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エクセレントローズの引退式とホワイトマロンの悩み

ローズの引退式が終わると繋養牧場のお話がメインになります。

昨年はいろんなことがありました。


いいニュースと言えば、エクセレントローズが年度代表馬に選出されたこと


悪いニュースはエクセレントローズが屈腱炎を発症してしまい引退をしたこと


牧場はこの春完成していよいよ牧場運営が始まることに


そしてエクセレントローズの引退式を急遽行われることとなりました。


※引退式はJRAが主催して費用をすべてもってくれると思っていましたが

 本来馬主が経費を払うのが決まりでJRAに物凄い貢献した場合は

 JRAも経費負担してくれるらしい

 引退式を行える条件が複数存在する 例えばG1を勝利した馬

 重賞レースを5勝以上した馬 JRAに貢献した馬など


 引退式は原則 引退レース当日に行われる、昔は別の日に行われたが

 セレモニーでメインスタンド前を走るための調教が

 必要になり馬への負担を減らす目的で近年では引退レース当日に行われる


 このお話はすべてフィクションであり事実ではありませんのでご了承ください


もともと佐藤はエクセレントローズの引退式をやる計画はなかった。

その計画が持ち上がったのは、DRAからの謝罪と賠償に関する

問題がひと段落したときにDRA幹部から出された提案でした。


場所は、エクセレントローズが新馬戦をした東京競馬場

費用は、DRAの完全負担 競馬が開催されない日曜日

引退式の内容は、馬主、調教師、騎手、厩務員の思い出話

そして最後は、メインスタンド前を走るセレモニーで終了


費用は全額DRA負担は提案者なのでこれは当たり前

競馬開催日じゃない日にしたのは、こちらの嫌がらせ

そして最後にスタンド前を走るのは、当然無理なのでお断りした。


それでもDRAは、ホームページで告知すると同時に

メインスタンド席を有料で販売 当日券なしと発表したため

指定席販売日の夕方5時から サイトに繋がらない状況が翌日深夜まで続いた

当初用意された1万席が即日完売したらしい


逞しい商魂魂ですね


屈腱炎の治療方法も近代的な

超音波治療、レーザー治療などが導入されたため

以前に比べ医学も格段に進歩したおかげで

再発リスクも軽減されているらしい


治療が終わった競走馬もその後乗馬クラブなので活躍している


「ローズ 足は痛いか?」


「全然痛くないよ~ 快調だよ パパ

 今ならレコード記録出るくらいにね」


「レコード出さなくていいから 安静にしているようにね」


「それより パパ 引退式やるんだよね」


「まあな いろいろあったけど競馬関係者として

 DRAと敵対するのまずいからな お義父さんも

 いろいろ大変だろうな」


『じゃあさ 東京競馬場でまた走れるの?』



「今回は、屈腱炎の治療中だから歩くだけね」


『そうなんだ、なんか少し残念だね』


引退式当日 俺たちはDRAが特別に手配した馬バスで

現地へ向かう 馬バスの名前は、エクセレントローズ号


「この馬バス 俺たちが乗ってるとファンにもばれてるな」


「佐々木さんもそう思いますよね。

信号待ちの時 手を振るなんて普通ないですから」


「いいじゃないですか これで最後だし

競馬場 お客さんいるかな~」


競馬開催日でないので純粋にエクセレントローズのファンしかこないから


「でも、場外馬券売り場もあるからいないことはないと思う」


佐々木さんと厩務員の小林さんは暢気に会話してますね


『ねえ、パパ このバス気持ちいいね』


「最新型らしいよ、うちもこの馬バス購入しようかな」


DRAもお義父さんに気をつかい新調したらしい

馬バスには、過去の名馬の名前が使われているからな


東京競馬場に到着した 開催日じゃないから


駐車場も広々してると思っていたら


入口前から渋滞しているようだ。


「あれ、今日って引退式以外のイベントあったか

アイドルのコンサートとか」


「ありませんよ、やるなら開催は中山ですからね」


この馬バスは、関係者専用駐車場へ入れるので

渋滞の間を縫うように走りぬける


「なんか、俺たち 周りの人から手を振られているんだけど

これって 皆 引退式に来た人なのか?」


駐車場へ入り ローズを馬バスから降ろすと


周りの人から大歓声が起きる


「ローズちゃん 元気でね~」


「早く 足の怪我治るといいね~」


ローズも自分のファンだと気が付き

少し興奮している


『ねえ、パパ この人たちローズのファン』


「そうだよ、ローズはこんなに多くの人から

愛されているんだよ」


ローズとはここでお別れ

ローズは今から健康診断がある


お義父さんがいる控室に入る


「お義父さん 凄い人でしたよ」


「DRAも当初用意していた指定席が即完売したから

追加の席も販売したそうですよ」


「それと、馬運車見ましたか?」


「DRAが急遽メーカー発注した新型だよ

名前がエクセレントローズ号だよね」


