天馬の就職先決まる 馬券は購入できませんが楽しい職場です。
JRAの関係者さんいつもお仕事お疲れ様です。
伊藤さんから今日はここで泊まっていって下さいと言われて
俺はお言葉に甘えお泊りした
翌日 朝4時ごろ起床する 牧場の朝は早い ほんとなんですね
プラチナに挨拶に行くと今日は気分がいい
散歩に行くから天馬付き合えと言われて
また昨日同様の準備を済ませ鞍にまたがる
「プラチナさん今度は伊藤さんも乗せてあげてくださいね」
【フン まあ 気が向いたらな】
後日伊藤さんに了解を貰えましたよといったら
大変喜んでもらえました。
帰京は楽でした
なんと伊藤さん 私も出かけるのでいっしょにどうぞと
飛行場まで自家用ヘリを出してくれたのだ。
羽田に到着すると俺はそのままメリーのもとへ向かう
約束だし 俺もメリーに会いたいからだがその前に
佐藤さんに報告だよね
「天馬さんお疲れ様でしたね
でもあのプラチナシップで乗馬体験をするなんて
馬主でもなかなかできないことですから
羨ましいです」
「はい、伊藤さんにも言われましたよ 同じセリフ
でも今度乗せてあげるそうです。
彼と約束しましたからね」
「できれば私もお願いしたいのですが、まあ無理でしょうね
普通であれば厳重管理でおいそれと自由に行動できませんから
保険も相当かけていますよ 乗馬途中で怪我でもしたら
それこそ賠償問題になります。」
「そう…ですよね、 現役の種牡馬だし
でも俺は普通に乗せてくれましたけど
なぜでしょうかね?」
「まあ伊藤さん人がいいですからね 人望もありますけど
貴方を信用しているのもあるし 最大の理由は
プラチナには逆らえないというのが本音ですね」
「現役の時なんて主戦騎手はお願いですから走ってくださいと
毎度お願いしていたようですし」
「え、その話 ほんとなんですか?
騎手の面白トークで冗談かと思ってました。」
「まあ、貴方が頼めば普通に走ったでしょうけど
人間は馬とは会話できませんよ
プラチナは気にいらないとほんと言うこと聞きませんから
そうとう賢い馬なんでしょうね」
「まあなんとなくわかります。乗馬の時命令口調で
厩務員さん困ってましたからね」
「それで本題なんですが、プラチナもメリーのこと
最初から好きだったと白状しました。
それもスタート前のゲートで思わず立上るくらいにと」
「なんでも彼女の枠順が隣の時はドキドキしたようですね
両想いだとわかるとなんか悔しいですけど
メリーが幸せになれるなら俺はそれだけで十分です。」
「そうですかそうですか これは産駒の活躍が楽しみになります
伊藤さんからは2年目の産駒は是非購入させてくださいと
すでに予約までもらっていますよ」
「俺も馬主ならメリーとプラチナの子供が欲しいですよ」
いや まてよ 俺の資産額なら馬主になれるか?
年収はいくら以上とか他にも条件が
俺は佐藤さんとの話を切り上げてメリーのもとへ急ぐ
【馬主佐藤の視点】
天馬が部屋を出ていくのを佐藤は見送ると椅子に腰かけて
深呼吸した。
ほんとにすごい人ですよ
天馬さんの預金残高があれば
ほんとに購入できそうですけどね
天馬さんが面接で落ちた理由ですか
2年ほどで数十億の馬券収入も凄いですけど
DRAとしては採用した職員の主催レースの馬券購入認めて
いませんからそれらを危惧したのでしょうね
伊藤さんとも電話で話しましたけど
今の競馬界には必要な人材ですよね
ただ個人で雇用するのは危険すぎます
利権が凄すぎて反感を持たれるだけでは
すまないでしょうから
公平を期すならDRA職員として雇用してもらい
特例として馬券購入も認められるなら
天馬さん就職しますかね~まあ
法律があるから特例は認めませんよね
一度は試験を受けたのですから
馬券購入の件は承知のはずなんですから
一度天馬さんとお話して了解を得られれば
私と伊藤さんの推薦でDRAへねじ込みましょう
佐藤が自分のことで悩んでいるとは
メリーのもとへ急ぐ天馬の頭の片隅でも
思っていないでしょうね
レースが終わり 厩舎に戻されたメリーは
馬房で天馬が来るのを待っていた
馬房の中をうろうろと厩務員が気になるほどであった。
自分の思いを伝えたただ一人の人物が、
同種族の馬ではなく人なんておかしな話だと
思われているだろう
プラチナは私のことどう思っていたのかな
ただの競争相手? それとも気になる牝馬としての感情
あ~~もうわからない あの馬の気持ち
レースではよくゲートで視線を感じたけど
あの時はにらまれていると思っていたから
深く考えていなかったけど
あれは私のことが嫌いで憎らしいと思っていたから
早く 天馬来てよ どうにかなりそうなの~
馬房の入口の扉が開くと
「メリー お待たせ 帰ったよ
これお土産,北海道の人参だよ」
天馬は私に美味しそうなニンジンを差し出してくる
【あら、ほんと 美味しそうなニンジン…
