦅私頑張りますね!!⦆


この時のメリーさんは既に母親の顔をしていた。




















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