「俺もあの馬バス 気にいったし ローズ

も気持ちいいいとかいってたので

牧場で購入しますよ どうせいるし」


それからDRAの偉い人が部屋を訪ねてきて

佐藤さんと会談を始めた。


引退式が開始された


ローズがウイナーズサークルに姿を見せる


客席のファンからの歓声があがる


ローズを囲み写真撮影と思い出話


そして最後のメインスタンド前を走るのは、


乗馬の並足程度で行うこととなり 美鈴が騎乗した


美鈴も今年引退することが公式に発表された。


メインスタンドは広大だ。


ウイナーズサークルのあたりでの並足では

端の人ではローズを見ることはかなわないだろうな


ところが、ローズはやってくれた


ターフへ出るとローズは軽速歩で足に負担がかからないように

しながらメインスタンド前をかけていく


これならスタンドの端のファンにも別れの挨拶ができそうだ。


ローズは満足したのか俺に寄り添い


『パパ 皆に挨拶してきたよ』


「偉いぞ ローズ 足は痛くないか?」


『無問題』


俺たちは大声援に見送られて競馬場を後にした。


静内へ戻り、牧場のお披露目会も

無事に終わりいよいよ牧場経営も始まるのだが、

肝心の馬がまだいない


メリーもローズも早くても来年からになるし

プラチナはいつでもいいけど

今年最後の種付けが残っているらしく

伊藤さんからもごめんねと言われた。


プラチナが忙しいのは産駒が既にG1馬になったからだ

メリーもG1馬の母親として鼻高々のようです。


お義母さんから


俺に来客があると知らされる 誰だろう?


「失礼します。 天翔天馬です」


応接室へ入ると 背広姿のご年配の男性が俺に会釈する


「天翔天馬クンだね お噂話聞いていますよ

馬主の榊原浩平と言います。

白老ファームを経営していると聞けばわかるかな」


握手をして席に座る


「たしか、葦毛の馬とか白毛馬を集めて繋養している

牧場ですよね お噂は聞いてます

なんでも純白の白毛馬が大好きな馬主さんだとか」


「はい、そうですね そのとうりですよ

白毛馬はいいですよ 心が洗われます

天馬クンもそう思いませんか」


「それで、私に相談があると聞いておりますが」


「実はですね 天馬クンとも面識がる

家で繋養しているホワイトマロンなんだけど

繁殖牝馬になって3年目になるが

一度も受胎しないんだよ 私もこんな経験は今までなくてね

専門家に聞いても馬体に問題がないので

解決策も見当たらないからそれなら馬と会話ができる

天馬クンに相談してみようかと佐藤さんを訪ねてきたんだ」


ホワイトマロン美浦のトレセンで

仲がよかったお姉さんの一人

完全な白毛の馬で綺麗な馬だったが、受胎しないのか?


「それはやはり白毛馬特有の問題ですか?」


「確かにそれもあるだろうな生まれる確率も0.04パーセント

と一番低いからな それで会話できる天馬クンに

一度ホワイトマロンと話をしてほしいのだけど

どうだろう?」



「私も獣医ではありませんので医学的なことは

わかりませんが、精神的な問題であれば

協力できると思いますのでお引き受けします。

ちょうどうちの牧場も開設しますので

第一号として暫く繋養してもよろしいですか?」


「それはありがたいお話ですね

こちらもお話だけ聞いてもらうつもりでしたが

繋養して時間をかけた方が解決するかもしれませんね

それでは、また後日ご連絡します」


榊原さんは、来たときより顔色が良くなったようですね


「天馬クン いよいよ牧場始めるんだね

その第一号がホワイトマロンか

まずは1頭から始めた方が美鈴たちの

為にもなるからな」


既にお披露目会も終わり 最初に繋養する馬を

どうするかお義父さんとも話をしていたから

渡りに船かもしれない


数日後、馬バスに乗せられ ホワイトマロンが到着

して後ろのゲートから降ろしていたところ

伊藤牧場所有の馬バスが、敷地内へ入ってきた


今朝伊藤さんからプラチナを早めに輸送できるようになったと

連絡が来ていたが到着した馬バスの後部ゲートから

顔を出したのはまさしくプラチナだった


「ねえ、天馬クン もしかしてプラチナさんも

ここへ、入厩するのかしら?」


「そうですね、馬主の方と移籍の仮契約は済ませてますけど

種付けの件がありますから本契約はもう少し先ですが

間違いなくプラチナもここに入厩しますよ」


そわそわする ホワイトマロンさん


「へ~そうなんだ。 よかった ここへきて」


「マロンさん 何か言いましたか?」


「何でもないわよ それより馬房へ連れていって」


「はいはい、それじゃあ案内します」


「なるほど、受胎しなかった 原因の一つは

プラチナが気になるからかな」


不妊症ではなく精神的なストレスが原因かもしれない


プラチナはほんと牝馬に好かれてますね















ホワイトマロンは、現役のころプラチナに憧れていました。

これは、フラグ発生か

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