じゃ なくて天馬遅い いつまで待たせるのよ】
メリーは天馬に襲い掛かるはずもなく
ごめんねメリー天馬は優しく首筋を撫でる
天馬が差し出すニンジンをポリポリとかじる栗毛の牝馬
いや~ 癒される
【これ、ほんと美味しいわね どこで獲れた人参】
「そのニンジンはね 今朝 プラチナ[伊藤さん]から
お前に渡してくれと頼まれたんだよ
人で言うなら 婚約指輪の代わりかな」
【え、ええええ ほほほほんとなの
嘘ついたら噛むわよ 蹴るわよ】
天馬はメリーのタテガミを撫で
「メリーよかったね
プラチナもず~と前から
メリーのこと意識していたそうだよ
綺麗な牝馬だな~とゲートで立ち上がるくらい」
【そうなんだ、昔から私のこと…
あれ おかしいな 嬉しいのに涙が出てきた】
昔の名馬もレースで負けて涙を流したそうだけど
ほんとなんだね でもメリーは泣いてる顔も綺麗だよ
メリーが落ち着いたところで
「メリーも静内へ行くんだよね
繁殖の準備もあるし大変だね」
【おそらく 年明けしてすぐだけど
でもプラチナに会えるのは早くて春よね】
「馬の発情期の時期にもよるけどね
いい子が生まれるよ 必ず」
【もう、天馬ったら 気が早いわよ
まだ 種付けもされてないのに】
「いやいや人間を甘く見てはいけないな
既にメリーとプラチナの産駒は、2年先まで
予約済みで完売していますよ」
【え、それほんとのことなの】
「馬主の佐藤さんとプラチナの馬主さんの予約済みです
期待の良血馬だから楽しみだといってた」
【うん 私も楽しみだよ 天馬にはお産にも立ち会って
もらうから お願いね】
「喜んで引き受けるから安心してよね」
それから数日後佐藤さんに呼ばれて自宅を訪ねると
佐藤さんから封筒が手渡させられた。
「佐藤さんこれは何ですか?」
「それはね、私と伊藤さんの連名での推薦状だよ
それをDRAへ持っていけば
君は晴れて無職から卒業できるよ
メリーとプラチナのことでの君への謝礼として
受け取ってくれたまえ」
「え、でもそれだと馬券が購入できなくなりますよね」
※DRA職員は競馬法という法律により中央の主催レースでの
馬券購入は認められていません。ただし地方競馬の馬券は
購入できます。また売店とか清掃の仕事関連の人など
職員でなければ認められるようです。
「まあ、そうだね、私たちもそこのところを考えたんだけどね
私たちの推薦を受けるか否かは君の判断に任せるけど君の特技は
今の競馬界には必要な人材だからね その能力を知られると
雇用したいという競馬関係者が出てくるとおもう」
「そのうるさいやからから天馬君を守るためには
DRAが最適だと判断したよ
それに君への報酬は、基本給以外に馬主からの報酬も
あるからね、馬券が購入できない見返りに
バイトも許可した そんなところかな」
「馬主からの依頼は原則としてDRAを通じて依頼する
ことになるけど個別でもあとで報告すれば
問題ないとDRAの理事にも承諾をいただいた。」
「どうかな天馬君 競馬界のため君のその力を貸してくれないかな」
俺のためにDRAの理事まで巻き込んで推薦状を出してくれる
佐藤さんと伊藤さんの御恩に報いるのもいいかな
別に馬券を購入できなくても最近はいいかなと感じているし
今はメリーとプラチナも友達だしな
「わかりました。 その推薦状をありがたく頂戴します」
「そうかそうか 私も嬉しいよ これから君に依頼できるからね」
「佐藤さん 私はDRAでどの職種で採用されるのでしょうか?」
「私が思うには、お客様相談室的な何でも屋かな
それに職員になればDRAの施設に自由に入れるからね
活躍の場もひろがるよね 全国の競馬場 トレセンも入れるね
あちこちで君は相談を受けることになるかもね」
俺は後日無事にDRAへ就職することになった。
配属先は、「競走馬なんでも相談室」 職員は俺一人だから
室長という役職もついている
配属の条件が競走馬とおしゃべりできるが最低条件だから
当分俺一人だけだ。
試験内容は…回想シーンで
推薦状を持参し試験を受けるため向かった先は、
東京競馬場の誘導馬がいる馬房での実技試験
誘導馬と会話が成功したら即採用だそうだ。
誘導馬は白毛の美しい牝馬 ホワイトプリンセス
なんとこの牝馬 新馬戦でメリーとレース出走した牝馬で
成績は10戦3勝でGⅢを2勝している優秀な牝馬
⦅え、そうなの メリー元気そうね
来年からは静内か~でもでも
引退レースで王女杯勝つなんて
さすが私とは器が違うわね⦆
⦅それに繁殖牝馬になったら憧れのプラチナさんに
種付けしてもらえるなんて羨ましいわね⦆
よくしゃべるお姉さんでしたね
勿論 試験は合格しました。 周りの視線が気になりましたよ
職員以外にも誘導馬の皆さんが外野で騒いでましたから
年が明けて春になれば繁殖期に入りますので休暇を利用して
メリーに会いに行きますか?